◎手帖P8「世界一エコでオシャレなメッセンジャーバッグ」
2020/01/22、01/29OA
トラックの幌をリユースして作っている、スイスのバッグブランド「フライターグ」。フライターグ兄弟が始めたブランドです。今回は来日されたお兄さんのマーカスさんにお話を伺いました。
フライターグは会社としては1993年立ち上げたということになっていますが、兄弟が物心ついた頃から、二人で物を作って遊んでいたので、子供の頃から始まったと言えるのかもしれないと、マーカスさんは言います。子供の頃、その辺にあるっもので何か作るのが好きだったんですって。遊びの延長に今もいると言えるかも?
学生の頃は、マーカスさんはビジュアルコミュニケーションを学び、弟のダニエルさんは、グラフィックデザインの勉強をしていたそうです。ある程度の年齢になったころ、今後も2人でデザインの活動を続けていくためには資本が必要で、何かビジネスになるようなことを考える必要がありました。2人の目的は、お金を儲けることではなくて、あくまでもデザインの活動を続けることだったんですね。
そこで、なぜトラックの幌をリユースして鞄にしたのでしょう。当時2人で暮らしていたアパートの窓からは、いつもドイツとイタリアを繋ぐ高速道路が見えていて、たくさんのトラックが走っていたそう。1993年当時というのは、インターネットもないし、Googleも存在せず、調べ物も難しかった時代で、窓から見えるその景色だけが、2人のインスピレーションの源だったんですって。そして、今よりももっとメッセンジャーの自転車が町を走り回り、たくさんの荷物を運んでいました。トラックの幌を使えば、雨の日に水から荷物を守る事が出来るから、メッセンジャーにとって便利な鞄を作れるのではないかと閃いたそうです。当時スイスでは、まだペットボトルも一般的じゃなかったし、色んなものをリサイクルするという発想もそんなになかったという事ですから、これは相当新しいアイデアだったでしょうね。
常に新しいことを仕掛けるフライターグですが、新しいことを始めるとき、ハードルがあると思うんですよね。反対する人もいるでしょうに。利益よりも環境を考えるなんて、そんなことやっても無駄だ!もっと効率的に利益を!なんて言い出す人はいないんでしょうか?
一般的には、いろんなものを作って売る活動の中では、外部に委託する部門があるのが普通。だけど自分たちは全部自分たちでやるので、確かに非効率かもしれない。ただ、例えば何か問題があれば、それがチャンスになると、マーカスさんは言います。高いハードル、問題がたくさんあるというのは、大事なこと。問題がないということは、何もしなくていいことになってしまう、課題を解決していくのが自分の仕事なんだと、、、、!かっこいい!
1997年のこと。スイスのスーパーマーケットに、安いコピー商品を作られたことがあったそうです。もちろん、マーカスさんたちはそんな価格で販売されてしまって困ったけれど、地元のメディアが取り上げて話題にしたことで、結果的にオリジナルであるフライターグの鞄の知名度が上がったんですって。その時、コピーされたので、コピー返しをしようと思って、スーパーの紙のショッピングバッグのような鞄をトラックの幌で作って、丈夫なショッピングバックですよ〜とジョークで返したんだとか。仕返しが洒落てますよね。
そんなフライターグが最近始めた「S.W.A.P.」という「バッグマッチング」サービスがあります。これは、ユーザーのバック同士を交換するもので、ユーザー同士をつなげるサービス。ビジネスというよりは、人と人とのコネクションを大切にしようというもの。古着と同じで、どんな人がどこで使ってたのか、そのストーリーを想像するロマンのようなものが、このサービスにはあります。物の後ろにストーリーが見えているというのは、大事なこと。新品では味わえない良さがあります。ちょうど昨日マーカスさんも、古道具屋さんで、前は消防士が使っていたという腕時計を買ってしまったところなんだとか。
フライターグの鞄に、また新しい価値が加えられそうな、サービスです。ひと口にリサイクルといっても、トラックの幌が鞄になるだけじゃなく、それがユーザーからユーザーへ、また次のユーザーへと、グルグル回っていくことで、本当の意味のリサイクルの輪を自分たちで完成させることができます。きっとフライターグの理念の実現に繋がりますよね。
フライターグの未来については、たくさんのアイデアが頭の中にまだまだあるそうです。新しい素材にもチャレンジしたいし、鞄以外にも挑戦したい、家具とか什器とか、自転車にまつわる何かも作りたい!大阪や京都にきて、自転車ユーザーをたくさんみて刺激を受けたので、もっと自分たちの商品がきっかけで自転車ユーザーが増えて、車の数が減ればいいなとマーカスさん。そういうふうに物流に対してフライターグが介入していくことができれば、世界の環境のために、自分たちにも何かできるのでは、と!
さて、去年12月、京都に新しいお店がオープンしました。今回のお店は運送業の拠点のイメージ。店舗の外壁にトラックの絵が描いてあります。店舗内になんとDIYスペースがあるんですよ。そもそも世界に一つしかないものを販売されているのに、さらに自分の手で作れるとなれば、本当にオンリーワンのものが作れて、思い出になるようなことが経験できるはず。
フライターグが作るリサイクルの輪の中に、入ってみませんか?
▼FREITAG
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