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衆議院選挙2024 多文化共生関連政策③

前々回の記事では自由民主党の公約・政策集から、前回の記事では立憲民主党の政策集から外国人や多文化共生に関する項目をピックアップしました。
ここでは、この2つ以外の政党の政策についてまとめてみます。


日本維新の会

日本維新の会の「第50回衆議院議員選挙」にも、多くの記載が見られました。

就労外国人政策

  • 専門的・技術的分野の外国人については、イノベーションの創出等を通じた我が国経済の成長に資する観点から、積極的な受入れを図る一方、それ以外の就労目的の外国人については、我が国における賃金水準の向上の阻害、地域社会における摩擦等の弊害を生じさせることのないよう、日本語能力および日本文化の理解等について現行よりも高い水準を満たし、技能水準の継続的な向上等を通じて我が国経済の成長に貢献し得る人材に限って受け入れを行います。(127)

  • マイナンバーカードによる外国人労働者の在留管理を推進するとともに、国・地方自治体・事業者それぞれの権限と役割を明確にし、就労目的の外国人が円滑に日常生活を送るためのサポートを強化する一方で、失踪や犯罪等には厳格な対処を行う体制を構築します。(128)

  • 地域社会における分断や、学校現場での混乱が生じている現状に鑑み、就労目的の外国人及びその家族について、我が国において円滑な社会生活等を営むことができるように支援する体制を整備するとともに、地域社会への参加を促進します。(129)

  • 偽装難民問題に留意しつつ、難民及び難民申請者への医療・食料等の支援強化や難民申請プロセスの改善など、SDGsの考え方に基づき人道的見地から難民問題に取り組みます。(130)

  • 安全保障上の観点などから、各級選挙や住民投票における外国人参政権付与については認めない一方、帰化を望む永住外国人のため帰化手続きのさらなる合理化と適正な運用を推進します。(131)

成長戦略:農林水産業

  • 農地取得については、現在の構造改革特区による一般法人の農地取得の推進を図りつつ、外国資本や外国人による農地・森林・水源地などの土地取得の制限、農地転用の厳格化、自治体等による買戻し制度など、国民と農家が安心できる仕組みを作ります。(217)


危機管理・防災インフラ

  • 日本に滞在する外国人の増加に対応し、災害時における行政による情報発信や避難所での多言語対応を充実させます。(269)


教育

  • 新型コロナを機に検討された9月入学制度については、海外大学と入学時期を一致させ海外留学を円滑化するとともに、優秀な外国人学生の確保による大学の国際競争力向上につながることから、引き続き導入に向けた積極的な議論と検討を継続します。(283)


行政改革

  • マイナンバーの使途を拡大し、マイナンバーの「フル活用」を推進します。マイナンバーとすべての銀行口座の紐づけを義務化すること等を通じて収入と資産を捕捉するとともに、戸籍から不動産登記、外国人在留管理までを紐付けし、ワンストップサービスの拡張、有事の際の給付金の速やかな支給など、透明で公平公正、迅速な行政施策の実施を実現します。(333)


安全保障:ハイブリッド戦対応力

  • 防衛施設周辺や国境離島の土地等が外国人・外国企業に購入され、我が国の安全保障を脅かす事態が生じていることに鑑み、国家安全保障上重要な土地等の取引等については厳格に規制を強化します。(390)


公明党

公明党の「衆院選重点政策」には、2つ記載がありました。

2030年訪日外国人旅行者数6000万人、消費額15兆円の達成

インバウンドの本格的な回復に向けて、伝統芸能などにおける外国人対応の改善、アドベンチャーツーリズムや医療ツーリズムの推進、訪日クルーズ再興と拠点形成、航空便の回復等の受入環境整備、二次交通の確保等の観光地へのアクセス向上、MICE誘致・開催の推進を含む戦略的なプロモーションを強力に推進します。(p.16)

SDGsの達成へ取り組みを加速

人間の安全保障の理念に立脚しながら、気候変動、国際保健(グローバルヘルス)、防災、貧困撲滅、労働(ディーセント・ワーク)、平和構築、人道、難民・避難民問題、ジェンダー平等、教育、海洋環境の保全等、国際社会共通の重要課題への対応を主導するためにも、新たな開発協力大綱を踏まえ、ODAを拡充し、SDGs(持続可能な開発目標)の2030年達成に向けた国内外の取り組みを加速化させます。(p.19)


国民民主党

国民民主党の「政策パンフレット2024」には、多くの記載が見られました。

危機から国民と国土を守る

(9)外国人土地取得規制

  • 我が国における土地の取得・利用・管理をめぐる最近の状況に鑑み、総合的な安全保障の確保を図るため、防衛施設周辺以外も対象とした「外国人土地取得規制法案」の成立をめざします。(p.25)


