生物分類 冬至目クリスマス科飛翔属カラス
冬至目は冬至前後の、夜が最も長く月の光が最も弱まる頃に地上に現れる生物で、中でも12月24日から25日の夜間に出現する生体はクリスマス科として分類される。
カラス、トナカイ、ソリなどクリスマス科の生物はほとんどが空を飛ぶが、わずかに飛翔しない種もあり、それらと区別するために空を飛ぶ種を飛翔属としている。*1
ちなみに飛翔属以外のクリスマス科には煙突下降属シンサンタクロスが広く知られるが、年に一度、界も異なる二足歩行生物がシンサンタクロスに擬態するという現象が地球上の多地域で確認されている。これは高経年個体が遺伝学的に近しい低経年個体のために行うことが多い。*2 巧みな擬態とはいえないが、なぜか擬態サンタとシンサンタクロスの鑑別には観察者側に10年前後以上経年した視力と思力が必要とされている。
さて、クリスマスカラス(以下CC)の生態についてはすでに自著「クリスマスカラスはなぜ啼くの」(ノトノト社,2045)に詳述したが、ここでは近年筆者が得た新たな知見を報告する。
CCはクリスマスイブに何をしているか。長らく謎とされていた最後のソロモンの輪だが、筆者の長年の観察と膨大なデータの解析から、ある条件下の二足歩行生物に寄り添っている、ということをつきとめた。
たとえば、前述の擬態サンタに関する事象として、低経年個体の中には、遺伝学的に近しい個体がいない、いても関係が希薄などの理由で、その個体のために擬態する者がいないどころか、単独で暗く寒く長い夜を過ごすものがいる。
または、非常に経年が進んだ個体で、家族分のごちそうを用意して待つが誰も寄り付かないまま、単独で長い夜を過ごす個体も存在する。
そんな個体に寄り添うようにCCは漆黒の闇に紛れて肩にとまり、宇宙でもいち、にを争う美しい声で啼くのである。この波長は通常は二足歩行生物には認知されないが、その晩の、特別な環境下におかれた者の脳波はこの音域に反応できる。CCの歌を聞いたものは、至上のしあわせを得たことになる。祝福が降り注ぐと言われている。感受性によっては、きらきらと天から降り注ぐ星屑のような光として認める者もいるという。クリスマスイブにはそんな歌声と祝福の光が、真の闇の中に取り残されたものに降り注ぐ。CCはその媒介者としての役割を果たしているのである。
筆者の知見は、CCが何のために上述の行動をとるのかを説明するに現段階では十分ではない。今はその現象を報告するにとどめる。
※論文調文体をパスティーシュしてみました。
パスティーシュといえば清水義範。影響受けています。