「パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい」ワタリウム美術館 dokug(ur)a論的美術論 第四回
芸術のことも他のことも何もよく知らない蝉倦俊歩(せみあきしゅんぽ)が、かすかでも何かを美しいものを知るために美術に直面しに行くエッセイ。
「パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい」ワタリウム美術館
開催期間:2024年2月4日(日)~ 5月6日(月)
http://www.watarium.co.jp/jp/exhibition/202402/
会場までの道(飛ばしてもよい道)
前回に行こうとしてまだ開催されていなかった「パーフェクト・カモフラージュ展」のために、ワタリウム美術館に再訪した。
美術館に着くと前回はいなかったスタッフさんが立っており、展が開催しているようで一安心。
ワタリウム美術館は都市型の小さな美術館で、ビルの2~4階が美術館、一階は美術系のインテリアショップ、地下は美術書を取り扱う本屋と喫茶店がある。
「パーフェクト・カモフラージュ展 私はアートになりたい」の感想
「パーフェクト・カモフラージュ展」はその名の通りカモフラージュをテーマとしてワタリウム美術館の所有するコレクションを展示しているものだった。
アンディ・ウォーホルやキース・へリングの作品から、さわひらき氏や野口里佳氏などの現在も活躍されている芸術家の作品まで、幅広い表現の作品が展示されており、刺激を受けた。
その中で気になった作品・作者をいくつかあげたい。
●さわひらき
子どもの理想とする宝箱や隠れ家を具現化したような建造物を展示していた。入り口や窓から内側を覗き込む時に幼い頃に感じたときめきのようなものがあった。
展示されていた建造物はそれぞれ雑多な物が組み合わされて構成されているのだが、よく見ると物の選択にはテーマ(飛行機、メトロノーム、化石、漫画、本、宗教など)があるようで、物語を読み解くように鑑賞することができるようにも思えた。
「still in nowhere」という作品は、建造物の中に入って梯子を上ることができ、狭い二階を覗き込めるのが面白かった。
天井の曇りガラスの窓から差し込む緩い光の中で秘密をこっそり見ているような体験は、自分の中の童心をくすぐられた。
●ロイス・ワインバーガー
美術館の道路渡って向かいの歩道沿いに大胆に展示された「組織学の断面」の作者。
粘土で作られたミニチュアの都市が崩れ落ちていく様を展示した「スカイライン」など、シンプルかつ変化や崩壊を内包した作品には侘び寂びを感じ、「境界」と「越境」について見つめる目線も共感するところがあった。
詩人でもあり、詩も展示されていたが、末端詩人である自分も一表現者として参考にしたい所。
●アンディ・ウォーホル
「エレクトリック・チェアー」の電気椅子のおぼろげなイメージが繰り返されているような表現は、繰り返し見るけれど詳細を覚えていない悪夢のようだった。
「理由なき反抗」はノリと勢いで作ったような感じがして、何かおもしろい作品だった。
はっきりとした色使いで目に飛び込んでくるような表現であり、人気があるのも分かる気がした。
日の終わり
繁華街から離れた場所にあるためか、ワタリウム美術館は落ち着いた雰囲気であり、ゆっくりと作品を鑑賞することができた。
原宿も表参道も近いし、インテリアショップも洒落ているし、デートで訪れるのにもちょうどよいのではないかと思う。
鑑賞後、ワタリウム美術館の地下の喫茶店で感想を書いた。