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不動産鑑定評価基準の暗記法(鑑定理論)

はじめに

不動産鑑定士試験の突破には、不動産鑑定評価基準(基準)とその留意事項(留意事項)の暗記が必要不可欠です。しかし、膨大な量である基準・留意事項を暗記するのは簡単なことではありません。
この記事では、少しでも暗記を効率的に、楽に、できるよう、ツールや方法を紹介させていただきたいと思います。

大前提(基準に触れよう)

普段から、基準に接することは大前提となります。
スマホにアプリを入れたり、小さい冊子の基準を持ち歩くたりして、スキマ時間があったら基準を読むようにしましょう。

理解する

まずは、当たり前ですが、基準と留意事項を理解してあげましょう。
例えば、「等」の位置を正確に覚えられれない・覚えている自信が無いという人を時折見かけます。
しかし、等を含むかどうかというのは、例示かどうかという話なので、

宅地の類型は、その有形的利用及び権利関係の態様に応じて、更地、建付地、借地権、底地、区分地上権(?)に分けられる。

総論第2章

という基準に対して、等が入るかどうかというのは、宅地の類型が例示なのかどうかを理解していればすぐに分かります(今回の例ではもちろん「等」は必要です)。

今回の「等」の話は、話を単純化する一例ですが、同様に、理解すれば暗記していなくても補える場所があります(ただし、独自の説明はNG)。
やみくもに呪文のように暗記するのではなく、理解した上で暗記をしましょう。

妥協する

次に大切なのは、妥協することです。
妥協とは大きく2つの意味があります。

①意味がないことを諦めるということ
②意味があることも時には諦める必要があるということ

①意味がないことを諦めるということ
先ほど例に出した「等」の話は内容に関わります。実際、短答式試験では「等」を理由に切れる選択肢も多々あります。
では、読点(、)の位置はどうでしょうか?そんなこと、どうでも良いですよね(こだわる人が稀にいます)。
このような、「点数に直結しないこと(=どうでも良いこと)」はこだわることを諦め、それ以外の大事な部分の暗記を優先させましょう。

②意味があることも時には諦める必要があるということ
「理解する」の項目で書いたことと逆のことを書きますが、「理解を諦めて暗記すること」も時には必要です。(いやいや、暗記法で暗記しろと言うなって感じでしょうが......)
これは、理解して暗記が難しい場合、例えば、どうしても腑に落ちなかったり、全然理解できない場合に、その理解に対して必要以上に時間をかけないようにしてほしいということです。
大体でも良いので暗記し、先に進み、問題などに触れることで、徐々に分かってきて理解が深まり、理解ができることでより正確な暗記に繋がります。そのため、結果としてざっくりとした暗記も正確な暗記に繋がるということです。
どうしても理解できない際には、諦めてざっくり暗記をして、先に進んでみて下さい。

覚えるべき箇所を絞る

基準と留意事項を最初から最後まで覚えよう!と思っても、どこが重要なのか、どこを覚えなければいけないのかを把握していないと、「試験に出題されない部分まで余計に覚えてしまう」という事が発生します。
18万文字以上もある基準と留意事項なので、試験に出ていない部分を覚えている余裕はありません(大体は覚えてほしいですが......)。

そこで、論文式試験で頻繁に記述する重要な基準と留意事項に絞って覚えることができれば効率的に暗記ができるようになります。

予備校に通っている方であれば、予備校のテキストで講師が重要と言った部分や、太字などになっている部分を優先的に覚えるようにしましょう。
そのような部分がパッと分からない方や、独学で勉強している方は、「穴埋め基準」を活用し、論文式試験で良く問われる部分を重点的に暗記しましょう。

暗記箇所を減らすことができれば、暗記負担の軽減や、時短に繋げることができます。
※もちろん、基準と留意事項全体を暗記することが最終的な目標であることは忘れないようにしましょう。

論点ごとに暗記する

基準や留意事項をそのまま暗記すると、まとまりを掴みづらいため、「基本テキスト:論点編」を使って、論点ごとに暗記するのもおすすめです。

論点ごととは、例えば、地域分析(総論6)の問題では、「近隣地域」や「同一需給圏」に関する説明をしなければなりません。
そこで、近隣地域のついての説明と、同一需給圏についての説明が必要です。それぞれの論点で基準と留意事項を書けるようになっておけば、スムーズに答案を作成することができます。

近隣地域:対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいい、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるような特性を持つものである。

同一需給圏:一般に対象不動産と代替関係が成立して、その価格の形成について相互に影響を及ぼすような関係にある他の不動産の存する圏域をいう。それは、近隣地域を含んでより広域的であり、近隣地域と相関関係にある類似地域等の存する範囲を規定するものである。

基準・留意事項をそのまま暗記するよりも、実際に答案構成に繋げやすいです。しかし、基準・留意事項の全体像を掴んだり、体系的な理解ができる訳ではないので、これだけに頼りっきりにならないよう、注意をしましょう。
お持ちのテキストを使った理解や、過去問演習の際に一緒に使っていくのがおすすめです。

※論点は全部で400掲載しており、それぞれに、S〜Cの重要度を付与しています。SとAから優先的に暗記していきましょう。

iOSアプリ:論点チェック

上記で説明した論点は、iOSアプリでもご利用可能です。テキストと併用するという使い方はもちろん、移動時間などの隙間時間を暗記時間として使うことができるようになり、根本的に暗記時間を増やすことへ繋げられます。

無料版アプリ:広告あり、分野と難易度の絞り込み不可
有料版アプリ:広告なし、分野と難易度の絞り込み可

論点の暗記法①:とにかく書く

論点の用語を見て、中身を書く。最も王道ですが、確実な方法です。

論点を見て、用語を書き、解答と比較して、書けていない部分をチェックします。書けていない部分をPDFを印刷した紙などにマーカーを引くなどして、自分のかけない部分が一目瞭然なテキストを作りましょう。
何度も何度も論点を書いて、手が勝手に動くくらいにしていきましょう。
※論点チェックのアプリでは、問題を開始すると、過去の学習履歴から、その時もっとも確認すべき論点を自動的に出題してくれる「AL演習」という機能を搭載しています。

論点の暗記法②:暗唱する(≠音読)

電車の中など、書くことができない場合や、ほとんど覚えていて確認としての意味合いが大きい場合などには、「暗唱」がおすすめです。
暗唱とは、論点を見て、説明を口に出して言うことを指します。頭に思い浮かべるだけだと、スキップしてしまったり、何となく誤魔化してしまう可能性があるので、必ず声に出しましょう。
※電車の中など声に出せない状況なら、声に出さず口パクで確認しましょう。

おわりに

基準と留意事項の暗記は、非常に重要ですが、とても大変です。
この記事を読むことで、不動産鑑定士試験のための暗記が少しでも楽になることを願っております。

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