前回、ミャンマー国のトップに君臨する独裁者のミン・アウン・フライン国軍司令官が、8月30日に「もうミャンマー、米ドルの外貨が足りていないのよ!」と発言したことを紹介しました。
1日に燃料の輸入だけで、500万米ドルを使用するのですが、
その様子が、9月7日のGlobal New Light of Myanmarという国の機関紙に掲載されていました。
まとめると
中央銀行は、8月の1か月で1.9億ドル、9月4日と5日の2日で1.249億ドルを市中に売却している
これは、1日500万ドル(つまり20日で1億ドル)が燃料の輸入のために必要と言われていることとも合致します。
8月の1か月で燃料の輸入に1.5億ドル、残りの輸入に0.4億ドルを使用したと推測できます。
そうすると、改めて、前回の計算は合っていることになります。
34億ドル➗0.05億ドル=680日(1年は365日)
10億ドル➗0.05億ドル=200日
前回の記事で、政府は米ドルが不足すれば、
4.海外で働いているミャンマー人から搾り取る
と予想しましたが、実は既に搾り取っていて、からくりが判明しました。
ミャンマー人搾取のからくり
海外で働くミャンマー人は、2023年9月から稼いだ所得の25%を国内銀行経由で親族らに送金しなければなりません。
その際の送金は、「SBI Remit」というサービスを使う必要があります。
この送金サービス(SBI Remit)では、ゆうちょ銀行ATM、ローソン銀行ATMなどで簡単に送金手続きが出来きます。
数時間後にはミャンマー側の家族のCB銀行口座にチャットで振込が完了しますので、家族は自分の口座のキャッシュカードで引き出しが可能です。
問題は、そのレートです。
以下は、レートを示しています。
以下は、1円を送金すると、どのぐらいのミャンマーチャット(MMK)がミャンマーに着金するかを表しています。
そして、1番左の2021年1月ですと、1円=12.84円がミャンマー国内のマーケットの価格で、SBIレミット送金をすると、1円=12.77円ですので、そこまで送金レートは悪くありません。1円あたり差額の0.07円がコストとしてかかっていることになります。
2024年1月の数字を見ると、実勢レート1円=23.65円、SBIレミット送金レート1円=23.83円なので、なぜか送金の方がお得になっていました♪
2024年2月、3月の1円あたりのコストも、送金金額の2、3%の低さでした。
しかし、2024年4月以降、実勢レートとSBIレミット送金の乖離率が大きくなっていきます。4月=8%、5月=11%、6月=14%、7月=20%、8月=30%、9月=22%という驚異的な数字です。
これは、日本で働いているミャンマー人が、1000円分をミャンマーに送金すると、8月だと700円しか、ミャンマーに着金しない計算になります。
差額の300円分はSBI RemitとCB銀行とミャンマー政府に渡ります。
それでは、こういった被害を受けているミャンマー人は、日本国内に何人いるでしょうか?
日本国内のミャンマー人については、上の記事に記載しました。
おそらく、2024年9月時点で、ミャンマー人労働者の数は10万人を超えていると予想できます。
日本にいるミャンマー人からミャンマーへの送金額
日本のミャンマー人労働者数は10万人、平均年収が300万円と仮定すると、
1人あたり1年間で75万円送金しなければなりません。
そのうち30%が手数料で採られるとすると、22.5万円です。
22.5万円×10万人=225億円になります。
これは、1ドル=150円とすると、1.5億ドルになります。
ミャンマー政府の外貨準備高と考えられる34億ドルと比較すると、あまり大きくないことがわかります。
しかし、最近はお隣のタイからの送金を強化するなど、ミャンマー政府(労働省)は躍起になっています。
以下の内容は、労働省が海外労働者@タイにきっちり送金しろ!と指示しているというものです。
内容をまとめると、以下です。
外貨準備高が少なくなる
→(国内)ガソリンやディーゼルなどの燃料が買えなくなる
→(海外)海外で働くミャンマー人労働者に対する搾取が厳しくなる
法律でレートが非常に悪いぼったくり送金を義務付けられているため、従わなければいけない、、、
悩みが尽きません (´;ω;`)
次回の記事は以下です。