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㉟ミャンマー情勢(ミャンマー人の強制徴兵!)

前回からだいぶ時間が経過してしまいました。

2024年2月10日(土)から、ミャンマーの若者に激震が走っています。

きっかけは、国軍が、国民の強制兵役を可能とする人民兵役法(People's Military Service Law)の施行です。

兵役の対象は以下です。

なぜ徴兵制が開始されたの?

なぜ、徴兵制が開始されたのでしょうか?

これには、2023年10月27日(1027作戦)に、ミャンマー国軍が大敗北を期したことが関係しています。

国軍が負けた相手は、北部同盟(通称:団子三兄弟)の、「ミャンマー民族民主同盟軍」(MNDAA)、「タアン民族解放軍」、「アラカン軍」でした。

団子三兄弟は、以下の赤枠で囲った3つです。

三兄弟の攻撃に対して、国軍の全部隊が、戦わずに降伏しました。

結果として、三兄弟は100以上の軍事拠点と、4つの町を占拠しました。

1027作戦ショック

この戦闘により、国軍の脆弱さが露呈しました。

もともと、ミャンマー国軍は、40万人の戦闘員がいると対外的にPRしていましたが、各地の兵団は中央(ネピドー)に対して人数を多めに申告することで、人数分の予算を付けて貰っていました。
以前から、実際の戦闘員数は、20万人以下ではないか?!と言われていました。

それにしても、戦わずに降伏するとは弱すぎますね、、、

戦闘員の兵器不足が原因とも言われています。


徴兵制の位置づけ

2021年2月1日のクーデター、2022年4月3日の強制兌換に並ぶ、3つ目のおバカ措置です。

ミャンマー国軍の発想は、非常に単純です。

司令官:「おい、国軍の人数が足りてないではないか?何か案を持ってこい」

部下:「実は、奇策があります。実は、憲法の第386条の規定で、全国民に国防のための兵役の義務を課すことができます」

司令官:「そんな規定があるのか。2008年憲法は凄いな!」

部下:「ミャンマー憲法は、国軍のための憲法であり、人民は国軍の所有物であり、おもちゃなので、使いたい放題です」

司令官:「そうだったな。さすが、タンシュエ様(1988~2011年までの独裁者)が作った憲法。先見の明があるな。ははは~」

部下:「更に、国民徴兵法もあります。これは、2010年11月に国軍が作ったもので、兵役義務の詳細を定めたものです。これを施行すれば、秒で国軍は強化されます」

司令官:「お主も悪じゃの~、、、」

部下:「それでは、早速、2024年2月12日が連邦記念日(Union Day)なので、その前の2月10日に、高らかに徴兵制の施行を宣言します、お頭!!!」

司令官:「それは、ちょうど良いタイミングだ。やってしまえ!」

(あくまで想像ですが)こんな話が繰り広げられたのだと思います。

ミャンマー国軍の、オツムの弱さは、中学2年生にも満たないです。小学2年生ぐらいです。

2月10日のゾー・ミン・トゥン国軍報道官コメント

報道官の秀逸なコメントを紹介します。徴兵制のメリットについてです。

1.国民徴兵法のメリットは、戦争抑止力(deterrence power) の更なる獲得である。つまり、国民徴兵法の制定は国家の国防力と国民の新たな防衛・治安維持能力を獲得できるということである。敵が、我々を敵対視する心を失わせることができれば、抑止力が働いたということとなる。戦わずして抑止作戦が成功し、戦争抑止力が働く。また、国防に備えることもできる。

2.さらに、国民全員が参加する徴兵制がうまくいけば、軍人と文民の関係が更に良好になる。(徴兵法は)常備軍を最も強力で強靱な勢力にするためではなく、国民が参加するための制度を実現するためのものであり、これにより国家建設のための経済・防衛力の構築を一度に達成することができる。

3.また、軍事技術の向上にもなる。国家の団結も更に進む。これらのメリットがあるほか、我々ミャンマーが必要としている国民精神、国民の団結(national solidity)を向上させることができる。つまり、国防というのは、国軍のみの責務ではなく、全国民の責務であると強調したい。国防は、全員の責任である。したがって、制定した国民徴兵法に誇りを持ち、これを喜んで引き受ける必要がある。

ミャンマーに国軍がいるために、大被害を被っているミャンマー市民に対して、「国防というのは、全国民の責務である」と言ってしまうのは、正気の沙汰とは思えません。

一般市民からすれば、「日頃からお前ら(国軍)が国家運営していて、国民から税金や賄賂を取り、国民を搾取しているにも関わらず、自分たちが国防を満足に果たせていないために、お前らの命も差し出せ!」と言ってくるわけです。

2月13日のゾー・ミン・トゥン国軍報道官のBBCへのコメント

国軍の市民への態度を表しているコメントです。兵役の位置づけは、「国民に対する国防教育」というのは、武力の保有主体でない国民に対する軽蔑のコメントです。現軍政の本質を物語っています。

●国民兵役法を4月22日以降から、実施できるよう調整中。
●第1期として5,000人を招集する。人員の選抜の詳細は今後発出予定
●兵役の位置づけは、国民に対する国防教育国防とは戦闘に限られず、セイバーセキュリティ、ビジネス、メディアなどの各種分野が含まれる

嘘つき軍政

2月13日に報道官がBCCに「人員の選抜の詳細は今後発出予定」とコメントをしておきながら、既に一部のエリアでは、徴兵対象者をくじ引きで決める作業が決定し実行されています。
(文字通り、4月を待たずして徴兵対象者を決定する作業が開始済み)

決して噂ではありません。一次情報に基づく真実です。

軍の言うことは、一切信用ができない一例になります。

何ら大義のない兵役に対するミャンマー市民の反応(2月14日時点)

2月10日(土)以降、ミャンマー市民の間に、大混乱が生じています。

いつ徴兵されるかわからない不安に怯えています。

ミャンマーの歴史を知るミャンマー人は、徴兵されれば、最前線で人間の盾として使われるか、地雷原を歩かされて爆発処理に使われるか、だと認識しています。

特に、2024年の4月1日に日本の大学、日本語学校、会社に行く人の、COE(法務省入管が発行する在留資格認定証明書(Certificate of Eligibility ))が降りるのは、2月22日(木)頃です。

しかし、2月22日(木)までに徴兵される危険性がありますし、急に空港のイミグレーションが封鎖されて出国できなくなる可能性もあります。

本日(2月14日)、ヤンゴンのタイ大使館では大行列が出来ています。

2月14日撮影写真

ミャンマー人は観光目的であれば、ビザなしで2週間までタイに滞在できます。さらに、タイ大使館に行き高額な料金を支払えば、2ヶ月の長期滞在ビザを取得できます。

ひとまず、「この国を出よう!」という若者が激増しています。

タイ行きのフライトチケットも売り切れが続出しています。

とある情報筋によれば、2月15日までには、ミャンマーから国外に出た方が良いと話があり、軍関係者の奥様も、既にタイに国外逃亡しているという話があります。

ますます、混迷を深めるミャンマーです、、、

今後、カンボジアのポルポト政権の時代のようになるのか、ドイツのホロコーストのようになるのか、一寸先は闇の状況です。

次回の記事は以下です♪


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