テスラの現状のファンダメンタル総まとめ
図1. バリュエーション
テスラの評価をP/Eマルチプルではなく、P/OCFマルチプルで見るべきです。P/Eの「E」は純利益を意味し、純利益は税金や減価償却後の値であるため、減価償却が大きいと純利益が必要以上に低くなり、高いP/Eマルチプルを受けることになります。これを避けるため、減価償却を加えた営業現金流量(OCF)を基準とするのが適切です。
テスラのP/OCF
現在、テスラは65倍のP/OCFを受けています。これは時価総額が営業現金流量の65倍で取引されていることを意味します。この65倍が割安か高価かを検討する必要があります。
過去4年間のテスラの平均P/OCFは47.20倍(青線)であり、現在の株価(黒線)はこの平均を上回っています。これにより、「現在」は高評価されています。しかし、2026年の実績が織り込まれると仮定すれば、テスラは依然として19%割安と見なされます。
将来の見通し
テスラが2025年に32%の成長率、2026年に24%のOCF成長率を達成すると仮定すると、2026年の適正株価は300ドルとなります。長期投資をお考えの場合、テスラが2025年に32%、2026年に24%の成長率を達成するプロセスを継続的に観察することが重要です。
【実績成長率(四半期別、年別)】
四半期別成長率
テスラの成長率は最悪期を過ぎ、回復期に入りつつあります。2024年第1四半期と第2四半期は2023年に比べて逆成長しましたが、これは株価に反映され、株価が弱含んだ原因です。しかし、2024年第3四半期と第4四半期には回復が見込まれ、2025年第1四半期から成長期に入ると予想されます。
年別成長率
長期的な観点では、2023年と2024年は全体的に逆成長が見込まれます。このため、23年と24年の株価の動きは良くありませんでした。しかし、2025年から2027年にかけては強力な成長率が期待されています。
図4,5. 技術的現況(トレンド転換)
テスラはBULLISHパターンである逆ヘッド&ショルダーとダブルボトムのセットアップを形成し、株価は上昇しました。これに加え、オプション市場の動きも影響し、3年間にわたって形成された主要な抵抗線をブレイクアウトしました。この抵抗線を突破したことで、今後は「サポートライン」として機能し、さらなる上昇トレンドに貢献します。対応する場合、サポートラインの位置である231ドル付近が適切なポイントと考えられます。
図6. 技術的現況(RSI、TSI、ボリンジャーバンド)
短期的には調整があっても不思議ではありません。
RSIは85で既に過買いを示しています。
TSI(True Strength Index)は青色と赤色のギャップが大きく、株価が下落する中でこのギャップが狭まっても不思議ではありません。
実際のチャートでもボリンジャーバンドの範囲外にあり、短期的に過買い状態を示しています。
図7. アナリスト評価現況
最近の株価上昇と共にアナリストは目標株価を上方修正しています。
WEDBUSH: 300ドル、OUTPERFORM
CHINA MERCHANTS: 290ドル、BUY
CICC: 300ドル、OUTPERFORM
CHINA RENAISSANCE: 282ドル、BUY
未来アセット: 307ドル、BUY
図8. アナリストの評価が一致しないこともありますが、全体的な評価の傾向に注目すべきです。BUYのアナリストが増えると株価も上昇し、逆に減ると株価も下落します。最近、BUYのアナリストが増え始め、株価も上昇しています。
現在のテスラの指標は、適切な根拠に基づいた高評価を示しています。私自身も既に低評価の時期に投資しているため、今は新たに買い増しをするより、調整時に買い増しを考えています。ただし、調整が来てもファンダメンタルが健全であることが前提です。毎日テスラのファンダメンタルを注視し、大きな変動がなければ買い増しを検討します。
投資の観点
テスラに投資する場合、株価が下落した理由と改善する可能性のある理由を理解していれば、下落はチャンスとなり得ます。ただし、そのチャンスをバリュエーションと結びつけて考える必要があります。バリュエーションの観点から割安な時期がチャンスであり、未来の実績が既に織り込まれている状態で無闇に買い増しすることは避けるべきです。
現在、割安と見なされる時期は過ぎました。したがって、長期的な成長率が健全に続くと仮定すれば、株価が調整を見せた際に「BUY THE DIP」を実行するのは賢明な選択肢の一つとなるでしょう。