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衆議院選挙2024 多文化共生関連政策①

2024年10月27日に投開票される衆議院選挙について、各党の政策集に記載されている多文化共生関連の項目をまとめてみました。

以下、衆議院の議席の多い順に見ていきます。
最初の自由民主党(以下、「自民党」。)と次の立憲民主党(以下、「立憲」。)は、非常に多くの記載が見られますので、この記事は自民党だけ、次の記事は立憲だけにして、他の党はその次の記事にまとめます。


自由民主党

自民党のウェブサイトには様々な公約・政策が掲載されていますが、まずは今回の衆議院選挙における公約の「第50回衆議院選挙」を見てみると、記載があったのは次の2つだけでした。

  • 海外での日本語教育・日本文化発信の拠点づくりを進めるとともに、在留外国人に対する日本語教育環境を整備します。(p.36)

  • 女性活躍の推進や外国人材の確保等を支援します。(p.40)



ただし、「総合政策集 Jーファイル2024」という今年度版の政策集には、実に多くの項目で外国人や多文化共生について言及されています。
政権与党だからこそここまで多くの分野にわたって具体的に記載できるのだろうと思いますし、なぜそれらが今回の選挙公約にも書かれていないのかはわかりませんが、いずれにしても、上記2つだけではないということは知っておいたほうがよいと思いますので、下に主なものを転記しておきます。

62 多言語音声翻訳の普及・高度化

  • ICT の発達により実現可能となった多言語の音声翻訳の幅広い普及やビジネスや国際会議にも対応した最先端の AI 技術を用いた同時通訳の実現により、訪日・在留外国人との共生社会の実現、企業のビジネスチャンスの拡大や海外連携の促進を図り、国内外での経済・社会活動において日本の価値と魅力を高めていきます。(p.13)


369 外国人患者の受入体制の整備

  • 地域医療に支障を来さず、かつ、外国人患者が、安全・安心に日本の医療サービスを受けられるよう、外国人患者受入れに関し医療機関が利用できる一元的な問い合わせ先(ワンストップ窓口等)の更なる拡充、医療通訳等の配置等、地域の医療関係者等の参画も得て、医療機関における外国人患者受入れ体制の充実を図るとともに、外国人旅行者が医療機関に関する情報をスムーズに得るための仕組みづくりを行います。(p.65)


388 介護人材の確保・資質の向上

  • EPA、在留資格「介護」、介護職種の技能実習制度、在留資格「特定技能」により、我が国の介護現場で活躍される外国人の方には、それぞれの制度趣旨に沿って必要な支援を進めます。(p70)


450 新規就農者・女性等の活躍促進

  • 女性の一層の活躍の推進や、外国人材の確保と受入れを支援します。(p.83)


477 林業を支える多様な担い手・人材育成

  • 「緑の雇用」や緑の青年就業準備給付金により若い新規就業者の確保と定着を図り、森林総合監理士(フォレスター)、森林プランナー、オペレーター等林業技術者・技能者の育成を推進するとともに、外国人材の受入れに向けた取組みを推進します。(p.88)


491 漁師になろう!漁業・水産業への新規就業者を支援

  • 新規就業希望者に対して細やかな情報発信を行える体制の構築や水産高校卒業生の海技士資格の取得を支援するとともに、外国人材の確保と適正で円滑な受入れを支援します。(p.90)


548 持続可能な観光立国の推進

  • 2030 年訪日外国人旅行客 6,000万人・消費額15兆円の目標の達成に向けたインバウンドの拡大とともに、持続観光な観光地域づくりや地方誘客促進、国内交流拡大に戦略的に取り組みます。(p.98)


650 人権外交の推進

  • 短期的には(中略)企業の人権デュー・ディリジェンスの支援強化、ODA による人権支援、国連の活動におけるイニシアティブの発揮、厳しい立場におかれる在留外国人等への支援強化等を検討・実現します。

