【エッセイ】あたたかいもの
我々の家にとうとうベットが届く。シングルベッドひとつだけでどうにか暮らしてきた私たちだけど、シングルを二つ買った。
私たちに子供はいないし、今後も予定はないけれどうちにはたくさんのぬいぐるみがいるので、その子達も置けるように、ニトリの組み合わせベッドにした。シングル本体やマットレス、ベットを囲うように配置できるアーム部分も買った。ちょっとした囲いができるというところに2人とも一目惚れだった。
囲いがあれば寝相の悪い私が一緒に眠るぬいぐるみたちを放り出すことも無くなるし、彼の布団を奪い去ることもないという算段だ。ちょっと理由が笑えるが、私たちには最適な商品だったのだ。
全て新調し古いシングルベッドは引き取ってもらう。その為新しいシーツなども必要になり、またまたニトリへ仕事帰りに立ち寄ってきた。
パートナーはシンプルイズザベストの人で、あんまり悩まず決められるのだが、私はいつも迷いに迷う。年始まで行われていたニトリの創業祭のあとで、在庫も限られたものなのにだ。結局一時間ほど大いに迷い、極暖の二枚仕立ての毛布と、掛け布団で収まった。
彼は元々使っていたもので良いとのことで、丸々私の買い物に付き合ってもらって、帰路についた。
ベットが届いたら、あーだこうだ言い合いながら寝室を作るだろう。彼はすんなりと物事を進め、私はそれにひとつひとつ難癖をつけながら、バカ笑いしてじゃれあう。
そんな姿がすんなりと想像できるほどに私たちは一緒にいる。私ばかりが勝手に大変なことを想像して四苦八苦する。彼はなんともない涼しい顔で、やれることをやれるだけのスピードでこなしていく。
そんな二人で、共に過ごすあたたかい部屋を作っていくのだろう。