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㊼ミャンマー情勢(不都合な真実)

前回、ミャンマー国のトップに君臨する独裁者のミン・アウン・フライン国軍司令官が、8月30日に「もうミャンマー、米ドルの外貨が足りていないのよ!」と発言したことを紹介しました。

1日に燃料の輸入だけで、500万米ドルを使用するのですが、

その様子が、9月7日のGlobal New Light of Myanmarという国の機関紙に掲載されていました。

CBM sells US$12.49M in two days

THE Central Bank of Myanmar (CBM) sold US$12.4 million on 4 September and $90,000 on 5 September, totalling $12.49 million in two days. Following CBM’s notification dated 14 August about contribution of $100 million towards the fuel oil sector, it sold over $9.498 million at exchange rate of K3,400 on 15 August, over $89.975 million at an exchange rate of K3,410 on 19 August, $31 million at an exchange rate of K3,440 on 22 August, over $35 million at an exchange rate of K3,460 on 26 August and $16.9 million at an exchange rate of K3,472 on 28 August, respectively. CBM announced on 9 August that it would sell $6 million, five million yuan and 10 million Thai baht into the edible oil, fuel oil and pharmaceutical sectors through online foreign exchange trading platforms in the coming weeks. CBM sold $5 million and five million yuan for the fuel oil, edible oil and pharmaceutical sectors on 2 August, after selling 69 million baht and nine million yuan for those importing edible oil, fertilizer, pharmaceuticals and medical devices on 1 August. Therefore, CBM injected over $190 million, 19 million yuan and 79 million baht in August. This move is to curb the instability in the foreign exchange market and the currency devaluation. According to CBM’s notification on 15 March, it has been joining hands with law enforcement agencies to combat and prosecute those who attempt to manipulate the currency market under the existing laws. CBM allowed authorized dealers (private banks) to operate online foreign exchange trading freely as per the market rate depending on supply and demand, starting from 5 December 2023. — NN/KK

まとめると

中央銀行は、8月の1か月で1.9億ドル、9月4日と5日の2日で1.249億ドルを市中に売却している

これは、1日500万ドル(つまり20日で1億ドル)が燃料の輸入のために必要と言われていることとも合致します。

8月の1か月で燃料の輸入に1.5億ドル、残りの輸入に0.4億ドルを使用したと推測できます。

そうすると、改めて、前回の計算は合っていることになります。

34億ドル➗0.05億ドル=680日(1年は365日)

10億ドル➗0.05億ドル=200日



前回の記事で、政府は米ドルが不足すれば、

4.海外で働いているミャンマー人から搾り取る

と予想しましたが、実は既に搾り取っていて、からくりが判明しました。



ミャンマー人搾取のからくり

海外で働くミャンマー人は、2023年9月から稼いだ所得の25%を国内銀行経由で親族らに送金しなければなりません。

その際の送金は、「SBI Remit」というサービスを使う必要があります。


この送金サービス(SBI Remit)では、ゆうちょ銀行ATM、ローソン銀行ATMなどで簡単に送金手続きが出来きます。

数時間後にはミャンマー側の家族のCB銀行口座にチャットで振込が完了しますので、家族は自分の口座のキャッシュカードで引き出しが可能です。


問題は、そのレートです。

以下は、レートを示しています。

以下は、1円を送金すると、どのぐらいのミャンマーチャット(MMK)がミャンマーに着金するかを表しています。

そして、1番左の2021年1月ですと、1円=12.84円がミャンマー国内のマーケットの価格で、SBIレミット送金をすると、1円=12.77円ですので、そこまで送金レートは悪くありません。1円あたり差額の0.07円がコストとしてかかっていることになります。

2024年1月の数字を見ると、実勢レート1円=23.65円、SBIレミット送金レート1円=23.83円なので、なぜか送金の方がお得になっていました♪

2024年2月、3月の1円あたりのコストも、送金金額の2、3%の低さでした。

しかし、2024年4月以降、実勢レートとSBIレミット送金の乖離率が大きくなっていきます。4月=8%、5月=11%、6月=14%、7月=20%、8月=30%、9月=22%という驚異的な数字です。

これは、日本で働いているミャンマー人が、1000円分をミャンマーに送金すると、8月だと700円しか、ミャンマーに着金しない計算になります。

差額の300円分はSBI RemitとCB銀行とミャンマー政府に渡ります。


それでは、こういった被害を受けているミャンマー人は、日本国内に何人いるでしょうか?

日本国内のミャンマー人については、上の記事に記載しました。

おそらく、2024年9月時点で、ミャンマー人労働者の数は10万人を超えていると予想できます。


日本にいるミャンマー人からミャンマーへの送金額

日本のミャンマー人労働者数は10万人、平均年収が300万円と仮定すると、
1人あたり1年間で75万円送金しなければなりません。

そのうち30%が手数料で採られるとすると、22.5万円です。

22.5万円×10万人=225億円になります。

これは、1ドル=150円とすると、1.5億ドルになります。


ミャンマー政府の外貨準備高と考えられる34億ドルと比較すると、あまり大きくないことがわかります。

しかし、最近はお隣のタイからの送金を強化するなど、ミャンマー政府(労働省)は躍起になっています。

以下の内容は、労働省が海外労働者@タイにきっちり送金しろ!と指示しているというものです。

MoL Union Minister directs 25% of workers’ remittances via official channels

UNION Minister for Labour U Myint Naung has directed that Myanmar workers going to Thailand must send at least 25 per cent of their remittances to their families through official channels.

This directive was given during a visit to VDM Co Ltd, a licensed agency in Hlinethaya (West) Township, Yangon, on 5 September. During the visit, the Union Minister also observed pre-departure training for workers, focusing on Thai laws, customs, and workplace regulations, as well as do’s and don’ts in the workplace.

The Ministry of Labour has mandated that workers abroad must transfer at least 25 per cent of their monthly salary to their families in Myanmar through the official banking system, a Remittance Business License (RBL) holder, or international money transfer services linked to banks. This can be done either once a month or once every three months, with at least 25 per cent of the total earnings sent back each quarter.

This requirement is enforced under Section 31 (b) of the Overseas Employment Law, with Order No 108/2024 issued on 28 August. — TWA/KZL

9月7日のGlobal New Light of Myanmar


内容をまとめると、以下です。

外貨準備高が少なくなる
→(国内)ガソリンやディーゼルなどの燃料が買えなくなる
→(海外)海外で働くミャンマー人労働者に対する搾取が厳しくなる

法律でレートが非常に悪いぼったくり送金を義務付けられているため、従わなければいけない、、、


悩みが尽きません (´;ω;`)

次回の記事は以下です。


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