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◎手帖P19「果物の未来を耕す柿」

2020/11/04.11 OA

グランフロント大阪にもお店があるので、カフェのファンの方も多いかもしれません「堀内果実園」の、お店ではなく、果実園に畑にお邪魔して堀内さんにお話を伺いました。

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堀内果実園があるのは、奈良県五條市西吉野。山山山・・・・山の中です!空気もちょっと変わる感じで、気温が少し低く感じました。山の上のほうにあるので畑からの見晴らしもよくて、日本昔話のような、のどかな景色。
そんな堀内果実園では、この10月平核無柿(ひらたねなしがき)や刀根柿(とねがき)が収穫されていました。11月になると柿の王様と呼ばれる大きくて甘く、収穫後すぐに食べられる富有柿(ふゆうがき)の収穫が始まります。

そもそも柿は観賞用も含めて1000種類くらいあるそう。場所によって栽培に向いているものが違って、暖かい地域では甘い柿、寒い地域は渋柿が育てられます。渋い柿は渋抜きをして食べるんですが、干し柿はその代表。確かに寒い地域で干し柿はよく作られていますよね。関西は日本の真ん中あたりなので、甘い柿も渋柿も両方育てられています。

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渋柿の渋抜きは、乾燥させたり、炭酸ガスを使ったり、アルコールを使ったりしますが、堀内さんのところでは、アルコールを使います。費用が嵩む事もあり、あまり使われないそうですが、炭酸ガスを使うよりもずいぶん早く出荷できるので、その分フレッシュで食感の良い状態で食べることができるんだそうです。堀内果実園の柿は、ジューシーでびっくりするんですが、そういうことだったんですね〜。

ちなみに、家でも干し柿は作れるそうです。渋柿を買ってきて、皮を剥いて干しておくだけです。干して冷たい風が通り抜けることで、カビが生えずに乾燥させることができるんですって。近年、暖冬の傾向があるので、カビが生えやすいので、注意です。皮を向いて熱湯につけて殺菌して、その後吊るして干すといいそうです。または、焼酎を霧吹きして除菌してもよし!

『天然の和菓子』と呼ばれる、あんぽ柿は、干し柿と何が違うかと言うと、水分量。干し柿よりも水分が多く、中がとろっと、半生。乾かし度合いが違う。基本的に核無柿が使われます。

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堀内果実園では、柿の果実だけではなく、葉も利用しています。まず、奈良といえばの「柿の葉寿司」に使う葉。夏に採集してしまいます。柿の葉を使うときの栽培方法と、実を食べるための栽培方法は違うので、甲子園球場1個分の広さの畑を、葉のための畑にしているんですって。果実は一切つけず、葉だけを育てて、良い大きさの葉を手づみで収穫しているそうです。

さらに、葉を使って、柿の葉茶も作っています。ビタミンCも豊富なお茶。ビタミンCは熱に弱いイメージだけど、柿の葉のビタミンCは、熱に強いプロビタミンCなので、お湯を入れても平気。しかもノンカフェインなので、夜に飲んでも安心。(3ヶ月、毎日マグカップ2杯の柿の葉茶を飲むという実験を、堀内さんは自らやってみたそうですが、堀内さんは驚きの美肌なんですよ〜!すぐ真似しよう!笑)

柿の葉茶は、健康茶として昔からあったけれど、ちょっとクセがある味。堀内果実園では常用してもらうために、深蒸しにして飲みやすいお茶にしています。食事に合わせやすい煎茶タイプと焙じ茶タイプに加えて、ブレイクタイムに飲んで気分転換できそうな、柿ブレンド、レモンブレンド、キャラメルりんごブレンドなど甘味があるものも開発。

ブレンドティの開発や、直営店としてのカフェ営業など、色々とトライするのはなぜなんでしょう?

