【ショートショート】節分胎教
「あなた。今赤ちゃんが動いたわよ」
「おお! ほんとかい?」
「何か話しかけてよ。歌を聞かせたり、絵本の読み聞かせなんかもいいわね」
「そうだな……。あ、そういえば今日は節分だったな。ようし。俺が節分の歌を歌ってやろう! 鬼は外〜♪福は内〜♪」
「あ、今お腹を蹴ったわ!」
「喜んでくれたのかな」
「待って。今スマホのアプリを起動してみるわ。お腹の中の赤ちゃんの気持ちがわかるアプリがあるの」
「へえーそんなのがあるのか」
妻はスマホのアプリを起動し、お腹に当てた。
まもなく、次のようなメッセージが出てきた。
「『鬼は外』のまま終わってたら、外が鬼だらけになるよ。根本的な解決方法を探さないと……」
後の内閣総理大臣、九保田 独虫氏の有名な逸話である。
(333字)
今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!