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<主-客>の境界線が消える 中動態的超資本主義とは PHASE2
皆様、如何お過ごしでしょうか?
6月も中旬から下旬へと向かう今日この頃ですが、皆様、どの様な書籍をお手に取っておりますでしょうか?
コロナウィルスに対するワクチン接種も始まりましたが、引き続き体調管理にはお気を付けて下さい。
前回に引き続き、今回も・・・<主-客>の境界線が消える 中動態的超資本主義とは?の PHASE2を書いていこうと思います。
記事を書くきっかけはPHASE1でもお伝えしましたが、standfmである御方からのレターを頂いた事がきっかけでした。
資本主義とは?とか、資本とは?などを考えながら、そもそもアップデートする必要があるのか?も考えておりました。
格差はそもそもどの様に開いて行くのか?などなど・・・自宅にある書籍や論考を調べておりました。ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・ユージン・スティグリッツは近著でも次の様に語っております。
「不平等は必然ではない」
■ジョセフ・ユージン・スティグリッツ/Wikipedia参照
しかし、フランスの経済学者トマ・ピケティが「21世紀の資本」の中で「クズネッツ曲線」を提出したものは、サイモン・クズネッツが提唱した理論を覆し、長期的に資本収益率(r)が経済成長率(g)を上回る(r>g)以上、資本主義を放置すれば「必然的に経済的不平等が拡大する」というアンチテーゼを提出しております。
■トマ・ピケティ/Wikipedia参照
今回のPHASE2からもお読み頂く方はPHASE1もお読み頂けますと幸いです💡
早速ですが、まだまだ、自分の思考をまとめ切れておりませんが、音声配信した内容を文字起こしして参りたいと思います💡
standfmの音声コンテンツはこちらです↓
【第478回】資本主義をアップデートするには?
格差が広がらない為の処方箋
かつて・・・
オブジェクト指向プログラミングのパイオニアでもある、パーソナル・コンピューターの父、アラン・ケイはかつて次の様に語っております。
■アラン・ケイ/Wikipedia参照
未来を予測する最も確実な方法は、それを発明することだ
また、前回もご登場頂きました、イマヌエル・カントはかつて次の様に語っております。
■イマヌエル・カント/Wikipedia参照
「我々は欲望から物事を始める」
人間の欲望とは一体どこから来るのか?欲望に忠実に従った結果、人間が到達する世界はユートピアか?またはディストピアなのか?
ダンマパダには次の様な記述がございます。
比丘たちよ、この舟から水を汲み出せ。汝が水を汲み出したならば、舟足軽やかに進むであろう。このように貪欲と瞋恚とを断ったならば、汝は涅槃に達するだろう。
仏教では、眼・耳・鼻・舌・身・意(げん・に・び・ぜつ・しん・い)の六根から欲を生ずるとされております。
また三界(無色界・色界・欲界)と言いますが、六根の様に様々な欲へ執着している者が住む世界として欲界がある一方で、現実世界の人間や天部の一部の神々等がこの欲界に含まれる存在であるともされております。
仏教では、欲そのものは人間に本能的に具わっているものとしてしております。
アブラハム・マズローは「欲求階層論」を提唱しておりますが、これは、人間は、ある欲求が満たされると、より高次の欲求を満たそうとする、とするものであるとしております。
人間の欲求は、「生理的欲求」「安全への欲求」「社会的欲求」「自我欲求」「自己実現欲求」の、低次元から高次元までの、5つの階層を成しているとして、低次元の欲求が満たされて初めて高次元の欲求へと移行するものであると考えたようです。
また、「生理的欲求」や「安全への欲求」を「欠乏欲求」と呼び、一方で自己実現を求める欲求は「成長欲求」と呼んでおります。
欲求を低次なものと、より高次なものに分類しており、欲求が満たされると脳内で「報酬系」が活動し「快」の感覚を感じるわけですね。
逆張り思考で言えば・・・「不快」を感じさせないようにするとも解釈できます。余談ですが・・・マズローは晩年、6段階目の欲求として「自己の超越の欲求」を提唱しております。
