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イノベーション・オブ・ライフを再読する⑤人生にも「イノベーションのジレンマ」がある


クレイトン・クリステンセンさん「イノベーション・オブ・ライフ」を再読している。84ページ、第1部「幸せなキャリアを歩む」第4講「口で言ってるだけでは戦略にならない」までを振り返る。

本講は本書の代名詞的なパートといえる。クリステンセンさんの名声を確固たるものとした「イノベーションのジレンマ(イノベーターのジレンマ)」が、人生においても発生することを明らかにしているからだ。

イノベーションのジレンマは、企業が長期的な利益を生む革新的な商品よりも、短期的な利益を生む安定的な商品の販売・開発に注力してしまう矛盾である。このため、老舗企業はときに新興ベンチャーにローエンドから市場を革新され、ハイエンドまで全てを持ってかれてしまう。それを指をくわえてみてしまう。

これが人生においてもある、とクリステンセンさんは言う。たとえば、終業間際、あと30分かけてもう一つ仕事をやるのか、早く家に帰るのか。多くの人は、仕事を選んでしまうのでないか。

それは仕事の成果が短期に、確実に現れるからだ。一方で家庭で過ごす時間は何気ない。それによってパートナーや子どもとの関係が深まっていることが如実に現れるのは、おそらく数年後、数十年後になる。

クリステンセンさんはこの何気ない「資源配分」を誤った人が、ゆくゆく私生活が崩壊しやすくなるのでないかと説く。企業が長期的な商品開発を怠るように、長い年月をかけて形になる家族を顧みなければ、それは最後にはボロボロになってしまう。

これにはただただ頷くばかりで、批判的な検討がどうにも思いつかない。一つ言えるとすれば、多くの企業と同じく、わたしたち個人もまた、長期より短期に目を向けて愚かな選択を繰り返してしまうのだ。それはもうどうしようもないくらいに。

わたしたちはどうしたらよいのだろう?

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