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【ミクロ-18:不動産鑑定士試験のための経済学】 危険負担 をわかりやすく(ミクロその他)


1. 期待効用

期待効用は、ある選択に伴う不確実性やリスクを考慮した上で、その選択が持つ効用(価値や満足度)を算出する概念です。期待収益だけでなく、それに付随するリスクや満足度なども考慮に入れた数値として表現されます。
例えば、投資の判断をする際、確実に収益が得られるものとリスクがあるが高い収益の可能性があるものがあります。投資Aが60%の確率で100万円の収益、40%の確率で-50万円の損失をもたらす場合、期待収益は60% × 100万円 + 40% × (-50万円) = 40万円となります。ここでは、期待収益に基づいて、リスクを考慮した投資Aの期待効用を、√40万円のようにルートを付けて表すこととします。

2. 確実同値額

2.1. 確実同値額とは

確実同値額は、あるリスクを含む選択肢と、そのリスクを完全に排除した選択肢が同じ期待効用を持つときの、リスクなしの選択肢の価値を示す概念です。
期待効用の考え方を元に、ある投資の期待効用と同等の効用を持つ確実な収益を求めることができ、この価値を確実同値額として参考にすることができます。

2.2. 確実同値額の求め方

確実同値額は、期待効用の概念を利用して求められます。期待収益を算出した後、それに基づいて期待効用を計算します。この期待効用が示す価値を、リスクを排除した状態での確実な価値と解釈し、確実同値額として表示します。
例えば、働いて得られる収益が30万円で効用が√40万円の場合、この30万円を、投資Aの確実同値額として解釈します。

2.3. リスク・プレミアム

リスク・プレミアムは、期待収益と確実同値額との差を指します。この差は、投資家がリスクを取ることで得られる追加の報酬として捉えられます。
具体的には、投資Aの期待収益が40万円、確実同値額が30万円の場合、10万円がリスク・プレミアムとなります。この10万円は、リスクを取ることの報酬として期待される金額となります。

3. リスク選好性

3.1. リスク回避的な経済主体

リスク回避的な経済主体は、リスクを避ける傾向が強い主体を指します。彼らは、同じ効用を持つ選択肢があった場合、リスクの少ない選択肢を好む傾向があります。
例えば、確実に5万円もらえる選択肢と、50%の確率で10万円、50%の確率で0円となる選択肢がある場合、リスク回避的な主体は前者の確実な選択肢を選びます。

3.2. 中立的な経済主体

中立的な経済主体は、リスクに対して特に偏りのない主体を指します。彼らは効用が同じであれば、リスクの有無にかかわらずどちらの選択肢も等しく評価します。
上記の例で言えば、中立的な経済主体は、5万円の確実な選択肢と、期待収益が5万円のリスクのある選択肢を等しく見ます。

3.3. リスク選好的な経済主体

リスク選好的な経済主体は、リスクを好む傾向が強い主体を指します。彼らは、同じ効用を持つ選択肢でも、リスクのある選択肢を好むことが多いです。
例の状況で言えば、リスク選好的な主体は、期待収益が5万円のリスクのある選択肢を、5万円の確実な選択肢よりも魅力的と感じます。

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