令和6年度記述式解説
今年の行政法の記述はちょっとマイナーな判例を題材に出題されたようですね。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=55015
です。
TV局って、総務省が免許を出すことで、放送できるようになるんですよね。
ところが、競合があったという判例です。
問題文がある方がわかりやすくて良いんですけど、問題文にも著作権があるので、掲載出来ませんから、手元の問題を見てください。
採点基準はわからないので、憶測で部分点になるだろうポイントを私なりに解釈して、お伝えします。あくまでその前提なので、実際はわかりません。合格発表後も点数がわかるだけで、どの問題の、どの部分に何点入ったのか?ということはわからないままで終ります。
44問
取消訴訟ですね。ということは被告は国か地方公共団体になります。
総務省ですから、国ですよね。
国を被告とする
->これが書いてあったら、おそらく部分点です。
誰の何の処分に対するどんな訴訟かというと、考えられるのは2つありますよね。
YのAへの免許付与の処分の取消訴訟
YのXへの免許申請の拒否処分の取消訴訟
この2つのうち、一つが正解なら、おそらく部分点だと思います。
マイナー判例で、本試験だとビックリしてしまったかもしれません。しかし、この判例を知らなくても、ある程度は出来た可能性はあります。
要するに取消訴訟なんだなとわかっていること、それとさすがにTVの放送の免許なんだから、地方公共団体ということはないだろう?とは思いますよね。なら、国しかない。落ち着いて書けば、部分点は確実に入る問題かなという感じです。
おそらく、大半の人が上のどちらかの処分の取消訴訟は書けたと思います。
民法の方は動産先取特権と債権者代位行使の転用の話ですね。
45問
法定担保物権の動産先取特権も、先取特権の中ではマイナーだったかもしれませんね。差押えがいるということがポイントですね。去年と違って、物上代位ではありません。動産だと、譲渡担保だと勘違いした人もいるかもしれません。譲渡担保だと、契約がないと成立しません。
動産売買の先取特権であること
->権利の名前が出ていたら、おそらく部分点です。
甲を差押えて
->差押えが必要です。これが抜けていた人がいるかもですね。これも部分点。第三者に転売される前だから、可能ですね。
他の一般債権者に優先して、債権を回収出来る
->何ができるかを書きます。動産先取特権の目的ですよね。一般債権者に優先する権限を持っていることがポイントですね。
46問
債権者代位権は、保全債権と代位行使する債権が何かをきちんと明示しているかどうかですね。
何を保全したいためにするのか?(何のためにの問いの答え)
->Bに対する登記移転請求権
ここで部分点だと思います。
何を代位行使するのか?
->BのCに対する登記移転請求権
ここで部分点だと思います。
何ができるのか?
->代位行使できるとか、債権者代位権を行使できるとか。文字数制限内に収まるように書く。要するに債権者代位権を行使できるんだと書けば部分点。
転用って、どこかに書いていても良い気がしますけど、文字数制限がキツイですよね。表現が多少変わっても、肝腎な意味が通じればよいはずです。
出題者の意図に答えたら、減点されないので、点数はもらえるはずです。
部分点って、何点つくんだ?と思うでしょうけど、それは採点者しか、わかりません。ただ、その問題の本質的部分だと、10点以上、そうでない部分だと4点くらいではないかと過去の傾向から想像は出来ます。でも、想像です。おそらく、記述抜きで180点超えの人がどれだけ出るかで変わるのだと思いますよ。
後から冷静に見れば、基本的な問題ばかりですが、本試験の緊張状態で、とっさに書けるか?というと、難しいわけです。そのため、とにかく、出題者の意図を素直に見出す、部分点を確実に取る。この姿勢ですよね。