  • 中長期的には、二国間の「人権対話」の推進、権威ある国際 NGO との人権外交に関する対話枠組みの創設、外国人労働者との共生のための制度の強化、国際的に保護を必要とする難民等の受入れ改革等を追求します。(p.115)


683 国民保護の一層の強化

  • 在外邦人保護の観点から、在外公館の人員・機材を含む体制を強化するとともに、邦人等の保護や退避、避難民に対する支援に全力を尽くします。(p.122)


701 インテリジェンス機能の強化

  • 来日した外国人材に関し、「安心して暮らせる国 日本」に向けた対応に必要な情報収集・分析体制を強化します。(p.125)


711 テロリスト等の入国を阻止する水際対策、情報収集・分析体制の強化

  • テロへの関与が疑われる外国人が、日本への帰化によって日本人として我が国に潜伏することを防止するため、より慎重に帰化許可申請の審査を行うとともに、関係機関との連携強化を図ります。(p.127)


771 外国人の子供が日本社会で活躍するための日本語教育等

  • 日本に在住する外国人が社会に溶け込み、また活躍する環境を整備するため、外国人の子供の就学を促進するよう、地方自治体における多言語の就学案内の送付や就学状況把握などの取組みを支援します。

  • また、公立学校における外国人の子供の日本語能力や学力を保障するための指導を行う教師や指導補助者・通訳等の配置や ICT機器・教材の活用など、学習者の日本語能力に応じたきめ細かな受入れ体制を構築します。

  • 更に、高校・大学等への進学の促進を行うとともに、キャリア教育支援を充実することにより、将来、我が国の社会での活躍を目指した学習意欲の向上を図り、日本人の子供と外国人の子供がお互いに学び合い、切磋琢磨し合う環境づくりに取り組みます。(p.137)


772 真に外国人との友好を築く日本語教育

  • 外国人労働者の増加や、日本語学習のニーズの多様化を踏まえ、第 211 回国会で成立した「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」に基づく認定日本語教育機関及び登録日本語教員の活用を含めた日本語教育環境の整備を進めるとともに、「地域日本語教育の総合的な体制づくり推進事業」などを継続的に実施・充実させるなど、真に外国人との友好を育むための環境整備を行います。

  • また、海外における日本語の普及にも取り組みます。(p.137-138)


798 優秀な留学生の戦略的な獲得・活躍推進

  • 外国人留学生は我が国の教育・研究分野や外交において重要な存在であることから、優秀な留学生の戦略的な獲得に取り組みます。

  • 世界的な留学生の獲得競争の中で、日本で学ぶ留学生が増え社会で活躍できるよう、海外拠点を活用した教育研究活動に関する情報発信の強化や現地入試などの促進、留学生の適切な在籍管理、奨学金の充実や受入れ機関の体制整備、周辺の生活環境の整備、地方自治体や大学、民間団体、NPO などが連携したインターンシップの実施、卒業・修了後の就職支援など産業界をはじめとする社会の受入れの推進を図ります。

  • また、受入れから定着まで外国人留学生受入れの玄関口となる我が国発信のオンライン国際教育プラットフォームを運用するとともに、時代・社会のニーズを踏まえた多様な国際交流を推進し、質の高い国際流動性の実現を目指します。(p.142)


799 海外の優れた学生・研究者の受入れと大学・研究環境の国際化

  • 日本人学生と外国人学生がそれぞれの文化的多様性を活かし共に学修することを「多文化共修」と位置付け、これらの国内外での開発・実施・普及を通して、優秀な人材の育成・獲得や、更なる大学の国際化を図る事業を推進します。(p.142)