働き方改革

(5)育成就労支援

  • 新たに始まる外国人労働者の育成就労制度については安価な労働力の確保柵として悪用されないよう、厳格かつ適切な運用を求めます。

  • また、育成就労制度と特定技能制度が一体的な運用となり、日本で働く外国人が特定技能制度2号になると家族帯同で永住できることから、来日する子どもや家族の日本語習得や学校での学習機会の確保等、国が主体的な対策を講じていくよう取り組みます。(p.29)


ジェンダー後進国脱却、多様性社会実現

  • 障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの全ての子どもが互いを理解し、共に学べる「インクルーシブ教育」の環境をつくります。(p.30)

(2)選択的夫婦別姓制度

  • 法の狭間で苦しむ無戸籍・無国籍問題についても引き続き取り組みます。(p.30)

(4)ヤングケアラー対策

  • 育児や介護、障がいのある兄弟のケアや通訳等を日常的に行っている子ども(ヤングケアラー)の実態調査を定期的に行い、効果的な支援の方法を調査研究するとともに、ヤングケアラーの子どもやその家族に対する福祉的・教育的な支援を恒常的に行うための「ヤングケアラー支援法」を制定します。(p.30)

(9)差別の解消

ヘイトスピーチ対策法を発展させ、人種、民族、出身などを理由とした差別を禁止する法律を制定します。
また、性的指向、ジェンダーアイデンティティの多様性について、すべての国民が自然に受け入れられる共生社会の実現をめざします。(p.31)

(10)外国人との共生

  • 外国人の受け入れは、その能力が存分に発揮され、日本国民との協働・共生が地域社会や生活の現場においても推進されることが大前提です。

  • 困難な状況となっている地方における人材の確保、多様な言語に対応したワンストップセンターの整備など、地方自治体などに対する支援を強化します。

  • また外国人児童・生徒の言語支援を強化するとともに、不就学・進学の課題に取り組みます。

  • 育成就労の制度化にあたり、人権が保護されるよう、労働者としての権利性を高めます。(p.31)


現役世代・次世代の負担の適正化に向けた社会保障制度の確立

(16)介護福祉士国家試験に母国語併記

  • 外国人介護人材を受け入れていくにあたり、介護福祉士国家試験が日本語のため、合格率が低い状況にあり帰国してしまうケースが多いのが現状です。

  • 日本語に合わせて母国語を併記してもらい、資格の取得がしやすい環境を整備することにより、外国人介護人材が将来にわたり日本で活躍しやすい環境を整備します。(p.32)


日本共産党

日本共産党の「総選挙政策2024」には、5つの記載がありました。

ジェンダー平等、人権後進国から先進国に

(3)あらゆる分野での人権保障を

  • アイヌ民族の権利運動に連帯し、国連宣言に沿った先住民の人権尊重前進のとりくみ強化をはかります。

  • 外国人労働者に、日本人と同等の労働者としての権利保障を確立します。育成就労制度は、技能実習から名称変更しただけであり、早急に本人の意向による「転籍の自由」の保障と、労働者の家族帯同を認めるよう抜本的改善をはかります。

  • 難民条約、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の基準など国際人権法を順守し、法務省から独立した難民認定機関の設置など抜本的な入管法改正、入管庁改革を行います。

  • 国連拷問禁止委員会などから厳しく批判されてきた長期収容に上限を設定し、人身拘束はかならず司法審査を行います。難民認定申請中の強制送還を可能とする改悪は無効化します。新設された永住権取り消し規定を削除します。

  • 戦乱など諸事情で日本に避難した外国人には、ウクライナ避難民と同水準の支援を行います。日本生まれ、日本育ちの子どもとその家族に、実情に即した在留特別許可を積極的に進めます。

(10月19日追記)

「各分野の政策」に具体的な記載がありました。

19、ヘイトスピーチ

  • 実態調査と差別解消に向けた計画策定を

  • ヘイトスピーチ根絶へ政府の姿勢を根本から変える

80、外国人の人権と入管、難民

  • 在留資格「特定技能」制度―外国人労働者に人間らしい生活を保障するための施策をすすめます

  • 技能実習制度・育成就労制度―安易な受け入れ拡大に反対し、制度の廃止を含めた根本からの見直しを求めます

  • 永住許可取消し制度は廃止します

  • 難民問題に、日本政府は先進国として積極的な役割を果たすよう求めます

  • 日本政府の難民認定のありかたを抜本的に改善します


れいわ新選組

れいわ新選組の「れいわ緊急政策」には、2つの記載がありました。

あらゆる不条理に立ち向かう

5.1 ジェンダー、障害、国籍など少数者が排除されない社会を!

