【書評】大丈夫やで~おばあちゃん先生が教えてくれる命と生き方のはなし
この本に出会ったのは第三子を授かる数か月前だった。
この本を見て「助産院」を知り、そこで産むことに決めた私にとって大切な一冊。
妊娠期、出産期、育児期と分けて、著者であり長年助産師をされている坂本助産所の坂本フジヱ先生がおはなしをしてくれる。
一般的な育児書とはちょっとちがった、温かい目線でママや家族に教えてくれる素敵な本だ。
妊婦さんやお母さん、妊娠を望んでる方にもぜひ読んでいただきたい。
今回はわたしが各パーンで印象に残った言葉をエピソードとともに紹介していきたい。
「妊娠期」~夫との関係を築く時期
おむつを替えたり、ミルクを飲ませたりが、父親としてのかかわりだととらえる風潮がありますが、私はそんなものではないと思います。だんなさんの役割のメインは、奥さんが安心して妊娠・子育て期に集中できるように、経済面で支えること。もう一つ大きな役割は、奥さんの悩みに共感してあげること。
「イクメン」という言葉に違和感をもっていた私。
赤ちゃんのオムツを替えたり、こどもと一緒に遊びに行ったり、留守番をしてくれたり、お風呂にいれたり。
実務ができる=イクメンという像が、わたしにはどうしても歯がゆかった。
というのも、その意味ではうちの夫は超イクメン。ワガママな4才男児と泣き虫な2才児女児のお世話をほぼすべてをこなしてくれる。
でも私はそれだけでは満足ができなかった。よく働く夫に対し、そんな想いはワガママなだけかもしれないが、もっと気持ちの面での寄り添いを求めていたのだ。
第三子にもなると、妊娠中の検診で問題がない限り、夫が体調の心配をしてくれたり、重い荷物を持ってくれたりしなくなる。
”妊婦”と特別扱いしなくても結構大丈夫ってことを2度経験すると、それがスタンダードになる。
それは妊婦側の私にとっても、もちろんスタンダードになり、多少無理をしようが大丈夫なときは大丈夫だし、大丈夫じゃないのには外的要因ってほとんどないんじゃないか?という認識をした。
それでも女性は、もっと言うと女性である私は、「寄り添ってほしい」のだ。
それは初めての妊娠だろうと、二回目だろうと三回目だろうと変わらないものだと身をもって感じた。
それをフジヱ先生が肯定してくれたように思えて、ほっとした。
世の夫のみなさん、
夫をお持ちの奥さま方。
夫の役目は実務じゃありません!
イクメンは金銭的心配をなくすよう経済面で支えるひと。そして奥さんの心の声を聞いてあげるひと。
なんとなく、そんなことを言う女性は贅沢でワガママで傲慢だと思っていたから、フジヱ先生がかわりに言ってくれたのもありがたかった。
「出産期」~ 家族が赤ちゃんを迎える時期
暮らしはお産とともにあり、お産は暮らしの中にある。「子どもを授かる、育てる」ことは、「食べたり、寝たり、排泄したり」と同じ。
わたしがこの本に惹かれた理由はたぶんここにある。
というのも、息子と娘の出産、その後の入院生活は決して満足のいくものではなかったからだ。
それがこの文章のなかでしっくりきた気がする。
クリニックで出産した長男は未熟児だった。特に異常はないが体重が軽かったので保育器のなかで成長を待った。
私が退院してからも、1週間ほど息子だけがクリニックに残った。
毎日顔を見に通った。
そのなかで気がかりだったのは、「母子面会」はできるが、親族男性になると面会困難なことだった。
理由は保育器があるナースステーションには産後入院中のママたちの授乳スペースがあるから。
ママたちはそこで授乳指導を受ける。確かにそこに男性を入室させるのは無理がある。
私が低体重に生んだために夫や父は面会できないこともあった。仕方のないことだ、と当時は思ったが歯がゆかった。
その仕方ない原因は"クリニック"という形態にあると考えた私は、娘の出産場所として"NICUのある総合病院"を選んだ。
しかし今度は「未就学児面会お断り」が立ちはだかった。
個室はその限りではないのだが、そのため大人気で、入院中微塵も個室入院の可能性を感じなかったほどだ。
それなのに、うちの夫と息子はほぼ毎日朝から晩までフルで面会に来た(^_^;)
産後間もない身体で生後数日の赤ちゃんと、夫と息子に会うために「面会スペース」と呼ばれる廊下で過ごした。
この経験もまた苦く、第三子の出産場所に心底悩んでいたときに「助産院」という場所を知った。
結果から言うと、あまりにも素晴らしい出産の瞬間だった。
夫、息子、娘が同じ部屋で出産に立ち会い、助産師さん3人が腰をさすったり、手を握ったり、子どもたちに赤ちゃんのお話をしてくれたりした。
もちろん医療が必要な妊婦もいるだろうし、産婦人科を否定するわけじゃない。
しかし、妊娠は病気じゃない。リスクはあるが、そのことばかりに気を取られては新しい家族の誕生がもったいない。
妊娠出産を特別なことにしない、日常と家族のなかにあるスタイルは今後日本でも大切にされていくと思う。
家族のなかに出産がある。それはシステムや施設形態によって阻害されるべき領域ではない。強くそう思った。
「育児期」〜そばにいて、相手をして、喜びを共有する時期
そしてこの本の良さは単なるエールに終わらないことだ。
専門家の経験談、それはすでに統計学だ。
「自分はお母さんの役に立っている」。この喜びが子どもの居場所、本物の幸せを作るんやね。
子どもの成長はめざましい。時に母親の自分だけが置いていかれてるように感じて焦ってしまうこともある。
それは決して焦る必要のあるものではなく、ともに喜びを共有する時期に差し掛かった証拠だ。
そして、その期間は長いようで短い。
振り返れば短い時間だからこそ、「大丈夫」と自分を信じて、子どもや自分と付き合っていきたい。
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読んで!子育てしてる人、これからする人、子どもに関わっている人、母親に関わっている人、モテたい男の人・・・つまり全員!読んで!!
written by えんどうまりえ
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