■アブラハム・ハロルド・マズロー/Wikipedia参照
自己の自然な欲求には素直に従いつつ、より自然な形として世界の建設に携わったり、或いは他社との自然な関わり合いとして相互連携して行くことで自己を高め周囲に良い影響を与えられると同時に自分も良い刺激を受ける事で相互により良く成って行くように思います。
ハンス・ヨーナスはかつて次の様な事を語っております。「自然全体を人間の活動と相互作用の関係にある環境として捉えることができる」とも。
■ハンス・ヨナス/Wikipedia参照
また、脳科科学者のマイケル・ガザニガも<わたし>はどこにあるのかで次の様に書いております。「脳は自動的に機能していて、自然法則に従っている」と。
脳は二つの意識システムに分かれるのではなくて、複数のダイナミックなシステムの集まりだとも考えられております。
脳は脳全体に専用回路が配置されていて並列処理を行っており、この回路網が無意識レベルで様々な処理を並列で行ってわけです。そして・・・興味深いことにそれを統括している「本部」は存在しないとしております。つまり、総責任者である「本質」なるものの不在を意味しております(汗)
余談ではございますが、並列分散型システムから生成される、行動・情動・思考に理由付けを行う「インタープリター」と呼ばれております。ちなみにこのインタプリターは左半球に存在します。インタープリターが私たちの記憶、知覚、行動とその関係についての説明を考え出しているのです。仮説を立てようとするその衝動が人間の様々な信念を生み出す原動力となっているのです。
■マイケル・ガザニガ/Wikipedia参照
紀伊國屋書店HP参照
私は自然の中で読書をするのが大好きですが、それはコンテンツ×コンテクストリーディングという読書法に効用があると感じているからです。
人間が自然の一部であるという自然回帰の考え方は個人的には不思議なものでもなく自然なものだと思っております。
自然界の法則は様々な所で見受けられますが、例えば水が凍ると六角形になるのはご存知かと思いますが、幾何学的に見てもとても美しく芸術だと思います。
これは水の分子は氷になるとき、六角柱の形でくっつきやすいからだという事です。自然の中に備わっている、自己組織化、自発的秩序形成と言われる法則の様なものですが、さらにマクロ視点で自然を俯瞰してみると、「個」と「種」との関係性が絶妙なバランスを保って全体最適になる様に自動調節されている事がなんとなく見えてきます。
佐藤航陽さんは興味深い洞察を提出しておりますが、自然が経済に似ているのではなくて、経済が自然に似ているからこそ、資本主義が大きく台頭したということを語っております。
先ほど申し上げた自然界の法則や自然の構造については、ロシアの物理学者で1977年にノーベル化学賞を受賞しております、イリヤ・プリゴジンが散逸状態という概念を提唱し、次の様に語っております「平衡状態では物質は盲目である」と。
平衡から遠く離れた状態では、新しいタイプの構造が自発的に生じうることを知っているという事ですが、平衡から遠く離れた条件化では、物質というものは、外界の違いを感知して、それを考慮に入れて機能し始めるという事の様です。この一定の秩序を様々なものと相互連携し、自動調節しながら秩序立てる事が自然と同様に経済においても成り立っているとも捉えられるということです。
■イリヤ・プリゴジン/Wikipedia参照
余談ですが、プリゴジンは自然科学の領域だけではなくて、考古学の領域でもプレ・コロンビアンの石器に関する業績で考古学の名誉博士号を受けておりますが、一つの領域だけではなく複数の領域で卓越した成果を出すには、自然界の法則を理解したり、お題に対して様々な領域からアプローチをして共通項や対立構造を見るなど、縦にメトニミー的に掘ったり、横にメタファー的に少し間隔を空けて領域横断的に飛び越えて行くなどの縦(糸)と横(糸)の様に思考を巡らせる事も大切だと感じます。
かつて、フリードリヒ・ハイエクは、「法と立法と自由」の中で「自生的秩序のルール」について「ノモスとしての法」なる言葉で次の様に語っております。
人々が取引を繰り返しているうちに、意図せず自然に形成されるもので、典型的には、長い年月を重ねて裁判所の判決が積み上げられている内にできあがってくる慣習法である。
