【探索記】眉村卓の私家版ショートショート集を探して(追記:10月8日)
私が最初に「ショートショート」という存在を知ったのは、中学校の図書館に置いてあった星新一の本を初めて読んだ時であった。
衝撃だった。「え? もう終わり?(良い意味で)」というのと「短いのにちゃんとオチがある!」という驚き。
それからしばらく経ち、社会人になり、仕事帰りに立ち寄った本屋さんでたまたま星新一の本が安く売っていたので、なんとなくまとめ買いをした。
そして読んでるうちに、私の中の何かが目覚めた。え、ショートショートってこんなに面白かったっけ? これは集めないと!
そして私はショートショート収集を始めた。それが約4年前、まだ20代半ばの頃だ。
まず、星新一のショートショート集を全て集めた(あくまで商業出版されているものを「全て」集めたという意味です)。
そして情報収集しているうちに、星新一以外にも沢山の作家がショートショートを書いていることを知った。筒井康隆、小松左京、眉村卓、豊田有恒、都筑道夫、山川方夫、阿刀田高、稲垣足穂などなどあげればキリがない。まだまだ沢山いる。
私は星新一以外のショートショートも収集することにした。約4年間で部屋に図書室ができるくらいにはショートショート集が集まった。でも私なんて収集家としては新米だろう。この活動は4年経った今でも続いている。
……さて、前置きが長くなったが、そんな中出会ったのが、眉村卓である。眉村卓の経歴は言うまでもない。「日本SF第一世代」の一人で、日本SFの勃興期から常に第一線で活躍してきた作家である。
そんな眉村卓はショートショートも沢山書いた。沢山どころか、ショートショートの作品数自体は、あの星新一をはるかに上回る。日本で一番ショートショートを書いたのは、彼ではないだろうか。
眉村卓のショートショートはとにかく面白い。勿論、商業出版されたショートショート集は全て集めた。
そんな中、私家版のショートショート集「日課・一日3枚以上(全10冊)」の存在を知った。これは、病床の妻のために毎日ショートショートを書き続けた、合計1778話のうち1000話をまとめたものであり、一部は「日がわり一話(出版芸術社)」、「日がわり一話[第2集](出版芸術社)、「妻に捧げた1778話(新潮社)」、「僕と妻の1778話(集英社)」で読むことができる。
商業出版じゃないけど、絶対欲しい! でも、どうやって……。
私はネットの海を徘徊したが、あっても売り切れていたり、そもそも私家版なのでそうそう出回っていない。
途方にくれていて、この10冊に関しては諦めていた。
そしてつい最近、何を思ったのか、私は地元の図書館のホームページで「日課・一日3枚以上」を検索した。私家版だ、あるわけが……10冊在庫ありになっていた。灯台下暗し。本当にびっくりした。即予約。そして今手元にあるわけである。
それを今、噛み締めて読んでいる。面白い。本当に面白い。幸せだ。
しかし、しかしだ。当たり前だが、借りた本は返さないといけない。現物を見るとやっぱり「自分用」が欲しい!!!泣
もっと言うと、私家版にすらなってない残りの778話も読みたい!(一部は「妻に捧げた1778話(新潮社)」、「僕と妻の1778話(集英社)」で読むことができるが)。
私家版が読める幸せと現物が欲しい欲望の狭間に揺れている、暑すぎる夏の午後である。
追記:10月8日
以上の理由で探すのは中断していましたが、ひょんなことから1、2、4、5巻を手に入れることができました。しかもサイン入り。
探すのをやめた時、見つかることもよくある話で……!