856 在留管理と多文化共生社会の実現

  • 外国人の適正な在留管理の徹底を図るとともに、多文化共生社会の実現のため、一元的相談窓口の設置、行政・生活情報の多言語化などの受け入れ環境整備を進めます。

  • また、国と地方公共団体、全国の一元的な相談窓口などとの連携を充実させるなど、効果的・効率的な支援の実施を推進します。

  • 更に、行政・生活情報について、我が国を訪れる外国人の国籍や使用言語などの多様化を踏まえ、多言語対応を推進しつつ、所要の体制整備を行います。

  • 国民と外国人の双方からの継続的な意見聴取や、基礎調査の実施などを通じ、外国人の生活上の諸問題を的確に把握し、共生社会の実現に向けた施策に反映させていきます。(p.152)


857 不法・偽装滞在者対策に資する体制の整備

  • 日本人と外国人がともに安心して暮らせる社会の実現に向け、改正された入管法も適切に運用し、在留が認められない外国人の迅速な送還に取り組みます。(p.152)


858 出入国審査と在留手続の円滑化

  • 在留外国人の在留手続の円滑化・迅速化を図るとともに、外国人の利便性を向上させるため、マイナンバーカードと在留カードの一体化や在留関係手続のデジタル化の推進等に係る施策の充実を図ります。(P.152)


859 留学生・技能実習生の適切な在籍・在留管理

  • 留学生の適切な在籍管理を図るため、上陸基準省令の改正に基づく運用を着実に行い、在籍管理が不適切な大学などに対して厳格な対応を行います。

  • また、技能実習生の適切な在留管理を図るため、実地検査のための体制や送出国を含む関係機関の連携の強化などを通じて、不適切な受け入れ機関や送出機関などに対して厳格な対応を行うことにより、制度の改善及び運用の適正化を図ります。(p.152)


860 特定技能制度の活用

  • 特定技能制度が深刻な人手不足の解消策としてより一層活用されるよう、2024 年3月の新規分野の追加等を踏まえ、技能試験の整備や制度の周知活動、各分野の実情を踏まえたマッチング支援等、特定技能外国人の円滑な受け入れに向けた取組みを推進します。

  • また、特定技能外国人の受け入れに当たっては、受入れ企業と地方公共団体とが意思疎通しやすい環境を整えるなど共生社会の実現に資する取組みを進めてまいります。

  • 更に、特定技能外国人の大都市圏などへの集中を防止するため、地方における受け入れ環境整備や、地方定着のノウハウ、優良事例の共有などを積極的に行います。(p.152)


861 育成就労制度の円滑な施行

  • 我が国が魅力ある働き先として選ばれる国となるように、外国人が日本で就労しながらキャリアアップできる分かりやすい制度として人材育成と人材確保を目的とする育成就労制度を創設しました。

  • 育成就労制度の円滑な施行に向けて、必要な体制整備、受入れ対象分野や受入れ見込数の設定、監理支援機関等の要件厳格化に関する方針の具体化等に取り組みます。(p.152-153)


862 難民等の迅速かつ適正な保護・支援

  • 2023 年 12 月に開始された補完的保護対象者認定制度を適切に運用するとともに、補完的保護対象者として認定された方には、条約難民と同様に我が国での自立支援策の一環として、日本語教育や生活ガイダンスを受講できる「定住支援プログラム」を提供します。

  • 難民等の保護すべき方々を一層確実、迅速かつ安定的に保護するとともに、保護された方への適切な支援に取り組みます。(p.153)


871 過疎地域における生活インフラ維持と人材確保に向けた規制改革

  • 日本で学ぶ留学生の25%が専門学校に在籍し、人材育成に大きな役割を果たしている一方、実際に就職したのは 4 割程度にとどまっています。在留資格などの厳格な基準により、特に保育や調理など、国家資格を取得したにもかかわらず、その職に就くことができない事例については早急な是正が必要です。

  • 「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の適切な運用等を通じて、留学生本人と就職先企業のニーズに応え、とりわけ地方における人材育成・確保を促進します。(p.155)


以上が自民党の公約・政策集です。
次の記事は、立憲の政策をまとめます。


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