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限界オタクがICLで眼球改造手術を受けてやべぇ視力になった話

◆あなたがたに言っておく◆

この記事は一人のオタクがICL手術を受けた後「一生一度しか受けない手術だし」という気持ちでレポート行為したものです。中の人は医療知識なんて持ち合わせていない素人です。
「視力治したいけどどうしようかな」と悩める子羊の助けになったりならなかったりするかもしれませんが、この記事を読んで即決する前に必ず専門家に相談してください。自分の健康に関して素人の判断を鵜吞みにすると、健康に良いと謳うブリキ缶を数百万円で売り付けに来るあんこくの存在を引き寄せ、回りまわってイルカやラッコによくない。インターネットは危険なサボテンシティだ。わかりましたね?それではお楽しみください。


そもそもICLって?

こことか読みなさい。以上。
……ごめんなさい。一応真面目に説明します。
平たく言うと、コンタクトレンズを黒目の内側に埋め込んでしまおうっていう手術です。
目の中に直接埋め込まれるので、コンタクトレンズと違って取り替えたり洗ったりする必要はありません。両目で70万円くらいしますが、ランニングコストでいうと普通のコンタクトレンズを買い替え続けるよりも良いかもしれないです。
視力を回復させる手術というとレーシック(角膜をレーザーで削る)が有名ですが、あちらと違ってドライアイになりにくいとか、将来白内障手術をすることになったときに正確な治療ができるとかのメリットがあります。
ただしレーシックよりも値が張るのと、認定医しか手術できないので取り扱ってる病院が少ないのがネック。基本的に大都市圏でしか受けられない手術です。
因みに自分がICLの方を選んだ理由ですが、眼球にインプラント入れるってサイバーパンクっぽくてかっこいいじゃんという非常にしょうもない理由です。基本的に人生をその場のノリで生きている。
レーシックもレーシックで、角膜削りに使うエキシマレーザーってS.A.F.S.が腕に着けてるレーザー機銃そのものなのでそっちにも惹かれたんですけどね。

手術1ヶ月前:眼科でICL説明会

当方、一日中PC画面を睨み続ける仕事で、家に帰ってもゲームするかプラモ作るかで手元しか見ない生活なので、気がつくと右0.1左0.06という深海魚並みの視力になっていました。
眼鏡無しでは数歩離れたところにいる人の人相が判別できないレベルで、流石にマズいと思いICL手術を受けることを決意。
試しにICL研究会のクリニック一覧にあった病院に電話してみると、ICLやレーシックを考えている人向けの説明会なるものがあるらしいので出席することに。
すでに相当下調べした後だったので、話の内容自体はだいたい把握済みだったんですが、手術希望者にはその日のうちにスクリーニング検査を受けさせてくれました。角膜の形だとか細胞数だとかによっては手術を受けられない人もいるので、それを事前に調べる検査ですね。視力検査に使う機械のレベルを20くらい上げた感じの機械に次々通されて色んな検査をされますが、ニコンって医療機器も作ってるんだなとか、ZEISSってライフルスコープ作ってるとこじゃんとか思ってるだけでいいです。
検査にはそれなりに時間がかかりますが、問題なかったそうで、時間の来院日時を予約。次は実際に手術を行う前段階の精密検査です。

手術2週間前:術前検査

今度の検査では患者のモノの見え方を精密に測定し、埋め込むレンズの仕様を決定します。C字型のアレの向きを答えたり、気球を睨んだり、その他なんか見たことないタイプの視力検査を諸々受けたりして、最後に執刀医の先生の診察を受けます。
検査の結果を見てから患者に合ったレンズを取り寄せるので、人によっては検査から手術まで数ヶ月待たされるらしいですが、自分の場合はよく使われるタイプのレンズで在庫があったのと、たまたま院長のスケジュールにスポット的に空きがあったのとで2週間後にすぐ予約が取れました。それを流すと次は2ヶ月先だったので運が良かったですね。
その日はこんな目薬を渡されてお終い。手術時の感染症を防ぐための目薬で、手術3日前から使って欲しいとのこと。こいつは術後もしばらく使い続けることになるので長い付き合いになります。

目薬を使う習慣がなかったのでよく忘れそうになる

手術当日:Chippin’ In!