フリードリヒ・ハイエクは1974年にノーベル経済学賞を受賞しておりますが、ハイエクの有名な書籍は「隷属への道」です。
■フリードリヒ・ハイエク/Wikipedia参照
ナチス・ドイツの様な中央政府が社会をコントロールする設計主義を批判しています。政府の役割は最小限に抑えて、市場に任せて経済活動を行うべきだと主張し、その考えを継承して、ミルトン・フリードマンはかつて、新自由主義を提唱して、ケインズを批判した様に自由に市場に任せることで経済がうまく行くと考えていたようです。リバタリアニズムという言葉も想起させられますが、フリードマンはシカゴ大学の教授をしており、数多くの名だたる経済学者を育成しております。フリードマンとその弟子たちを「シカゴ学派」と呼んだりしますが、影響力は絶大だったようです。
■ミルトン・フリードマン/Wikipedia参照
カール・マルクスの資本論では、資本主義経済には限界があり、労働者と資本家の格差は広がり続けると指摘を加えております。
■カール・マルクス/Wikipedia参照
そして・・ジョン・メイナード・ケインズは次の様に語っております。
「我々が生活している経済社会の顕著な欠陥は、完全雇用を提供することができない事と、富および所得の恣意的で不公平な分配である」
ケインズは適切に政府が市場に介入していけば、資本主義は持続可能だと説きました。
ただその延命のために規制緩和と金融化を推し進めて行く中で国家の債務の累積が起きており、それは「時間稼ぎ」でしかなくその帰結が・・・
リーマンショックとういうことかとも思えます。この記事&standfmの配信タイトルの副題は「これ以上格差が広がらないための処方箋」としておりますが。
格差は広がるべくして広がっている様にも思いますが、この格差は経済面に限らず例えば教育面の格差も昨今、エマニュエル・トッドが指摘しているように広がっている様にも思います。
■エマニュエル・トッド/Wikipedia参照
エマニュエル・トッドは次の様な指摘を加えております。
「学ぶという行為自体が目的になるべきであり、学ことでより良い人間になれる」
マルクスの階級社会の到来を指摘してエリートVS大衆の階級闘争の到来を予見しております。この学び続けることや。何を学ぶのか?は脱資本主義に必要不可欠なファクトだとも捉えられそうです。
ダニエル・コーエンが「経済成長という呪い」という書籍の中で「幸福は社会によって規定される」と語っておりますが、20世紀の様な経済成長は21世紀には起こらないともしております。
■経済成長という呪い/東洋経済HP参照
余談ですが、ダニエル・コーエンはトマ・ピケティらとパリ経済学校を設立を設立しているなどで関係性も深いです。
これは前回の記事&配信の通り、「21世紀の資本」を書いたトマ・ピケティが指摘している通り、これまでが異常値であり、歴史的にも論理的に見てもこれは幻想に過ぎないと指摘を加えております。
幻想や虚構を勝手に作っているに過ぎないと・・・
資本主義が様々な「記号」の集積だと考えればそういった考え方もあるのだと思いました。
カール・マルクスは資本論の中で資本主義を倒すために分析せねばならないと言っております。資本主義は商品の集合体である事は何となく理解できますが、その商品の最も基本的な形式が労働者の労働力であると言うわけです。つまり、最小の単位が労働力という商品であると言っています。
テクノロジーが日進月歩で発展し、マイケル・オズボーンが言うようにAIに仕事を奪われるという論考も目にはしますが、恐らくそうはならないのでは?と個人的に思います、ロボットと一緒に生活したり、ロボットと融合する人が未来で出てくるのかもしれませんし、SF小説の中の事が現実に成ると言う可能性も十分にある様に思います。
■マイケル・オズボーン博士
ちなみに、前回記事の通り、オックスフォード大学の准教授(当時)、マイケル・A・オズボーン博士が、カール・ベネディクト・フライ研究員と共著で発表した論文「未来の雇用」です。。副題に「いかに仕事はコンピュータ化されていくのか?」です(汗)
論文のタイトルを知らなくても・・・
