パポラバ星から宇宙人がやってきたお話②
ミヨリは困惑していました。
どうすれば地球に戻れるのでしょう。
この世界暮らしていくにはどうすればいいのでしょう。
彼女はひとまず外に出てみることにしました。
するとそこには地球では考えられないような景色が広がっていたのです。
銅でできた木の幹。葉っぱの方はアルミニウム。建物は全て鉄。
おまけに太陽が昇ってこないため1日中薄暗く、空気もひんやりとしていました。
ミヨリは地球とは異なるからっぽの風景に寂しさを感じました。
しばらくして我に返り前を見みると、道行く人々(宇宙人)は皆同じ右の方向へと進んでいました。
彼女はひとまずその流れについていくことにしました。
しばらく歩いていくと、「栄養補給所」という看板が立っていました。
どうやら列に並んで食べ物と飲み物を一つずつもらう形式のようです。
ミヨリもこれに並ぶことにしました。
そして10分ほど待った後、ようやくミヨリの順番が回ってきました。
「お客さん、番号。」
「番号?」
「ほら、腕を見せて。」
ミヨリはそのとき自分の腕に番号が書いてあるのを見つけました。
「あ、708です。」
「はいはい、708ね。」
ミヨリは食べ物と飲み物を受け取った後周りを見渡してみると、人々がテーブルに並んで座っているのが目に入りました。
そこへ近づいてみると、テーブルには全て番号は振ってありました。
おそらく708を探せばいいんだなと思い行ってみると、案の定そこは空いていたので、そこで食事を取ることにしました。
受け取ったものを見てみると、それは今まで見たことがないようなものでした。
食べ物の方は例えるならば焼きそばに近く、飲み物の方は液体の中に何か丸いものが入っていてタピオカに近いといえば近いのかかもしれません。
ミヨリがそれらを食べていると、707の席に宇宙人がやってきました。
気付かないふりをしながらしばらく食べたあとハッとしました。
そうです、呑気に食べている暇はありません。
ここがどこなのか、どうすれば地球へ帰れるのか調べなければならないのです。
ミヨリは707の人物に話しかけました。
「お食事中ごめんなさい、私今日ここへきた者なの。よかったらここがなんていうところか教えてくれないかしら。」
707の人物は少し驚いた表情をした後、
「ここはパポラバ星だよ。」
と言いました。
「君、今日ここへ来たって言ってるけどそれは嘘だろ?だって俺たちは皆生まれることもなければ死ぬこともない、つまりこの星が生まれてから滅びるまでずっとここて暮らす運命にあるじゃないか。」
「私、地球からやってきたの。ここの誰かと入れ替わってしまって、姿はここにいる皆と同じだけど中身はミヨリっていう女の子なの。」
「君、面白いね。俺は生まれた時から707だ。
別に709や710と特に何も変わりやしない。
そうだ、ここ20分以上座ってると注意されるぜ。俺たちは皆これくらいのものは15分で食べることができるって体になっているからね。時間を無駄にする者だって思われるよ。急いだほうがいい。」
「そうなのね、ありがとう。」
ミヨリは急いで残りのものを食べると、家へ戻ることにしました。
行きは注意深く見ていなかったため気づかなかったのですが、建物はどれも全く同じものでした。
ミヨリは一瞬迷いそうになりながらもやはり708という番号を探せばいいのだということに気づきました。
ミヨリは無事家へ辿り着くと、改めて家の中を見渡しました。
ここに何か地球へ帰るヒントが隠されているのかもしれません。
ミヨリはすぐに1枚の紙を見つけました。
そこには「ヤマモトミヨリ」の文字が赤いペンで囲まれており、その他にも20人くらい名前やその人の簡単なデータが載っていました。
やはり自分がターゲットに選ばれてしまったゆえにここに来てしまったようです。
他にもその周辺を漁ってみると、まだ埃をかぶっていない空っぽのフラスコと、その隣にフラスコに入っていたと思われる薬の説明文が記載されていました。
どうやらこの薬を飲めば入れ替わりたい人物と入れ替わることができ、飲んだ人が戻りたいと思えば戻れる、逆に言えば戻りたいと思わなければ戻れないのだと分かりました。
しかし、入れ替わった理由や方法がわかったところで、会ったこともなければきちんと話したこともない真の708と再び入れ替わって元に戻るにはどうしたらいいのでしょう。
私は一生このままこのパポラバ星で暮らさなければいけないのだろうか。
彼女は途方に暮れてしまいました。
続く
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