ブラッド_カタナ

◆忍殺TRPG◆ 【カーネイジド・ブラッド・カタナ・バイ・クロス・カタナ】#6(終) ◆ソロ・リプレイ◆

※この記事はニンジャスレイヤーTRPGの公式サンプルシナリオ1「ヤクザの事務所」のリプレイ小説です。プレイはソロで行っておりますので、NMおよびPLは全て私どくどくウールとなっております。ご了承下さいませ。

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(これまでのあらすじ)ヘルカーネージ・ヤクザクランの依頼を受け、ブラッドカタナ・ヤクザクランにカチコミを掛けたソウカイ・ニンジャのグリムファイバー、ラピッドビート、スライサー、ユコバックら四忍は、激しいイクサの末にグレーターヤクザ「キヨシ」と傭兵ニンジャ「ブラックマンバ」を殺し、ブラッドカタナ・ヤクザを完全に殲滅。ミッションを達成した!

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「これでよし…と。うへぇ、この作業はあんまりやりたくねえなぁ」ラピッドビートはカタナで切断したキヨシとブラックマンバの首をそれぞれバイオ風呂敷に包み込む。こうしてみて改めて実感するが、人を殺したのだ。「そのうち慣れちまうのかねぇ…」イクサの高揚は、とうに過ぎ去っている。

「シューッ…フゥーッ…」「…立てるかね、スライサー=サン」「ウム…ああ、問題ない。負傷は、無い…からな」「無理はせん方がいい。私もまだフラフラするよ…」スライサーとユコバックの二人はニューロンの疲労が大きい。ジツの行使やカナシバリへの抵抗などで精神を消耗しているのだ。

「大丈夫かいお二人さん。トロ粉末キメるか?」「いや、その必要は無い。あとでカネに変えるのだろう、それは」「味気ない粉末よりも、トコロザワに戻ってスシでも食べるとしようじゃないか」「フッ…それがいい…」「アイ、アイ。しんどくなったら言えよ」ピボッ「おっと、通信だ!ドーモ!」

『オウ、終わったか。ご苦労だったな。後始末のためのソウカイヤクザを送った。テメエらは首持ってとっとと帰ってこい。モタモタしてたらブッ飛ばすぞ』「ハイヨロコンデー!」それだけ伝えて、ソニックブームはオフラインになった。報告はトコロザワ・ピラーにてフェイス・トゥ・フェイスだ。

通信を終えたラピッドビートは、部屋の隅に置かれた鋼鉄の箱の前でハッキングに勤しんでいるグリムファイバーに声をかける。「…だとさ先輩。金庫は開きましたかね?」「ちょっと待ってくださいよ…よし!ロック解除です!」キャバァーン!電子音と共に二つの金庫が開かれた!「中身は…!」

金庫の中身はアンコモン・ランダムトレジャー
◆今回のアンコモン・ランダムトレジャーの決定表◆
出目1−2:【万札:3】 出目3−4:【万札:5】 出目5−6:下表
 1:サイバネアイ
 2:ウイルス入りフロッピー
 3:ZBRアドレナリン注射器
 4:*キーボード・オブ・ゴールデン・エイジ*
 5:*マキモノ・オブ・シークレット・ニンジャアーツ*
 6:**ボンサイ・オブ・ダークネス**
そして判定は……
1d6 = (6) = 6
1d6 = (6) = 6
なんと…両方出目6!!さらに1d6を振って1~6の中身を判定します
1d6 = (2) = 2 「ウイルス入りフロッピー」を獲得!
1d6 = (3) = 3 「ZBRアドレナリン注射器」を獲得!

「なんだこりゃ、フロッピーディスク…?」「ウイルス入りのハッキング用フロッピーですね。ハッカーの私にはありがたいです」「ほほー。そんでこっちは俺にもワカル。ZBRだな」「ZBRですねぇ」ZBRアドレナリンは強烈な覚醒作用をもたらす薬物であり、本来は心停止状態の人間の緊急蘇生などに用いられる。だが、ヤクザの世界では専らドラッグとしての利用が主だ。

「もうちょい金目のモノが入ってないかと期待したが、まぁこの手の実用品はいくらあっても困らねえやな」「そうです。贅沢は言えませんよ。さっ!お話は切り上げてさっさと帰りましょう」「おう。スライサー=サン!ユコバック=サン!ずらかるぜ」「了解」「おかげでだいぶ楽になったよ」

廊下を通り、応接間を出ようとしたとき、物陰に隠れていたスズリが四人を見てぱっと明るい表情を見せた。「ああ…!皆さん、ご無事で何よりです」「スズリ=サン!」「見ての通り全員ピンピンしてるぜ」「君の情報がとても役に立った。ありがとう」「…感謝する」「お役に立てて何よりです…!ところで…その…私はどうすればよいのでしょう」スズリは不安げに問う。