実は、ここ十数年、日本での果物の消費量が減っているんだそうです。まだ手軽に食べられるブドウやイチゴなどは人気だけど、皮を剥くなど手間がかかる果物の消費量がとにかく減ってしまっている。「果物って美味しい」にもっと気づいてもらうために、思い出してもらうために、どうしたらいいか考えて、まず最初に思いついたのが、ドライフルーツ!果物の美味しさを知ってもらうためのドライフルーツなので、砂糖を足さず純粋な果物の味、「甘い」「すっぱい」など美味しさを感じられるドライフルーツを作っている。なので、原材料にする果物には、本当にこだわっているそうです。素材そのものが不味いとドライフルーツも不味くなってしまうから。味が乗っていない原料で作ってしまうとドライフルーツも味がないものになってしまいますよね。そして、ドライフルーツで果物の味に気づいてもらえたら、次は生の果物を食べてもらいたい。

・・・ということで、いよいよドライだけではなく、生の果物を楽しんでもらうために、4年前に奈良にカフェをオープン。生の果物をたくさん食べることができる、可愛くて美味しいパフェやフルーツサンドを提案。農家なので、土の色を模した茶色い食パン!端から端まで6種類の果物が入っている、ずっしりとした重さのフルーツサンドに。デザートと思いがちな果物だけど、食事にもなるデリサンドも美味しいんです。これは、果物ってシンプルにお料理の材料として考えてもらいたいという思いから。生ハム、ローストビーフ、チリソースなど、家で取り入れられる組み合わせのアイデアがいっぱい。サンドイッチの形じゃなくても、お皿の上に一緒に並べても美味しくて楽しい食事になりますよね。こだわりは、家で再現してもらうために、原型がわかる形で果物を使っていること。果物を(堀内果実園以外のお店出でもいいので)買って帰って、家で楽しんでもらうためのアイデアを堀内果実園でゲットして欲しい。「果物もおかずに使える」!とにかく日本の果物の消費量を増やしたい!

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そして、いつか、この果物の発信をしている農園がある場所に行ってみたい!と注目してもらえるようになった頃には、農園だけではなく吉野・五條自体を観光してもらえるような、まちづくりを現在準備中なんだそうです。地元にある素敵なお店をぐるっと散策して、夜の星空も楽しんで、宿泊して帰ってもらえるような、まちづくりをしたいそうです。

ちなみに「桃栗三年柿八年」というように、本当に8年で実がとれるようになるそうです。堀内果実園では、一番大きな木で樹齢120年。枝が8〜9メートル!両腕たすと15メートル!ただ、長寿の大きな木になる実がおいしいのかと言うと、そんなわけでもなく、、、、だけど、樹齢120年の木というと、ずっと昔から見守ってくれている木なので、もはや御神木のような感覚。昔から、柿は人生の通過儀礼、お祝い、正月、結納など大切な時に用いられてきたもの。長寿の意味も持っている、おめでたいものなので、樹齢120年ということを大事にしていきたい。先人が大事にしてきた木。大切に守って行きたいですね。(百年柿という特別な名前をつけて、販売もされています。)

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堀内果実園の活動は、「SDGs」の17個の項目のうち、どの目標につながっていくでしょうか?

まずは、これからの目標だとおっしゃる五條に人が遊びにきてくれるように・・・から考えてみると、
「9産業と技術革新の基盤を作る」一次産業からチャレンジをして収益を上げることで、観光と雇用の2つの部分で人を呼ぶこと。そして「11住み続けられるまちづくりを」。いろんなところから働きに来てくれているので、そんな人も暮らしていけるように。「8働きがいも経済成長も」にもつながるもの。そして、山で暮らしていくと言うことは、都会とは違う「まちづくり」の仕事が必要、そう、山自体を管理しなくてはいけない。「15陸の豊かさを守ろう」山の管理といえば・・・・(割愛!計り知れない量の、関連する作業や人間関係なども!!!!)住宅木材として使われなかった、薬を使わずに育てられた木を粉砕したものを購入して発酵させて肥料にして畑に使って、木を土地に還すことも、堀内さんの農園ではやっているそうです。
何より、そもそも農業は、「2飢餓をゼロに」「3全ての人に健康と福祉を」にも当てはまっているといえますよね。
SDGsという形で可視化されることによって、事業について見つめ直し、深掘りできるきっかけになっているとのことでした。
今後は、農業ではなかなかこれまで難しかった「5ジェンダー平等」も実現していきたいそうです。1つの部署に何人もいる大企業のように、育休や産休をとってもらえるようにするには、人数にゆとりを持った仕事の仕方を目指したいそうです。

お店のコンセプトは「果物を楽しむお店」
堀内果実園の柿や柿の茶葉などは、ネットで購入することもできます。関西の直営店は奈良市とグランフロント大阪にあります。
果物の未来を耕していく堀内果実園の柿、お試しくださいね。詳しくは HPを!
おいしい柿で人も山も街も健康に〜〜〜

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土井コマキ
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