最終準備

有給取って病院に来ました。ついに初めてサイバーウェアをインストールする日が来た。脳内BGMはもちろんジョニー・シルヴァーハンドの「Chippin’ In」。長年悩まされたクソ視力にテックの力で中指を突き立てる。こんなハイテンションで病院に行くのは初めてです。

ICLはレーシックと違い、認定医しか手術できないので、手術日は平日にも関わらず待合室が満員です。術後に飲む薬とか新しい目薬とかを紙袋に詰めたセットを病院側が予め用意してくれていて自分も貰ったんですが、同じ袋を持ってる人が待合室に何人もいる。この人達みんな同じ手術を受けるのか。そして術前に飲む薬とか消毒や痛み止めの目薬とかの下ごしらえも待合室で済ませる形。薬が効くまで時間があるのか、インターバルをおいて何度か看護師さんが来ます。
さて、ICL手術について書いてあるサイトにはよく「手術はたった20分で完了」とか書いてありますが、あれは半分ホントで半分ウソです。手術室にいる時間は短いんですが、手術前後の待ち時間がそれなりにあるので実働2時間くらいは見ておいた方が良いです。キューピー3分クッキングがどうあがいても3分で完成しないのと同じですね。
その後手術室前の待合スペースに通され、さらに目薬を打たれて待機。痛み止めと瞳孔を広げる奴らしいんですが、その効果で元々ろくに見えてない視界がさらに霞んできます。飛行機乗る時くらい待ち時間があるのにスマホの画面が見えなくなってきたせいでニンジャスレイヤー合本版を読んで暇潰しすることすらできません。何か視覚に頼らずに暇潰しできる物を持ってくるべきだった。
ちなみにこの時の自分は頭に給食のおばちゃんみたいな不織布帽子を被せられ、患者間違いを防ぐためにデコにはお名前シールが貼られているという完全な不審者コーデをキメていました。このまま院外に出たら確実に国家権力のお世話になることでしょう。
そうこうしている間についに手術室に通され、自分の版が回ってきました。今日からおれもチップイン!

いざ手術へ

手術室には歯医者の椅子をグレードアップした感じの手術台が並んでいて、その側には会議室にあるような巨大モニター。これは多分執刀中に患者の目を拡大ズームして見るための奴です。概ねサイバーパンク2077でキロシをインストールしてもらうあのシーンそのまま。
デコにお名前シールが付いたアホの姿のまま椅子に座り、患者の緊張を解くためなのか、手術室に常備してあるウサちゃんのぬいぐるみを抱かされます。これ全員やるんですかね。
さて、ICLに限らず目の手術が怖いと思う人って、多分こういうのをイメージしてるんだと思います。というか自分も若干そう思ってました。意識がはっきりしてる状態で目玉に何かされるとかそりゃ普通怖いですよね。

手術を受けてるところを側から見たらこんな感じという可能性は否めませんが、実際のところ本人は自分が何されてるか全く見えてないので、怖がる猶予すらなく処置が進んでいきます。
「はい、ライトまっすぐ見ていてくださいねー」
「オゥ……オゥイェ」
元から瞳孔オープン目薬のせいで視力が激落ちしている上、目には一生分の目薬が現在進行形で滝のようにぶち込まれている状況なので、ライトの光も滲みまくって「なんか光ってる」くらいのことしか分かりません。
「はいじゃあ麻酔しますよー」
「オオゥ……オオゥ……イェス……」
「大丈夫ですかー」
「イェー……イェース……」
最早洋物AVの竿役みたいな声を上げることしかできませんが、これもひとえに何されてるか全く見えないので怖がりようがないからです。恐らくこの間に目玉に麻酔針をブッ刺し、角膜に3mm穴を開ける改造手術が粛々と進んでいたはずですが、何かされているらしき鈍痛を何度かうっすらと感じただけでした。ショッカーは本郷猛に目薬を差し続けるべきだった。そうすれば脱走する気も起こさせないまま改造人間バッタオーグを完成させていたことでしょう。
「じゃあレンズ入りますよー」
「オゥイェ……あっ見え方変わっ……イェー……」
一瞬だけ、薄らぼんやりとしか見えていなかったライトがLED一粒一粒まではっきり見えた、ような気がしました。直後に目薬大瀑布に押し流されて元通りのハイパーエコノミー画質に戻りましたが。
「それじゃあ右目終わったんで今度左目行きますねー」
MOD導入が終わった右瞼にガーゼを貼られ、今度は同じことを左目にもします。そんなこんなで手術自体は2-30分くらいで終了。看護師さんに先導されつつ再び手術室前の待合スペースに戻されます。その後10分くらい待機時間があってから解散。

