土居豊の文芸批評 高村薫『レディ・ジョーカー』その1 平成日本を代表する小説
土居豊の文芸批評
高村薫『レディ・ジョーカー』その1
※写真は全て土居豊の撮影
(1)平成日本を代表する小説
現代のドストエフスキー、と呼ばれることもある作家の高村薫、その作品中でも人気の高い「合田雄一郎」シリーズの3作目『レディ・ジョーカー』は、平成日本を代表する文学作品だ。
物語はグリコ・森永事件をモチーフとしていながら、時代背景を1995年前後として、平成日本の虚実を描く。
時代がまだバブル崩壊後の予熱を保っていた時期、バブルの象徴のような日之出ビール(キリン、が