【書評】『ののはな通信』~ひとを支え、まえに進ませる力とは~
「女子大河小説の最高峰」という惹句と、かわいらしい装丁にときめいて手に取った『ののはな通信』。
5月に刊行された、三浦しをんさんの3年ぶりの長編小説です。
女子校で出会ったふたりの物語
庶民的な家庭で育ったクールな秀才・野々原茜(のの)と、外交官の娘で天真爛漫な牧村はな(はな)。
1984年、高校2年生のときに、ふたりはミッション系のお嬢様学校のクラスメートとして親しくなります。
『ののはな通信』は、そんなふたりが交わした手紙やメールのみで構成された書簡式小説です。
ミッション系でもお嬢様学校でもないけれど、私も女子校に通っていたので、「ああ、こういう感じだったなー」と懐かしく、自分の思い出に重ねながら物語の世界に入っていきました。
書簡式なので、起こった出来事もすべて手紙の中で説明しているんだけど、とくに不自然さは感じられません。
というのも、思い起こせば、私もよくこういう手紙を書いてたから。
休み時間や帰り道におしゃべりして、家に帰ったあと長電話もしちゃうのに、それでも足りなくて手紙を書いたり授業中にメモを回したり。
一緒に体験して、相手も知っていることでも、書くことでもう一度味わい、酔いしれちゃうんだよね。
また、あえて語られていないのかなと思える部分にミステリー的な要素が感じられるのも書簡式だからこそ。ぐいぐいと引き込まれていきました。
閉ざされた小さな世界から解き放たれる
さて。
いつしか、友情は恋に変化していくものの、未熟ゆえに傷つけ合い、ふたりは決別のときを迎えることとなります。
……と、ここまでが一章。
すでに長編小説として成り立つような長さと濃さなのですが、物語は、別の大学へ進んだふたりが再会する二章のあと、20年の時を経て、三章、四章へと続きます。
離れていた時間を埋めるように、メールを送りあう「のの」と「はな」。
過去を振り返りつつも、決してそこに留まることはありません。
離れていた間の出来事、近況、感じたことを相手に伝えるために書くことによって、どんどん自分の考えを深めていきます。
そして、学校だけが世界のすべてだった高校時代から時間も距離も隔てて、外の世界へと自分の道を切り拓いていくのです。
心はすっかり女子高生に戻って、「わかる、わかる」と共感したり、「死」や「永遠」という言葉を頻繁に使う青臭さに身悶えしたりしていたはずが、思いも寄らないところへ連れていかれる。その展開が圧巻です。
自分のすべてを知って理解してくれているひとが、常に自分の幸せを願ってくれていたら、それはとてつもなく大きな力になる。
それに、その大切なひとに恥じない生き方をしたいと思うよね。
そんなことを感じながら読みました。
「あのころ」を共に過ごした友人と語り合いたくなる1冊です。
最後に
女子校というと「『陰湿でこわい世界』って印象がある」と言われることについて、「のの」はこう書いています。
女ばっかりだと、男性の視線をあまり気にしなくていいから、学校内ではみんなかえってあけっぴろげで風通しがいいし(ガサツになる、という傾向は否めないですが)、「男性の活躍に期待(もしくは依存)する」という発想がそもそもないから、力仕事だって文化祭などの運営だって、女たちだけで協力してなんでもやるのが当然だし。「陰湿でこわい世界」だった覚えは、特にないのよね。
この考え方に激しく同感です!!
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執筆:まっきー
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