「ふむ…このまま連れて帰るわけにもいきませんし…」「置いていくのも危険だぜ」「…これから来る連中にコトヅテしておけばいいだろう」スライサーは懐から一枚のワ・シを取り出しながら言った。「オリガミ・メールか!なるほど」「おれはハイ・テックに疎いからな。持ち歩いていた甲斐があった」「ア…アリガトゴザイマス!何から何まで…」

「文は私が書こう」「任せた。ユコバック=サン」「そんじゃ、諸々が片付いたらあんたをヘルカーネージまで送り届けるよ」「ア……ハイ」スズリは一瞬だけ表情を曇らせたが、気丈に頷いた。そして、四人のニンジャ観察力はそれを見逃さなかった。「…何か心残りでもあるのですか?」「……」

「また、ヤクザ・オイランとしての生活に戻るのだな…と」「ヘルカーネージでの待遇が辛いとかか」「いえ、オヤブンのジンゴロ=サンもビズに影響が出ないようには気を配ってくださっています。それでも…時々、辛いときが」「……」グリムファイバーも、ラピッドビートも、スライサーも何も言えなかった。彼女がどういった経緯でヤクザ・オイランとなったのか。そこまで踏み込んで聞くのは憚られる。

「ふむ…では、我々がどうにかしてみよう」ちょうどメールを書き終えたユコバックがオリガミを折りながら言った。「アテがあるのか」「いやなに。少うし悪巧みをね。さて、エレベーターもやってきたことだ。詳しい話はまた後でにしよう。スズリ=サンはもうじき来る者達にこれを見せるといい」

ユコバックはスズリにオリガミのカエルを手渡し、ニヤリと笑った。「アリガトゴザイマス…アリガトゴザイマス…!」四人はオジギしたままのスズリにひとたびの別れを告げるとエレベーターに乗り込み、血塗れとなったブラッドカタナ・ヤクザクランの事務所が存在する雑居ビルを後にした。

十分後、8人のクローンヤクザを率いた白尽くめ装束のニンジャが現れた。ソウカイヤの「清掃」部隊だ。そのニンジャは応接間の前に立つオイランを目に留め、クローンヤクザ達に指示を出す。「…お前達は仕事にかかれ。何かあったら呼べ」「「「「ハイヨロコンデー!」」」」

スズリは慌ただしく動き回るヤクザを落ち着かぬ様子で眺めつつ、白尽くめのニンジャに奥ゆかしくオリガミ・メールを手渡した。ニンジャは無言で手紙を受け取り、内容に目を通してさほどの興味もなさそうに頷いたあと、クローンヤクザの一人を呼び寄せてスズリの保護を命じた。

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貪婪なるネオン・ライトに彩られた夜のネオサイタマを睥睨するトコロザワ・ピラー。暗黒ヤクザニンジャ組織ソウカイヤクザ・シンジケート…通称ソウカイヤの本拠地たるこの不夜城の内部に存在するタタミ敷きの広大なトレーニング・グラウンドに、四人のニンジャが姿を現した。

そこには既に金糸装束の厳しいニンジャ…すなわちソニックブームがクローンヤクザと共に立っている。「ドーモ、ソニックブーム=サン。ラピッドビートです。ただいま戻りました」「オウ、やっと戻りやがったかノロマ共。あと1分でも遅れてたらテメェらのツラにソニックカラテを叩き込んでやるつもりだったぜ。それじゃ、報告を聞こうじゃねェか」「ヨロコンデー」

「事務所にいたブラッドカタナ・ヤクザクランのヤクザはオヤブン以下、全員殺害しました。こちらがオヤブンの首です」グリムファイバーがその手に持ったバイオ風呂敷をソニックブームに差し出す。ソニックブームはぞんざいに受け取り、中身を検めた。壮絶なる無念の表情を浮かべた、紛れも無いキヨシの首である。

「どうやら間違いねェな。オイ、処分しとけ」「ハイ」ソニックブームは眉一つ動かさず、右隣に控えていたクローンヤクザにキヨシの首を投げつけた。ナムアミダブツ!「で、次だ」「ハイ。こちらが傭兵ニンジャ、ブラックマンバの首です」ユコバックがその手に持ったバイオ風呂敷をソニックブームに差し出す。ソニックブームはぞんざいに受け取り、中身を検めた。無惨なる絶望の表情を浮かべた、紛れも無いブラックマンバの首である。

「ハッ!いい顔じゃねえか。いいか、ニンジャだろうがヤクザだろうが、ソウカイヤに逆らったアホの末路はこうなるってことだ。テメェらもよく覚えとけ」「ハイ」「よォし…それじゃお待ちかねのボーナスをくれてやろうじゃねェか。ありがたく思えよ?エエッ!」「アリガトゴザイマス!」

