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【ショートショート】逢いたい菜

 休日。俺はチャイムの音で目が覚めた。

 眠い目を擦り、ドアを開けると宅配便だった。大きいダンボール箱だ。宛先を見ると広島の実家の住所だった。

 ダンボール箱を開けると白菜の漬物が入っていた。これはおそらく広島菜だろう。俺は広島菜の漬物が大好物なのだ。ちょうど食べたいと思っていた。今月の食費もカツカツだったところだ。本当にありがたい。

 そういえば、もう長いこと実家に顔を出してないな。連絡も暫くしていない。俺は親不孝者だな。

 俺は早速ほかほかのご飯を炊いて、漬物と一緒に食べた。
「ああ、やっぱりこの味は広島菜だ。やっぱり美味しいな」

 広島菜の美味しさを噛み締めると同時に、故郷の懐かしさを感じた。両親に逢いたいな。

 くどいようだが、広島菜はとても美味しかった。


 父も母も既に亡くなり、実家にはもう誰も住んでいないことを忘れるくらいには……。
               (385字)

今週も、たらはかに(田原にか)様の企画【毎週ショートショートnote】に参加させていただきました!

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