ベトナムday3~ダナン・ホイアン~
2024.1.14
朝7時半に空腹で目が覚めた。路地裏のドミトリーで昨夜は治安が良くなさそうに感じたが、30秒程歩くと潮風が感じられるリゾートホテルがある好立地だったことに気が付いた。更に30秒歩いたところにあった小洒落たカフェに入るとバインミーとブラックコーヒーをテイクアウトで注文した。受け取ると、徒歩5分くらいのところにあるミーケビーチで食べることにした。大きな椰子の木、波の音に包まれながら食べる朝食は最高だった。あり得ないくらい甘いブラックコーヒーに少しの不満を感じながら、今日の予定が何もないことに気がついた。何となく、ホイアンに行くことにした。
バインミーを半分ほど食べ終えた時、ついに腹痛に見舞われた。(行きの飛行機で、お腹を多分壊すよとベトナム人が教えてくれていた)美味しいバインミーがなくなっていくことが悲しく、ゆっくり味わいながら食べていたが、背に腹はかえられぬと、残り半分を急いで平らげてドミトリーまで走った。が、しかし、10人に対して1つしかないトイレが中々空かない。トイレからは英語だろうか、話している声が聞こえるので、ノックして何度かアピールした。3度くらい峠を越えた20分後に、イヤホンをした欧米人が何食わぬ顔で出てきた。感情を抱く余裕もなく、便器に座ると危機一髪。冷静になると、トイレより外の方が電話しやすいだろ!と怒りを通り越して何故か笑えた。
身支度を終えて、フロントでホイアン行きの路線バスの乗り場を聞いてみると、どうやらコロナ以降廃線になっているらしい。Grabという配車アプリで検索してみると、45㌔の道のりをバイクタクシーで8万ドン(480円)だというので、バイクタクシーに乗ることにした。
待ち合わせ場所に行き、いざ乗るとぐんぐんスピードを上げ、想像よりも怖い。その時の顔を見ることができれば、自分史上4番目くらいには、怯えてた顔をしているだろう。運転手も同じ人間で生存本能を持っているから安全だ!という謎理論で自分を安心させ、景色を楽しむことにした。向かって左手の海辺にはいくつものリゾートホテルが悠々と建っている。道路を挟んだ右手側には仏教を感じさせる像が立ち並んでいる。仏教味の強い沖縄のような雰囲気だった。途中には、五行山と呼ばれる西遊記で知られるパワースポットを通過した。
景色が田園風景に変わり少し経つと、ランタンで飾られた街に入った。貿易で栄えた港街であり、時間がゆったり流れるように感じる。どのように過ごすか考えていなかったので、ひとまず景色の良さげなカフェに入った。四階テラスに上がると、中華風の古い街並みを眺めることができて美しかった。地元産コーヒー豆をエスプレッソで頼むと、苦いどころではなかった。ベトナムコーヒーは苦味が強いらしい。今日の宿を予約した後に、ホイアン観光について調べると、6枚綴りのチケットを20万ドンで買って、気になる6箇所を巡ることができるらしい。僕は朱印船貿易や日本とベトナムの関係について知ることができる幾つかのスポットを巡り、残りは適当なところに入ることにした。
まずはじめに一番楽しみにしていたお金にも印刷されている日本橋に行ってみた。が、しかし、改修工事中だった。残念だが、重要な建築物を長く保存しようという取り組みなので仕方がない(と合理化した)。その後、博物館や中国風の寺などを巡った。芸術や歴史に詳しくない上に、日本語による解説は無かったので展示品を見て回ることに終始したが、4,5百年前に日本商人がこの場に居た事に想いを馳せるとロマンを感じる。だが、昼間のホイアンで一番記憶に残っているのは、実はお昼ご飯だ。地球の歩き方に書いてなければ、入るのが怖いようなローカル店でコムガーと呼ばれるチキンライスとビールを頼んだ。チキンライスが最高に美味かった。ターメリックで色付けられたパラパラのコメの上にチキンと香草とパパイヤサラダ。素朴な味なのだが、忘れることができない味だ。
14時、チェックインできる時間になったので宿に向かった。この日は、1人部屋を予約したのでゆっくりできるとウキウキで向かった。が、予約ができていないと言われた。サイト上はできていたので、宿側は40分くらい奔走してくれた。担当の人と途方に暮れていた時に、気がついた。僕が明日の日付で予約していたのだ。本気で謝った。1時間近くも無駄に、動いてくれたにもかかわらず笑顔で「しゃーない!ミスくらいあるよね」みたいなことを言ってくれた。しかも、水をタダで「観光楽しんで!」とくれた。本気で謝る僕を気遣ってくれたのだろう。あたたかい。
気を取り直してブッキングドットコムを見ると、直前割で16000円の部屋が2419円になっていた。それでも少し高いが、個室の中では一番安かったのでそこにした。1.5㌔先だったが歩いて向かうとプール、テラス、でかいテレビ付きで2419円とは到底思えない部屋だった。最初の宿の人には申し訳ないが、怪我の功名だ。
3時間ほど休憩をして、薄暗くなったので再び街に出るとランタンが灯されて幻想的な街並みになっていた。昼とは別の店で再びコムガーが食べた。これがまたうまい。店を出ると、空は更に暗くなっており、ランタンが際立っている。中華風の赤い建物とよくマッチし、美しい。ただただ美しい。川沿いに向かうと、川にはランタンで装飾された船が幾つもう浮かんでおり、これもただただ美しい。本当に感動すると、うまく言葉にできず美しいしか言えないのだなと思う。テラス席のあるカフェに入り、瓶のサイゴンビール2本をお供に、美しい景色を眺めた。辛くなった時には、ここに来よう。
ホテルに戻ると、暖かいシャワーを浴びて、清潔なベッドに飛び込んだ。あぁ、幸せだ。残りの6日間、どんな最高な日々が待っているのだろう。と、想像しながら目を瞑った。