エベレスト街道旅行記13日目(2022/04/30)ロブチェ→ゴラクシェプ→エベレストベースキャンプ→ゴラクシェプ
朝起きると、ロブチェには雪が積もっていました。
遠くに見えるはずのヌプツェも雲の中。
明日の朝はハイライトのカラパタール登頂の日です。明日もこんな天気だったらどうしよう・・・気持ちが萎えます。
夜もあまり眠れず、頭痛も少しします。
まぁ今日の天気は今日の天気、明日晴れることを祈って行動を開始します。
朝はツァンパポリッジ、のはずが、ちょっと違うらしい。食感は大体同じなのですが、味がないので食い切るのがしんどかった。
飯食ってたら天気も良くなってきたし、少し安心してきました。
雪の積もった谷を歩きます。脳内BGMはガガゼト山です。カラパタールを終点とするのであればほぼラスダンみたいなものですからね。
しばらくは昨日のトゥクラパスを越えた後のような平坦な道を歩きます。楽。
その後はハイパスというところにでます。フィルターではないです。氷河によって段差ができているような箇所です。たっぷり休憩をとり、ここを登ればひと段落すると思って頑張ります。
ナムチェの橋を登ったアメリカンナイスガイも同じタイミングらしく、振り向くとそこにいました。2人で笑顔で頑張って登ります。そして登り切った先は・・・
ガレ場がまだまだ続きます。
これがゴラクシェプまでずっと続きます。地図を見てここは割と平坦だろうと思ってたので心が何度も折れました。休み休み呼吸を整えながら行きます。まるで走ったかのように息が切れます。ここがラストダンジョンです。
このガレ場で戻ってきたジョルサレで出会ったルーマニアガールとすれ違いました。カラパタールから降りてきたみたいだが、さすが早すぎんか?という気持ちに。
もう少し進むと、エベレストから流れるクーンブ氷河とエベレストベースキャンプが見えます。
氷河はちょうど自分たちの足元を流れています。氷河って氷の川って感じで綺麗なのかと思いましたが、上に土、というか岩が積もっていて、ボコボコした地面にしか見えないです。
1時間半ぐらいガレ場と格闘した末、ゴラクシェプに到着です。ここは最後のロッジ村になります。意味は「カラスの墓場」という何ともかっこいい名前です。ここから先のエベレストベースキャンプはテント村で、一般人は利用することができません。事実上の最後の村です。
到着直前から雪がちらつきはじめたのと、とりあえず酸素が足りないので、ひーひー言いながら体を温めていると衝撃の情報が。
この曇り空と雪は今後5日ぐらい続くらしい・・・ということは明日のカラパタールも、ゴーキョからもエベレストが見えない可能性があります。
こんな時に精神を安定させてくれるはずのインターネットもメンテ中で、3Gがたまに繋がるくらいです。
とうとうゴラクシェプに隣接してるはずのカラパタールですら、雪と雲で見えなくなってしまいました。エベレストの登頂が5月が多いのは、天候が安定しているからなのでは・・・
今日カラパタールにいたはずのルーマニアガールのいい光景だったという情報とか、早朝はなんだかんだどうにかなってる毎日を思い出し、どうにか晴れてほしいと願いますが、ゴラクシェプまでのハードな道を歩いて来たばかりの自分としては結構ダメージがデカかったです。
ここまで来た意味とは、時間作って、ウン十万払ってきたのに、重い高山病にもならずここまでどうにか来れたのに、いろんな人にも迷惑かけてるし、とかいろいろな気持ちが去来して正直泣きました。
とりあえずベースキャンプに行こう、となりましたが、心はかなり折れています。
とりあえずの腹ごしらえで、昼はモモにしました。そこまで腹は減ってないです。精神的なものもあるかもしれないけど・・・
そしてエベレストベースキャンプへ2時間半ほどの道を行きます。地図を見る限り谷間を渡っていくもっと楽な道だと思ったけど、ゴラクシェプへの道と大して変わらないガレ場もあります。
雪もどんどん激しくなり、遠くに見えているいろんな山の尾根も見えなくなります。
何のためにここにきたんだろう、と再び心が折れて涙がこぼれます。
ベースキャンプへは、クーンブ氷河の脇の道を歩いていきます。規模は全然違いますが、構造としては涸沢カールに似ています。
氷河の脇の道は、ガレ場あり稜線ありの道なのですが、言わば氷河で作られた河川敷のようなものです。巨大な岩が何層にも重なってできています。
稜線上でシャワーズ(仮)夫婦にも再会しました。旦那さんが無事でよかった。
ベースキャンプは氷河の上にあります。ここから氷河に降りていきます。氷河の上には土が積もって地面にしか見えませんが、土を剥がすとそこは氷が堆積しているのが分かります。
とりあえず記念撮影をしました。一般人のゴールはここです。ここから先はウン百万を払ったガチ勢の世界です。
ちょうど同じタイミングでアメリカンナイスガイも来たのでほぼほぼ同じ道程ですね。明日もカラパタールで会うのでしょうか。
日本のテントないかなと思って探したけど、雪で心折れてあまり奥に行くのはやめました。それにただの一般人は会わせてくれなそう。本当は山に囲まれた迫力ある場所なのでしょうが、ガスで何も見えませんでした。登山する人は引きこもって英気を養っているのか、恐ろしく静かな場所でした。
帰り道はまるで大雪の日のスキーのようなテンションです。寒くてひたすら疲れる。時折氷河の崩れる音が遠くからします。ひとつのゴールではあったけど、ただただ虚しかった。
しばらく歩いて、ラケシュにこっちって言われた方向が上り坂の獣道でいやだなぁと思いつつ、進む。下の方に人が歩いてる道見えてるのに。
と、その道を進んだ先でガイドとはぐれ道に迷った女性に会いました。仲間とはぐれてしまったらしい。この道は大丈夫なのか、道がわかってるなら案内してほしいと。正直俺は言われたままに進んでるので道はわかりませんが一緒に行くことになりました。まぁラケシュはガイドなので彼の指示に従えば良いのですが、なぜか俺が先に進むことに。迷ったら殺すと言われました。怖い。
彼女はロンドンから来たサシャという女性でした。サシャはベースキャンプで大金取られそうになったとか、明日の天気はどうなの?みたいな話をあけすけにしてきました。ラケシュが「明日は願わくば晴れるといいね」みたいなことを言ったら「願わくば?」って半ギレでした。そりゃそうだわ。歩くのが嫌いな旦那がいるらしくて、似たような境遇の友達と来たらしいです。
獣道を越えると無事ゴラクシェプが見えて来ました。下からの道とも合流してたので別に登りに行かなくても大丈夫だったのでは、という気持ちにならなくはなかった。
雪が止んだりまた降ったりの天気模様を見て俺らもどんよりだけどガイドたちもどんより。そりゃそうだよな。まぁ見えても見えなくても楽しむしかないという気持ちになるしかないですね。「山は逃げない」という言葉がありますが、僕は大嫌いで、山は逃げなくても自分のチャンスっていうのは限られているので。こればかりはせめて早朝だけでも晴れることを祈るしかない。
夜はダルバート。ニンニクが強めだった気がした。
明日早起きするために早めに寝てたらラケシュがやってきた。そういえば充電してる電池を9時に回収するって言ってたな、朝じゃなくて夜のことだったのか、フルチャージだったはずなのにフルチャージじゃない、クソが。スヤァ・・・