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㊻ミャンマー情勢(ドンドン悪化、絶望は止まらない)

ミン・アウン・フライン国軍司令官は、8月30日にバゴーでの政府職員に対する演説を実施しました。

そこで、2021年2月1日のクーデター以後、初の驚きの言及がありました。

外貨不足

発言内容は、以下のとおりです。

国家統治評議会(SAC)の任期中、西側諸国が経済制裁し、援助を減少させた。経済制裁により、国家が保有する外貨使用ができなくなったため、現在は貿易による外貨収入のみに頼っている。以前は海外からの融資、援助、投資が主な外貨獲得源であった。我々は、海外からの融資をできる限り返済している

司令官が、外貨不足に触れたのは初めてです。

そのぐらい、この国には外貨が残っていないことの証左といえます。

以下の記事で、外貨準備高が、残り34億ドル(35億ドル-1億ドル市場に売却した分)だと解説しました。

しかし、この34億ドルというのも、すべてミャンマー国内の銀行にあって、使用できるわけではありません。

アメリカのNY連銀や、シンガポールの銀行にある外貨は凍結されてしまっています。その額は、一説によれば20億ドル以上と言われています。

自由に使える外貨は10億ドル?!ほどではないかと推測できます。

そのため、2024年8月末のタイミングで、その深刻さを司令官が言及したものと思われます!!!


ちなみに、ミャンマーでは、1日に500万ドル分の燃料の輸入代金が必要です。

燃料がなく電気もないので、ヤンゴン空港は暗いです
ヤンゴン空港のガラ空きのショップ


残りどのぐらいの期間、耐えられるの?

残りの外貨準備高が34億ドルだとすると、仮にミャンマーが燃料だけ輸入するとして、どのぐらいの期間、耐えられるでしょうか?

仮に使える外貨準備高が10億だとすると、どのぐらいの期間、耐えられるでしょうか?


小学校の算数ですが、

34億ドル➗0.05億ドル=680日(1年は365日)

10億ドル➗0.05億ドル=200日

です。



外貨準備高を増やすにはどうするの?

それでは、この状況を回避するために、今後どのようにしたら、ミャンマー政府の外貨準備高は増えるでしょうか?

1.輸出−輸入の貿易黒字を増やす
2.海外からの直接投資(FDI)を増やす
3.海外からの観光客の数を増やし、国内にドルを落としてもらう

これが、王道です。

しかし、ミャンマーは、軍がクーデターによって政権を取った民主主義とは対局にある独裁国家です。

そして、お隣のタイのクーデターとは異なり、無垢な市民を殺戮しています。

1.ミャンマーは元々輸出するものがなく、輸入が多い(発展途上国なので仕方がない)
2.海外の民主主義国家は、ミャンマーの現軍事政権を正当な政府と認識していないため、政府の支援(ODA)もなく、FDIもない
3.治安悪化のため、観光客はほとんど来ない

このため、3つの王道は、使えなくなりました。

そして、思い付いたのが、第4の方法です。

4.海外で働いているミャンマー人から搾り取る

そこで、2023年9月から海外の労働者が稼いだ所得の25%を国内銀行経由で親族らに送金することも義務づけました(日本で働いているミャンマー人は、所得の25%を日本に送金しなければいけなくなり、その際の日本円→ミャンマーチャットの交換レートは非常に悪いため、差額分がミャンマー政府の取り分になる)

さらに、23年10月からは外貨での所得税の納税を義務づけました(所得税の1%または2%を品川にあるミャンマー大使館に納税しなければいけなくなり、納税しないとパスポートの更新ができなくなる)



外貨準備高が足りなくなるとどうなるか?

今後、外貨準備高が足りなくなった時に、ミャンマー政府がどのような手段に出るかわかりましたか?


そうです。






答えは、






もっと、海外で働いているミャンマー人から搾り取る、が正解です。

ミャンマー人であることを放棄することは簡単には出来ません。

しかし、ミャンマー人である限りは、国家から搾取され続けます。


こういう状況を知るにつれて、


本当に日本人として生まれて生きてきたことに感謝しかありません。

日本人の困難なんて、ミャンマー人の困難と比較すれば、大したものではない気がしてきます。

ミャンマー人であるからには、どんなに努力しても、自分で道を切り開かないことが多過ぎます。

ミャンマー人は、ミャンマー人であるだけで、国家の犠牲になることが多過ぎるのです。

不都合な真実ですが、真実を知った身ですので、ミャンマー人のために、自分ができることを淡々とやっていこうと思います。

次回の記事は以下です。


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