術後の帰り道

ICL手術は日帰りです。手術直後からある程度の視力が確保されてるのでそのまま帰ります。確か0.5くらいは見える状態って聞いた記憶がある。
保護用の伊達眼鏡をかけた状態で帰路につきますが、まだ全力を出し切っていない状態の目玉ですら手術前よりよく見えています。ただしまだ目が慣れていないので猛烈に眩しい。曇りの夕方なのに太陽光に耐えられず、アーケードと地下道を通って移動。
そして何やら妙に道行く人の視線を感じる。顔になんかついてるのかと思い鏡を見ると右目だけ白目が赤い。片目だけダークエルフ用のテクスチャが適用されています。種族追加MODの導入をミスったか。

慌てて病院に電話したところ、これは麻酔注射のせいで片目が内出血を起こしたせいとのこと。よくあることで、10日くらいすればダークエルフから人間に戻れるそうです。ごあんしんです。

飲み薬もなんか色々貰った

術後0日目:虚無

さて、日帰りで病院から帰されたのは良いですが、ここからが問題です。何せ、眼球に3mm穴を開けてカスタマイズパーツをポン付けするフレームアームズみたいな改造を行った直後。入浴禁止、身体動かすのも禁止、テレビやスマホの画面を見るのも禁止。痛みはほとんどなく、脳味噌も冴え渡ってる上に時間だけは腐るほどあるのにアレもダメダメダメコレもダメダメダメでほとんど何もできません。これはツラい。

そうなるともう寝て過ごすしかないんですが、寝る時には無意識に目にダメージを与えないようにこのクリア成形眼帯を付けねばならず、それがまたツラいのだ。

眼帯もクリア成形の時代

というのもこの眼帯、紐とか付いてなくてテープで顔面に固定するんですが、このテープの糊が顔の皮脂と猛烈に反応するタイプの奴らしく、寝て起きて剥がしたらお肌が可塑剤が染み出しまくった古いPVCフィギュアみたいにネヂョネヂョになる。術後数日は顔も洗えないのに。自分は貝のように黙って耐えましたが、今思えば代わりにサバゲー用のゴーグルでも付けて寝ればよかった。
それにしたって、人間睡眠でタイムスキップするにも限界があります。自分みたいに退屈に弱い人間は視覚に頼らない娯楽を用意しておく必要があるでしょう。自分は昔見てたこのシリーズの総集編を音声だけ流して凌いでました。キャラの掛け合いで見せるタイプの動画なのでゲーム画面が見えなくても楽しめる。先輩、ビジエやのうてジビエっす。

術後1日目以降:世界4kリマスター版

さて、ICL手術が本来の結果を発揮し始めるのは手術の翌日くらいから。まずは何も言わずに手術翌朝一発目のツイートを見てください。

今まで解像度が320x240くらいしかない世界に生きていて、眼鏡が無いと向かいに立ってる人の人相も分からないレベルの近視&信号の明かりが常にブドウの房みたいに見える乱視だったのが、たった一晩で小笠原貞宗になりました。道を挟んで反対側にあるスーパーの店内のPOPが読める。世界ってこんなにハイレゾだったんだ。我ながらちょっと引くレベルでよく見えます。あと初日に感じた強い光への違和感もなくなってる。
手術翌日に病院で視力検査を受けたところ、左右とも片眼視力1.5、両眼視力2.0。凄まじい視力です。親に似て生まれつきあまり目が良くなく、小学生の頃にはすでに1.0を切り始めていたので、今この瞬間が人生で一番視力が良いです。
眼鏡やコンタクトと違ってレンズが眼球と一体化しているので、視界の端の方が見づらいとかいうこともなく、当然ながら曇るとか取れるとかのトラブルとも無縁。このレンズを外すのは遠い未来に白内障の手術を受けるときか、あるいは顔に鉛弾を受けてしまったときくらいでしょう。
手術翌日とかはまだわずかに目に微妙に変な感覚が残っていたり、術後しばらくは経過観察を受けないといけなかったり、あと1日9回の目薬ラッシュに耐える必要があったりしますが、このQOLの上がりっぷりに比べたら瑣末な問題です。
さてここからは手術後の生活で何が変わったかをリストアップしていきましょう。あ、その前にこういう時の決まり文句を。個人の感想です。一度言ってみたかった。

