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58.~後編~空軍士官学校コロラドスプリングスでの学び(アメリカ南西部ツアーPart6 コロラド州)

前編からの続きになります。

コロラドスプリングス空軍士官学校見学記

それでは、いよいよ3月21日に行った、コロラドスプリングス空軍士官学校の見学内容です。

今回、調整していただいたフレッチャースクール卒業生の航空自衛隊の方がフレッチャースクールに在籍していた時には、陸軍士官学校(ウェストポイント)ツアーを実施していただきました。

思い起こせばこれは、ちょうど1年前の2017年3月23日・24日でした。これを機に私は安全保障に興味を持つことができて、フレッチャースクールでの安全保障セミナーに参加したり、関連書籍を読むようになりました。

想像力なき行動派の私としては、どこかしら現場に行って体感しないと実感が湧きません。日本では防衛大学校にも富士総合火力演習にも行ったことが無く、安全保障とは無関係の人生を歩んできましたが、ウェストポイントに行ったことはフレッチャースクールでの思ってもみないセレンディピティでした。

その後、海軍士官学校(アナポリス)も2回訪問しました。
コロラドスプリングス空軍士官学校でついにグランドスラムなので期待を膨らませていきました。

まず、第一印象ですが、大学が広すぎて地点間移動が車を使わないと無理ということがわかりました。

Wikipediaによれば18,500 acres(7,487 ha)の広さに全校生徒が4237人います。タフツ大学のキャンパスは150 acresに11500人、ハーバード大学も210acresに22000人なのでその広大さと閑散さがわかると思います。

広すぎるキャンパス、"We will not lie, steal, or cheat, nor tolerate among us anyone who does"

見学スケジュール

見学は、以下のようなスケジュールでした。

まずは、観光地として一般公開されているCadet Chapelに行きました。

このChapelは美しく、どこを見ても航空機の模様が意識されているのがポイントです。アルミニウム、ガラス、鋼でできた未来を思わせる外観の建物で、高さ 46 mに達する 17 本の尖塔が空に向かってそびえています。

ここは、あらゆる宗教に対応できるよう建てられた礼拝堂で、それぞれプロテスタント教徒、カトリック教徒、ユダヤ教徒、仏教徒にわけられた礼拝室がありましたが、イスラム教徒の礼拝室は見当たりませんでした。

ここはプロテスタントの礼拝場で一番立派で綺麗でした
ここはカトリックの礼拝場で、上のプロテスタントと比較してかなり、こじんまり子さんです
ここはユダヤ教の礼拝場で更にこじんまり子さん
仏教の礼拝場は、5人入ったらいっぱいなのではないかと思えるぐらい、こじんまり子さん

アーノルド将軍

士官候補生の正式な舞踏会が開かれるアーノルドホールへ行きました。ホール前には、空軍の産みの親であるアーノルド将軍の像が堂々と立っていました。

広々とした室内には、士官候補生の制服やスポーツのトロフィーケースが飾られ、空軍で活躍する女性についての展示もありました。

アメリカ空軍の父、ヘンリー・ハーレー・“ハップ”・アーノルド

学生生活を体感するために、現役の学生(マロンくん)に学生寮を案内してもらいました。

部屋のなかの雰囲気
毎日部屋の綺麗さの点数をつけられます
美し過ぎるクローゼット、こんまりもΣ(゚Д゚)ですね
学生が描いた廊下の壁、Freedom isn't free.日本にはあまりない感覚です

お昼前には、フォーメーションの見学です。

11時35分から15分程かけて、部隊毎にフォーメーションという行進を経て、食堂に入ります。

昼食時間は11時50分~12時5分ぐらいの15分ぐらいを想定しているようです。

毎日昼食前に繰り返されるフォーメーション

その後は、昼食を食べて、ガイドをしてくださっている防衛大学校から派遣されている教官が普段教えているフロアにきました。

日本語があって安心しましたが、韓国語はないようです。少し古い2011年のデータですが、韓国にも在韓米空軍は8000人いるはずなので不思議です。

韓国のUS AirForceは結構な人数いるはずなのにな~

その後は待ちに待った学生との意見交換でした。
印象的だったポイントを箇条書きにします。

意見交換のまとめ

●空軍に入った理由は、最も新しく成立した組織で、過去の慣習に捕らわれず新しいことを積極的に取り入れる組織であるため。

●軍隊のなかで最も早く女性差別を無くしたように、空軍は人を大事にする組織である(1976年6月28日に女性士官候補生の受け入れを開始し、女性157名が入校。1980年5月28日に初の女性卒業生として97名が卒業)。

●陸軍は上意下達の文化があり上司に「行け!」と言われたら行くが、空軍の場合は「なんで?」と部下が上司に理由を求めることができる。もともと陸軍の下にあった組織が独立したために、全く異なる組織カルチャーがある。

●ウェストポイントにも合格していたが、いざ戦争になった時に一番最初に敵地にてスペースを確保するのが空軍であり、任務がカッコいいので選んだ。

●多くの学生はカリフォルニア州、テキサス州の出身(両州で6800万人に人口を誇り、コロラド州に近いので自然の現象か!?)
●1~2年生は車を保有できないため、校内の移動が大変。車保有者への媚売り作戦で、一緒に同乗させてもらうのが一般的。

●一番厳しいと感じるのは、1年生のはじめの9か月ほどのRecognitionと呼ばれる見習い期間。(この期間は、crawling, running, jumping, shouting and answering questions等は当たり前で、更に広場の白いタイルの上しか移動できない、寮のなかの一部のフロアの立ち入りが禁止される等の厳しい条件が課されている。詳しい説明はコチラのAir Firce HPより)

●週末は勉強をしたり、ホームステイファミリーの家に1週間分溜まった洗濯物を持っていって洗ってもらう。
(1人に必ず1家ホームステイファミリーが付く仕組み、普段は寮で暮らしているが週末は一緒に暮らせるらしい、1回3ドルかかる洗濯代の節約のため、大量の洗濯物を運び出す光景を週末に見られる)

●日本はGroup Think(集団主義)が中心で、他人に迷惑をかけないという文化だが、アメリカはその逆。また、出る杭は打たれるという文化は良くないと思う。2つを足して2で割ったぐらいがちょうどいい。

●アメリカのたとえ話で、「アメリカと日本はどちらが最初に宇宙に行けるか?」というものがある。アメリカは宇宙に行くために宇宙船とそれに必要なエンジンを作るが、日本はエンジンの性能を出来るだけ向上させることに集中してしまい、結局アメリカが最初に宇宙に行くことになる。日本は技術改善を得意とするが、目的合理的でないところが、日本とアメリカの差になっている。

最後はおみやげ屋さんによって、Tシャツ2枚とステッカー2枚を買って満足しました

個人的な感想

以上、初めてコロラドスプリングス空軍士官学校を訪れて、ウェストポイント陸軍士官学校にもアナポリス海軍士官学校にも無かった、先輩と後輩の壁が無い風通しの良さと人を一人前として扱う文化を実感しました。

今回の見学のために、尽力して下さった航空自衛隊の教官の方および航空自衛隊のフレッチャ卒業生の方にはこの場にて感謝申し上げます。貴重な機会を有難うございました。

以下は、士官学校の廊下のあったかっこいい展示物特集です。













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