  • ジェンダー、障害、国籍、そして少数者であることを理由に、学校や企業、公共交通、そして政治の場から排除されない社会、また待遇や賃金に格差のない社会を目指します。

  • 外国人の包括的な権利を規定する法律を制定する。(p.12)


社会民主党

社会民主党(以下、「社民党」。)の「第50回衆議院選挙 重点政策」には、複数の記載が見られました。
また「移民」という言葉を使い、定住外国人の地方参政権についても言及しています。

ジェンダー平等・多様性社会の実現

29)実効性のある包括的差別禁止法と人権救済機関をつくり、共生の社会づくりをすすめます

  • 異なる立場にある人を軽んじ貶めるハラスメントやヘイトスピーチ(憎悪表現)が横行しています。人間関係が希薄し人と人とのつながりやコミュニティの重要性が叫ばれるなか、性別や国籍、民族など、あらゆる差異を問わず誰もが等しく権利を保障され、人間らしく暮らせる社会づくりが求められています。

  • 社民党は、政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける包括的な差別禁止法の制定を提案してきました。いかなる差別も許さない共生の社会づくりのため、社民党は全力で取り組みます。(p.33)

32)難民・移民と共生する日本社会を創ります。定住外国人の地方参政権を実現させます

  • 2023年6月に「入管法」が改正されました。従来は在留資格がない外国人で難民申請している場合、強制送還の対象となりませんでしたが、今改正により3回目の申請から強制送還の対象となります。迫害されている母国へ追放することは、まさに「死刑執行のボタン」を押すことです。

  • 社民党は、現行の入管法を廃止し、入国管理と難民保護を分けた「出入国管理法」と「難民保護法」制度を主張しています。入管収容施設の人権侵害を防止し、非常に低い難民認定率の問題などに取り組み、移民・難民の排除ではなく、共生社会の日本をつくります。

  • 日本で暮らす技能実習生に対する人権侵害が横行していることから、技能実習制度が見直されることになりました。技能実習制度は、技能を通じた国際貢献を建前としながら、現実には安い労働力を確保する手段となっており、賃金不払いなど雇用主による暴行などが絶えませんでした。

  • 今回(24年6月)、 「出入国管理及び難民認定法」改定案が成立し、技能実習制度に代わる「育成就労制度」が創設されることとなりました。一定の条件の下での転籍を認めるなど一歩前進の面もあるものの、永住許可を取り消す規定などが、大きな課題を残しました。外国人労働者はでは社会を維持できないのが現実で、その処遇の改善や人権擁護、日本語教育、生活支援の態勢を整備するのは当然です。

  • そもそも長年日本に住み納税などの義務を果たしながら地域の課題について定住外国人が関与できないのは不合理です。定住外国人の地方参政権を実現します。(p.36)


参政党

参政党の「公約2024」には、大きな項目の中で取り上げられていました。
ここでも「移民」という言葉が使われています。

外国資本による日本の買収と過度な移民受け入れに歯止めをかける

外国人がほぼ制限なく自由に土地を売買できるのは世界で日本だけ。農地、宅地、リゾート地、再エネ用地、森林、水源地、離島等の外資買収が進んでいるが、政府はその正確な実態の把握さえ出来ていない。政府は特定技能制度の目的を“人材確保”とし、5年で34万5千人としていた外国人の受け入れ上限を82万人に変更した。日本企業の買収や株への投資も増加し、2023年度外国人の日本株保有比率は31.8%で過去最高となっている。

  • 外資買収の実態把握と規制の強化(土地、森林、水源地、離島等)。

  • 目先の人材不足を補うための行き過ぎた外国人労働者流入を抑える。


みんなでつくる党

みんなでつくる党はウェブサイトに選挙公約の文書掲載文書はなく、YouTubeで「第50回衆議院選挙公約発表」がありましたが、特に言及はありませんでした。


日本保守党

日本保守党の「重点政策項目」には、大きな項目の中で取り上げられていました。
ここでも「移民」という言葉が使われています。

移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ

  • 入管難民法の改正と運用の厳正化

  • 経営ビザの見直し

  • 特定技能2号の拡大、家族帯同を許す政府方針を見直す。

  • 健康保険法改正(外国人の健康保険を別立てにする)


以上、10月16日午後1:00時点でのまとめでした。
必ずしも全ての項目をピックアップできているわけではありません(抜け漏れもあると思います)し、ここに書かれていることだけが全てではないと思います。また、書かれたことが実際にどう実現されるかも現段階ではわかりませんが、今後の投票や国の動向を考えるうえで、ご参考になればと思います。




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