【ミクロ-02:不動産鑑定士試験のための経済学】 企業の利潤最大化 をわかりやすく(企業の行動)
1. 利潤最大化の一階条件
利潤最大化の一階条件は、「MR=MC」です。
1.1. MR=MCの意味
企業が製品やサービスを販売する場合、それぞれの単位の追加的な収益を表すのが限界収入(MR: Marginal Revenue)です。また、その製品やサービスを1単位追加生産するための追加的な費用を指すのが限界費用(MC: Marginal Cost)です。企業が利潤を最大化するためには、限界収入と限界費用が等しくなる点で生産・販売量を調整すべきであり、これを「MR=MCの原則」と言います。
この原則の背後には、MRがMCより高ければ1単位追加生産しても収益の方がコストより大きくなるため、生産・販売を拡大すべきという考えがあります。逆に、MRがMCより低ければ生産を縮小すべきです。
1.2. MR=MCでないとどうなるのか
MRとMCが等しくない場合、企業は最大の利潤を実現していないと言えます。具体的には、MRがMCよりも高い場合、その差額分だけ利潤を得られるので、生産や販売をさらに拡大することで利潤を増やすことができます。一方で、MRがMCよりも低い場合、企業は追加的な生産や販売により損失を被ることになります。
この考えを拡大していくと、MRとMCが交差する点が企業の最適な生産量となり、それを超える生産は利潤を減少させる結果となります。したがって、企業が利潤を最大化するためには、このバランスを常に考慮して適切な生産量を維持することが重要です。
2. 利潤最大化の二階条件
利潤最大化の二階条件は、「限界費用曲線が限界収入曲線に下から交わる」です。「MR=MC」の原則が一階条件として利潤最大化の条件を与えるものの、この条件だけでは実際に利潤が最大になる点か、最小になる点か、または定常状態の点かを区別することはできません。具体的には、MR=MCとなる点でも、その点が実際に利潤のピークであるか、谷であるか、または変動がない平坦な点であるかを確認することができないのです。
二階条件はこうした確認を可能にします。MRとMCの差が0から正の値に変わる点や、0から負の値に変わる点を特定することで、その点が利潤を最大化する点であるのか、それとも最小化する点であるのか、または定常状態の点であるのかを判断することができます。さらに、MR=MCとなる点の中で利潤を最大化しない点を正確に排除する役割を果たします。このように、二階条件は一階条件の補完として、利潤最大化の確認に不可欠となるツールです。