ソニックブームは顎をしゃくって左隣のクローンヤクザに指示を出す。その手に持った漆塗りのオーボンには12枚の万札が載せられていた。「ブラックマンバの野郎に掛けられてたインセンティブは24万だ。だがテメェらの取り分はその半分…もう半分は俺様の取り分よ」ソニックブームは威圧的に語る。サンシタニンジャであるラピッドビートらに文句を言う権利などは存在しない。それが実力主義のソウカイ・シンジケートだからだ。

「ドーゾ」「ドーモ」クローンヤクザが差し出したオーボンから、ラピッドビートがオジギして万札を受け取る。ソニックブームはそれを少しつまらなさそうに眺めていた。普通こういう場面なら大体のニンジャは少なからず不服げな様子を見せ、そしてその姿がソニックブームを愉しませたものだが、彼らにはそういった様子が見られなかったからだ。(チッ…つまらねェな)

だが、オジギ姿勢から向き直ったラピッドビートの顔を見て、ソニックブームの不満は消えた。受け取った報酬の少なさに不服そうにする顔よりも、さらに彼を満足させるものが見えたからだ。(ほう…中々イキのいい連中じゃねぇか)ラピッドビートの、そしてグリムファイバーの、スライサーの、ユコバックの目は、ギラギラと輝いていた。更なる高みを見ている目だった。

「ソニックブーム=サン、アリガトゴザイマシタ。与えてくださった情報が大いに助けになりました」「オウ、テメェらヒヨッコ共にゲタを履かせてやった俺様の慈悲深さに感謝しろよ?」「ハイ!ますます頑張ります!」「フン!威勢だけはイッチョマエじゃねえか!いいだろう。文句無しミッション達成だ。最初に言ってたようにミッション自体の報酬はねェが……」「?」

「特別に俺様から追加報酬をくれてやるぜ。テメェらがブッ潰したブラッドカタナの事務所、アレをテメェら専用のアジトとして使用することを許可してやる」「!」「ほ、本当ですか!」「我々の…アジト!」「事後処理が終わったらあそこはもうテメェらの所有物だ。だが遊び場にくれてやるわけじゃねェ…ソウカイヤの怖さをツチノコのカス共に教え込んでやれ!そのための場所だ。ありがたく思え!「「「「アリガタキシアワセーッ!」」」」

「フン!いい返事じゃねェか、エエッ?…次のミッションまでせいぜいその弱っちいカラテを鍛えとけ」90度姿勢で深々とオジギする四人を一瞥し、ソニックブームとクローンヤクザ達はトレーニング・グラウンドを退出した。

しばらくオジギしたまま微動だにしなかった四人はやがて弾かれるように顔を上げ、手を取り合って喜んだ。「……アジトですって!ヤッター!」「俺ら専用のアジトだぜ!スゲェ…!」「あそこにはドージョーもあった…鍛錬が捗るな…!」「いやはや…ソニックブーム=サンには頭が上がらんな」

「っとと…こうしちゃいられませんでしたね。まずは」「ああ、スズリ=サンを迎えにいかにゃ」「…そういえばユコバック=サン、あんたの悪巧み…とやらは何なのだ」「フフフ…それはもう少しあとで話すとしよう」「勿体ぶりますね!」彼らはにこやかに笑いながらトレーニング・グラウンドを去り、トコロザワ・ピラーを出て夜のネオサイタマへと消えていった。

かくして、四人のニュービー・ソウカイニンジャによる無慈悲なヤクザ事務所襲撃ミッションは成功した。彼らはアジトを手に入れ、更に己を磨きながら次なるミッションに備えるだろう。その先にあるのは栄光か…あるいは。

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「ド…ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。グレーバレットです…!な、ナンデ!ナンデお前がここに!?」「オヌシが暗黒非道ロシアンルーレット賭博を行い、無辜の人々からカネと命を奪っていたことは調べがついている。ニンジャ殺すべし…!」「ほ、ほざけーッ!イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!?」「オヌシは何発目に死ぬか。賭けてみるのもよかろう。チップはオヌシ自身の命だ!イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」

◆◆◆◆◆◆

この街において人々の命は軽い。それはモータルもニンジャも変わらない。ゆえにこそ彼らは日々を懸命に生き、死んでいくのだ。グリムファイバー、ラピッドビート、スライサー、ユコバックの四人の道行きがどうなるのかは、まだ誰にもわからない。ただこの夜だけは、少なくともブッダは彼らに微笑んでいた。そして今日もネオサイタマの何処かで、ハナビが上がる。

「サヨナラ!」

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【カーネイジド・ブラッド・カタナ・バイ・クロス・カタナ】終わり。
【デイ・アフター・チェインド・オイラン】に続く。

◆シナリオ終了時点での獲得万札◆

ブラックマンバ撃破ボーナス→【万札:12】
#5までの獲得万札 【万札:37】【トロ粉末:2】と合わせて
【万札:49】【トロ粉末:2】
※ブラッドカタナ及びトロ粉末の売却処理は余暇シークエンスにて行います

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