「米国労働省が定めた702の職業をクリエイティビティ、社会性、知覚、細かい動きといった項目ごとに分析し、米国の雇用者の47%が10年後には職を失うと結論づけてしまった・・・」というお話を報道などで聞いた方も多いように思います。ご興味ございましたら、職業の消滅パーセンテージと順位までご丁寧に出ているのでお調べ頂ければと思います。
PHASE2を書き終えても・・・
「資本主義をアップデートするには?」や「格差がこれ以上広がらないための処方箋」という大きな問いに対しては私自身、明確にこれをすれば、全て解決するという魔法は見つけられませんでした。
「学び続けること」「問いつづけること」がヒントの様にも思えてきました。かつて、ドイツの政治学者、社会学者、マックス・ウェーバーは「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中で次の様に語っております。仕事とは?すなはち自分の職業を「天」から与えられたものである。すなはし天命であると指摘しております。労働は神の栄光を増すために最適な営みだというのが当時のパラダイムでした。
■マックス・ウェーバー/Wikipedia参照
「大いなる何か」に導かれている感覚を持つことがまずは大切なことの様に思いました。
モリス・バーマンが「デカルトからベイトソンへ /世界の再魔術化」の中で指摘している通り世界は魔術化が進行しております(文藝春秋BOOKS参照)
科学技術により脱魔術化は20世紀まで続いておりますが、脱魔術化は、ドイツの社会学者マックス・ウェーバーの代表作「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」の中に登場する概念でもあります(プロ倫なんて呼ばれていたりします)。
21世紀は再魔術化の時代とも言えそうです。
どういう事かと言いますと・・・
なぜそうなるのか?がだいぶ、見えにくい時代に生きておりますが、本質は隠れており、目には見えないため、心眼で見ようとしないと立ち上がってこないものだと思います。以前に「星の王子さま」/アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ著をLIVE配信した事がありますが、「大切なものは目には見えない」のだと思います。
■アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ/Wikipedia参照
【第390回】星の王子さま/standfm コラボLive
※15ヶ月配信しておりますが、はじめてのコラボLIVEです。
そろそろコラボLIVEでも何方かと開催してみようと考えておりました(汗)
ここまで、読んで頂き有難うございました❕
まだまだ・・・核心部分に到達出来ませんが、次回も資本主義の先にあるものは?という大きな問に向き合って行きたいと思います。有難うございました❕
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◯読書術研究家の日々の活動↓
ここからは・・・毎度の宣伝で恐縮です(汗)
・【子育て×読書体験ラジオ】=配信15ヶ月目に突入💦
2020年4月5日~配信をスタートしており昨日(2021/6/15迄)で508本の音声コンテンツを配信しております。
【Twitter】
日々読書について語ったり、興味のあるツイートを拡散したりなど活用しております。
【REC】
stand.fmと同時期にローンチされたと思われるRECでも音声配信をしております。本日(6/14)までに58個の音声コンテンツを配信しております。
まだRECの世界にある「何か」が分からないので引き続き配信を続けてみようと思います。
【POTOFU】
POTOFUも活動URLをまとめました。宜しければ、お立ち寄りください。
リアルの場でもSNSでも一期一会の出会いを大切にして参りたいと思います。引き続き宜しくお願い致します。
■ブリア=サヴァラン/Wikipedia参照
どんな書籍を読んでいるか言ってみたまえ!
きみがどんな人か言い当ててみよう~
有難うございました~✨
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