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【ショートショート】宇宙一エモいバックドロップ

 海王星に住む友人の結婚式へと向かう途中、カメムシの軍団に捕まった。
「やい。そこのクソ人間、よく聞け。お前ら人間のせいで、俺たちカメムシは地球を追放され、こんな辺境の地で生きることになったのだ。その切符は海王星行きだな? ここから先は通さんぞ」
「そ、それは困るよ。友人の結婚式なんだ。通してくれよ」
「そんなん知るか! ……だが俺たちも鬼ではない。ここを通して欲しけりゃ、『宇宙一エモいバックドロップ』をここで披露してみろ。そしたら通してやる」
「う、宇宙一エモいバックドロップ……?」
「なんだよ。できないのか。人間なんて大したことないなあ。わはははは」
「できないこともないけど……」
「なら早くやってみろよ」
「じゃあ……」

『人間の姿』を解除して、『本来の姿』に戻った火星人の俺は、その100本の触手を使い、カメムシの軍団全員を掴んで近くの小惑星へとバックドロップをかました。カメムシたちは潰れてしまった。

                  (410字)

今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!

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