書評 情報環世界~人と人とはわかりあえない。その先は~
本のタイトルから中身が全くわからないと思いますが(造語なので)
中身はとってもおもしろい本だったのでご紹介!
まずこのタイトルである「情報環世界」とは。
「情報環世界」とは、現代の情報環境の中で、もう一度、生物としての人間を見つめなおし、あらゆる「私ならざるもの(=他者)」と対話していくことで、多様な人々が豊かに生きる方法論を見出そうとするある研究会において設定された新しい概念です。
まだ???かもしれませんね。
環世界とは、閉じられた世界。
普段生活していて、自分や他人はそれぞれ閉じられた世界に生きているな、と感じますか?
むしろ、インターネットが普及し、あらゆる情報にアクセスできる今、世界は垣根なんてないようにも考えられそうですね。
でもこの本では例えばフィルターバブルという問題の話がでてくる。
フィルターバブルとは
Googleなどの検索サイトの検索結果は、ユーザーの履歴にもどづいて選択的に表示されています。その結果、ユーザーは自分にとって好ましい情報ばかりに触れ、好ましくない情報を知らず知らずのうちに遠ざけていることになる。こうして、私たちは、好ましいものだけを通す「フィルター」の皮膚=バブルの中に閉じこもるようになってきている。
このように身近にある日常にも、自分と他者との間で分断は生じている。
自分と他者。
他者の環世界はわかりえない。
同じものを見ていても、解釈や価値観から全く別のものを思い浮かべていることだってあるのだ。
”わからないもの”は、他人だけでなく、もっともっと身近な存在にもいる。
自分の“無意識”だ。
意識にとって無意識は、「私」の身体の中に同居する「最も身近な他者」ということです。
行動もそうだし、判断もそう。
表に現れている行動や考えは無意識下で処理された大量の情報の中のほんの一部。
そんな他人であったり無意識であったりの“わからないもの”とどう付き合っていけばよいのか。
そういった環世界の話や脳の構造の話まで、各分野の第一線の研究者の方々が、研究等、きちんとしたエビデンスに基づいた持論を展開してくれる。
わかりあえない。
でもそれは諦めや拒絶という意味ではなく、その前提をもったうえで、どうやって“わからなさ”と向き合っていくことができるのかと著者たちはこの本で検討し合う。
各々が環世界をもっていること。わかりえないものが存在すること。
そういうことをまず認識し、受容する。
そのうえで、そういった存在に、関わる。耳を傾けてみる。
わかり合えない他者に、自分の環世界(自分の考えや気持ちなど)をどうしたら伝えられるか?
わかることができない他者の気持ちを、どうすれば少しでもわかってあげることができるのか。
意外と自分の身近な生活に密接しているテーマではないだろうか。
例えば私も今この文章を書きながら、私がこの本を読んで思ったこと、感じたこと(私の環世界)をどのようにすれば伝わるだろうと、苦労しながら外在化している。
一度自分の環世界から抜けて、他者の目線(他者の環世界に入る)になってみて、文章を読んでみたりもしている。
大量の情報に日々さらされている今。自己発信をもとめられる今。
情報を媒介にした他者との関わり方を、いま一度深く学んでみるのもよいかもしれない。
執筆:icecream
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