新耳袋 現代百物語 読了
新耳袋を読んでみようと思ったきっかけは、
とあるYouTuberの方が、テンション高く
「『新耳袋』の初版を手に入れました!」
と言っている配信を見たことだった。
新耳袋??
初耳だった。
新耳袋とは
新耳袋とはオカルト界の重鎮で大変有名なお二人、木原浩勝さんと中山市朗さん著の怪談本超大作である。
怪談本と言っても創作ではなく
どれも時間をかけた入念な取材による実話ばかりを収録してある。
後日譚がある話もあるのが面白い。
本の題名に『新』と入っているのは
もともと『耳袋』という
なんと江戸時代の実話怪談の書物があったことから
これは現代版ということで敬意の表れとして『新耳袋』となっているようだ。
第一夜から第十夜(1巻から10巻)まである作品である。
曰く付きの初版
先述のとおり、『新耳袋 現代百物語』は第一夜から第十夜(1巻から10巻)まであるが、どれも99話までしか収録されていない。
私はその99話までしか収録されていないものを図書館からお借りして読んだ。
ただ、第一夜(1巻)だけはどこの図書館にも置いてなかった。
なぜ?
そこで、今流行りのネット版フリマで探して
わざわざ購入した。
ここで初版の話。
どうやら新耳袋の『初版』というのは
かなりの曰く付きらしい。
1990年出版で、先程amazonで検索したら10万円程になっていた。
絶版となっており、とんでもなく値段が跳ね上がっている。これはなかなか入手困難である。
入手困難と言ってもその前に決して所有したくない本である。(褒めてます)
呪物並の本であると予想する。
新耳袋の初版は100話収録。
百物語というのは
『昔からいちどきに100個の話をすると怪異が起こる』
とされており
この新耳袋は多数の読者の身の上に怪異が起きたという話が有名なのも人気で、入手困難の理由の大元であるのだろう。
ネットで検索すると色々出てきて楽しい。
私が入手したものは99話しか収録されていないものの、小話や後書きなどを入れると100になってしまうのではないか、
という不安があったため
決して【1日で1冊を読む】という暴挙に出ることはないようにした。
読み終わりそうだとしても、わざと数話残して、あとは翌日に持ち越し。
そのように小さな努力?の積み重ねで丁寧に第一夜から第十夜まで読了した。
様々なジャンル満載
新耳袋の構成はいくつかのジャンルに分けられておりそのジャンルに入る前に紹介の一文が添えられているので、とても読みやすかった。
怪談というと何を思い浮かべるだろうか。
怪談というと『学校の怪談』などが有名で
それによりお化けや幽霊などを連想する人が多いかもしれないが、
新耳袋にはお化けや幽霊だけではなく
妖怪
幻
時空間の乱れ
未確認飛行物体
UFO
異世界系
狐狸の動物が化けてそれにばかされた話
未知との遭遇
人間の怪
『山の牧場』のようなトマソン系
などなど多種多様なところも魅力だった。
きっと好みの話が見つかるはず。
しかも一話一話が非常に簡潔で
どれも
『え?結局なんだったの?』
という謎が謎を呼ぶ形で終わるものがほとんど。
しばらく呆然としてしまうのが怖い。
毎回
『なんだったんでしょうね?』
と問いかけられている感じがした。
オチもなくごくごく自然なのが印象的だ。
ちょっとそこで近所の人から何気なく聞いた話
という、手に届きそうなところが
余計に真実味を帯びて恐怖を煽られるのである。
カフェ代がかかる
最近は遠出した際は別として
カフェ好きの割には、あまりカフェに行くことはなくなり
自宅で自ら珈琲を淹れて飲むのが好きだ。
はじめの頃は家で
集中するためにBGMをかけずに
静かに読んでいたりしたのだが
シーンとした自宅内で
時折聞こえる小さなミシッなどという
ただの風や、家鳴りの音でさえも
だんだん気になるようになり
とても怖くなってきた。
そこで、なるべく家族がいる時に読むようにしたり
どうしても1人の場合は
わざわざ近所のカフェに出向いて読むようにした。
夜は嫌なので昼間に外で読むことがほとんどになり
カフェ利用の頻度が普段に比べて大幅に上がった。
そのような努力までもが必要な本である。
カフェで感じる人々の会話や雑音というのは
時折ありがたいものだ。
図書館の本について
今回第二夜から第十夜までは地域の図書館でお借りしたわけだが
内容以前の話として、本自体が怖かった。
どういうことか?
人気故の事だと予想するが
読み込まれ方が半端なく
綺麗な状態を保った本が1冊もなかったのである。
どれも
シミ・汚れあり
破れあり
水濡れ有り
書き込み有り
染みあり
何かしらの記載がされていた。
書き込みなど、本当に震えた。
何かの呪いが発動していたらどうすれば良いのやら。
とついつい思ってしまうのである。
その中でも上記にないもので1番ゾッとしたものがある。
押し花風になってしまっている虫。
虫が潰れた状態で本に挟まっていたのである。
これは恐ろしい。
きっと通常の本なら
『あ、虫だ』
程度でビビることはなかったものの
本が本だけに本当に勘弁して欲しい。
ティッシュでそっと取ろうとしたが、
完全に紙に貼り付いてしまっており
無理矢理はがそうとするともっと悲惨なことになりそうだったので
そのまま返却する事となった。
虫有り
と明記した方が良さそうである。
手垢が非常に多かったのも、不潔というよりも何か怖かった。
人の念を感じるというか。
それもあって
本を持ち歩く時は直にバッグに入れることはできず
ビニール袋に入れてからバッグに入れていた。
それと、護符というかおふだのような効果を期待して
『国宝 鎌倉大仏』の写真が入ったしおりを使用した。
効果はあったのだろうか。
さいごに
勇気のある方には是非100話収録の新耳袋の初版に挑戦して欲しい。
全て読み終えた今、なんとも言えない達成感と充実感がある。
長い読書の旅だった。
色んな景色を目撃した。
あなたにもあなたが知らない色んな世界、
怪異がこの世に存在していることを体感してほしい。
読んでいる際に怪異が起こったかですって?
それは言わないでおきますね。