【ショートショート】唐揚げ死なず
……時は幕末。唐揚げ派と反唐揚げ派が対立し、日本中で血生臭い戦いが行われていた。
そんな時代、唐揚げ派として今日の日本に多大なる影響を与えたとある人物に、本日は注目してみたい。
彼の名前は『窪田毒蒸』。誰しも名前くらいは聞いたことがあるだろう。
ただの地方の下級武士に過ぎなかった彼だが、いわゆる『斬新組』を結成し、反唐揚げ派の討伐を行い、唐揚げ派の代表格として全国にその名を轟かせた。
だが、目立つ反面、敵も多かった。
ある日、京都を見廻りしているところを、反唐揚げ派の連中に襲撃されて、亡くなったのである。
彼の死に際に放った『ドクムシ死すとも唐揚げ死なず』の一言は、今日の唐揚げ界の発展における代名詞としてあまりにも有名で……。
……俺は途中でテレビを切り、リモコンを放り投げた。
「だからって『唐揚げ税』なんて絶対許さねーぞ!」
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今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!