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【ショートショート】無人島生活福袋

 商店街を歩いていると『無人島生活福袋あります』とポスターが貼られた店があった。
「無人島生活……福袋?」
 その店はボロボロで、カーテンで閉められており中は見えない。電気は付いているので、営業はしているようだ。
 俺は好奇心でその店に入ってみた。
 店に入ると男がいて、棚には福袋が一つあった。
「いらっしゃいませ。いやー貴方は運がいい。最後の一つです。無料で差し上げます」
 別にいらないけど無料なら……。
「じゃあ貰います」
「ではこちらへ」
 男は店の奥のカーテンを開いた。そこにはSF映画にあるような機械が鎮座していた。
「これは?」
「無人島に行けるワープ装置です。さあもう時間がない」
「ち、ちょっとまっ……」
 俺は強引にワープ装置に入れられた。
「スイッチオン!」
「あ、あのせめてどの島へ行くのか教えてくださいよ!」
ワープする寸前、男は答えた。
「未開の島です。人喰い部族がいますが、戸籍上は無人島……」

                 (413字)

今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!

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