スマホ依存が治った(気がする)

今までほぼ常にいかなる時もスマホ画面に目を向けていたんですが、今思うとあれはスマホより遠い距離にあるものが全く見えてなかったからでした。世界のディテールが上がったおかげで今では周囲を見渡すだけで無限に暇が潰せます。みんな今までこんなAA級タイトルのベンチマークデモみたいな画質で生きてたのか。
これでGoogle先生に頼らずとも、街中を適当に歩いているだけで行ったことのないラーメン屋が見つかったりして散策が楽しいです。オープンワールドRPGの序盤でぽこじゃか新ロケーションが見つかって経験値入ってくるあの感じが味わえます。

エイム力が上がった

アイアンサイトの銃を照準するとき「サイト越しにターゲットに焦点を合わせる」って言うじゃないですか。あれ正直よく分かってなかったんですよね。ド近眼だと銃を構えた時点でリアサイトにピントが合ってしまって相手が見えない、それが当たり前だと思ってました。
術後に愛銃AIMSを構えてみたところ……見えるぞ、私にも敵が見える!リアサイトとフロントサイトをまっすぐ合わせ、その先にあるターゲットを見据える、教科書通りのエイミングです。アイアンサイトが苦手なのでドットサイトを載せることも検討してたんですが、サバゲーにしか使えない光学照準器に金をつぎ込むよりも毎日使うMk1アイボールを強化したほうが圧倒的にコスパが良いです。
因みにちゃんと狙って撃てるようになったことで、いつも使ってたAIMSのゼロインが完全に狂ってたことが明らかになりました。狙ったところの10センチくらい右下に着弾してる。まっすぐ当たるように調整し直しました。道理で撃ち合いになったときに一方的にヒット取られるわけだよ。

部屋の清潔度が上がった

術後何日か経って入浴が解禁されたんですが、風呂の床に死ぬほど髪の毛落ちてて汚ねぇ。こんなところで身体洗ってたのか。風呂は強制的に裸眼にならざるを得ないエリアなので、掃除が全く行き届いてなかったことに気づいてなかったんですね。全力で掃除しました。
部屋の隅に積もったホコリとか、なぜか窓に挟まって死ぬことを選んだカメムシとかがよく見えるので、こまめに掃除する習慣が身に付きました。いつも家に帰ると眼鏡外してたからなあ。

人並みに目が疲れるようになった

ここからはデメリット(?)の話もしておこうと思うんですが、眼球って疲れるんですね。今まで眼精疲労というものを感じたことがなかったんですが、あれはどうやら元からマトモに見えていないので疲労で目がかすんでも気付いていなかっただけのようです。ダメージを負っている自覚がないのでいくらでもゾンビアタックができる、魔女化寸前のさやかちゃんみたいなモンですね。

目が良くなったことで、逆に「疲れて視力が落ちた状態」を自覚できるようになり、ソウルジェムが濁り切る前に適度な休憩を挟むようになりました。よかったですね。

まとめ

手術代70万となると流石に尻込みする方の方が多いかと思いますが、死ぬまで毎日使うアイテムへの課金と考えると決して法外な高さとは言えないでしょう。パソコンに何十万、自動車に100万以上かけても10年もせずに手放すじゃないですか。それに比べたら安い方だと思います。
ちなみに皆さん気になっているであろう「ICLとレーシックどっちが良いんだ」って話ですが、比較レビューを書くには眼球がもう1セット必要なので、この記事のことを来世で覚えていたら次はレーシックを受けてレポートを書こうと思います。お楽しみに。

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