本の紹介1冊目~続き④~:神鷲(ガルーダ)商人 周防咲子vs根本七保子(デヴィ夫人)
インドネシア・日本関係の複雑さに虜になりつつある桐島です。
今回は、木下商店が送り込んだ周防咲子vs東日貿易の送り込んだ根本七保子(デヴィ夫人)を解説します。前回記事は以下です。
勝敗としては、根本がスカルノ大統領の第三夫人として、デヴィ夫人になったことから、根本に軍配が上がったのは一目瞭然です。
さて、周防咲子の方は、どうなったかというと、露となって消えてしまったのです。
周防は1959年、25歳で、生涯を閉じてしまったのです。バスルームで手首を切り自殺してしまいました。
彼女を取り上げた作品としては、『わが心、南溟に消ゆ 西木正明著(2000年)』、『生贄 梶山季之(1967年)』の2作があります。しかし、後者は、デヴィ夫人から追加出版販売差し止めを受けて絶版したようです。(笑)
神鷲商人の中でも、周防咲子に関する記述は短いですが、引用します。ちなみに、根本と周防は一度も顔を合わせることはありませんでした。
まずは、スカルノ大統領が根本に、周防のことを説明するシーンです。
次に、周防(瀧子)のコメントです。
周防は、木下商会が、1958年第一次賠償の船9隻の契約を勝ち取るために無理やり送り込んだものの、スカルノ大統領からは、好かれていない、という状況でした。
そして、周防(瀧子)の自殺前の様子はというと、
そして、彼女の自殺の解説シーンです。
戦後の賠償ビジネスの裏では、こういった数々の犠牲があったというのの一例かと思いますが、今の時代感覚からすると、こんなにあからさまな事件もあったのか、と驚きを禁じえませんでした。
深田祐介さんが、日・インドネシアの戦後賠償を作品化した意義は深いと思います。
次回は、木下商店、東日貿易の争いを取り上げます。更にもう1つの商社も参入してくるというややこしい展開になってきます。
See you soon.