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あと4か月。

今年の行政書士試験、あと4か月となりました。コツコツと勉強してきた人は、おそらく、それなりに知識が身についている頃だと思います。そういう人達にとって、鬼門は2つあります。

一つはスピードです。本番では、ビックリするほど、時間が早く経過します。普段、時間制限のない状況では、問題は解けていても、限られた時間内に、合格に必要な正解数を回答用紙に書けるかというと、個人差はあれど、経験がないとなかなか、難しいと思います。これは知識とは違う能力です。

もちろん、正確な知識あってこそ、速いスピードで回答が出来るわけですが、それは前提にすぎなくて、どの科目のどの分野にどのくらい時間をかけるのか、そして、どの問題が、実際にはどれくらい、時間がかかるものなのか、こういったことをある程度、本番前に把握した上で挑まないと、知識が合格範囲であったとしても、十分に実力を発揮できないのです。

「もうちょっと、時間があれば、出来たのに」

という、状況が発生する可能性が高いわけです。これは、模擬試験で、何度かシュミーレーションしないと、わからないものです。私の場合、過去問2年分を模擬試験として解かないで、ストックしておいて、本番の2週間前くらいに解きました。内容的にはギリギリ、合格レベルかなという感じでしたが、時間的には正直、厳しかったんです。結局、本番では、運が味方して、なんとかなったのですが、こういう方法はオススメ出来ません。もっと、計画的に、前もって、

時間内に回答出来る訓練

をすべきだと思います。このスピード能力というのは、近年、あらゆる試験で問われる能力になってきています。もちろん、昔から、すべての試験は制限時間内に解くというのは当たり前のことなので、受験対策というと、つい、知識獲得に重点を置きがちになるのですが、時間制限が無い条件なら、合格レベルという受験者は、本当の合格者の数倍くらい、いる可能性があります。そのため、残り4か月で、スピードも意識した、受験対策をすることを強く、オススメします。

そして、もう一つの鬼門は、忘却です。受験生はそれぞれ、自分なりの計画を立てていると思います。しかし、複数回、受験経験がある人ならわかると思うのですが、計画通りにはまず、いきません。理由は色々あると思いますが、最大の原因は、

自分が予想しているよりも、はるかに忘れてしまうから

です。忘れている以上、もう一度、思い出す、あるいは覚え直す必要があります。そうなると、時間が予想よりもずっと、必要になってくるんです。もちろん、全てを忘れていることはないのですが、この忘却対策、記憶の管理をおろそかにしていると、今度は、本番の回答速度の方のスピードではなく、1日で出来る勉強時間(主に暗記作業)のスピード負けをしてしまいます。

具体的にどうすれば忘れにくくなるのかですが、正直、忘れにくくなる方法はないと言ってよいでしょう。そうではなくて、思い出しやすい方法があるだけです。よく、繰り返せば、いずれ短期記憶から長期記憶へと移行すると
説明されている、本やネット記事を見かけますが、

正直、それ(繰り返せば、短期->長期記憶へ移行すること)が事実なのかどうか、怪しい

です。なぜなら、それを完全に証明することは不可能だからです。というのも、自分の名前や住所などは、憶えているじゃないか、あれこそが長期記憶へ移行した証拠だというものが多いからです。でも、よく考えてみてください。

自分の名前は適切なタイミングで、必ず、思い出す機会に恵まれている

と思いませんか?何かあれば、自分の名前をどこかに書かないといけないでしょう。役所だったり、医療機関だったり、紙とも限りません。デジタルの申請書だったりと、様々ですけど、どこかのタイミングで必ず、アウトプットさせられるんです。つまり、知らず知らずに

記憶のメンテナンスをしている(させられている)

んです。だから、一旦、長期記憶になったから、もう忘れないんだという理屈が正しいかどうかは、ある程度繰り返してから、一切、想起することなく、

10年後に検証する

とか、やらないと、証明は不可能なんです。自分の名前や住所はどこかのタイミングでアウトプットする機会が必ず、あるので、長期記憶になっているかどうか、わからないのです。その証拠に、過去に何度か引っ越した経験のある人は、3回前の住所を番地まで全部、言ってみてください。言えますか?

3回前の住所だって、その時は、長期記憶になっていると思っていませんでしたか?本当に長期記憶になっていて、もう忘れない状態であれば、何度前の住所だって、正確に書けないとおかしいですね。でも、多くの人は、せいぜい、町名くらいが限界でしょう。つまり、私達の記憶は、

ずっと、メンテナンスを続けないと、輪郭がぼやけてしまう

んです。長期記憶に移行したら忘れないというのは、そういう記憶もあるというレベルでは本当かもしれませんが、実用的なレベルでは、嘘だと思います。数十年ぶりの同窓会で、皆で話し合ったら、記憶がバラバラだったとか、写真を見たら、記憶と違っていたとか、ザラにあると思います。当時は何年も一緒に過ごしてきた人達なのです。普通は長期記憶になっているでしょう?なのに、記憶は曖昧模糊になってます。これこそ、

一旦、長期記憶になれば忘れないは嘘

の証拠なんです。

適切なタイミングで繰り返せば、記憶を維持する期間が延びるというのは本当

だと思います。だから、受験に関して言えば、

本試験の時に記憶がピークになるように、持っていくのが最適

ということになります。ところが、厄介なのは、私達は記憶状態がどうなっているのか、リアルタイムで知ることは出来ないんです。毎日、何かを忘れていっているのですが、具体的に何を忘れているのか、正確に知るには、

いちいち、全てをチェックするしか手がない

んです。そのため、論点表を作ることをオススメしているわけです。定期的に何を憶えていて、何を忘れているのか、メンテナンスをしながら、本番でピークになるようにしないといけないからです。

よく、記憶術世界チャンピオンの人がTVに出て、物凄い数を短時間で暗記して、視聴者を驚かすような番組がありますけど、あれ、10年後も、記憶していると思いますか?一度見たものを憶えてしまって忘れない特殊な人はいるそうですが、普通は、100%忘れていると思います。ただ、記憶術とか、理解して覚えるとか、意味がないかというと、

思い出しやすくなるという、メリットがある

ので、意味はあるんです。記憶のメンテナンスは要は、思い出すキッカケとリンクすることにあるからです。今から4か月、この2つをポイントにして、勉強してみてください。完璧である必要はないです。一部を除けば、大抵の試験は7割くらいで合格します。論点表を作成するなり、市販のものに手を加えて、記憶のメンテナンスに慣れてください。そして、本試験までに、スピードを身に着けてください。そうすれば、

合格率は飛躍的に高くなると思います。

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