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口を出すなら金を出せ。静岡の若者の挑戦に10万円投資する「若者チャレンジファンド」がすごい。

若者に投資できないまちに未来なし

人口が減る地方のまちにとって、若者は貴重な存在になっています。多くの地方中小企業にとっての共通の悩みは人材不足です。黒字経営なのに事業承継ができずに廃業する会社も少なくありません。そして、その数はこれからさらに増えていくでしょう。

経済成長が前提、待っていれば働く人がやってくるというこれまでの社会の当たり前は崩れつつあります。未来が見えないまちから若者はどんどん流出していくでしょう。

この状況に対して、もちろん自治体もさまざまな施策を考えては取り組みを行なっています。移住したら◯万円、中高生のうちに自治体SNSに登録させる、新幹線通学補助…。

しかし、これは行政だけが取り組む課題なのでしょうか?むしろ行政任せではうまくいくわけがなく、民間企業が自分ごととして捉えなければいけないものだと考えています。

なぜなら企業の成長や継続と若者への投資が密接に関わる時代になったからです。自社だけが良くなれば良いという考えを捨てて、まちの未来に投資できる企業が求められています。

そんな課題意識からはじまったのが、「若者チャレンジファンドしずおか」のアイデアです。

若者のアイデアに10万円。

若者がアイデアを応募し、良いアイデアには10万円の支援金を贈呈、アイデアを磨くための研修会を開催、10万円を元手にしながら実際にプロジェクトに取り組んでもらう。

ざっくりはこんなサイクルで、若者チャレンジファンドはまわっていきます。

1番の特徴は、しのごの言わず、まずお金をあげてしまうことです。世の中に学生向けのビジネスプランコンテストは山ほどありますが、お金がもらえるのは大体最終プレゼンの受賞者です。

若者チャレンジファンドでは先に10万円を渡して、プロジェクトをやらざる得ない状況をつくります 笑 

発表を評価するんじゃなくて、実際に行動してほしい!挑戦してほしい!そんな思いで、このサイクルを導入しています。  

今年度から創設された「若者チャレンジファンドしずおか」では、県内外12のグループからの応募があり、7つのグループが書類審査を通過しました。つまり、7つのグループが10万円をゲットしました。

つい先日は、スポンサーの皆さんを含めた集合研修会を実施し、書類審査を通過したグループのアイデアをブラッシュアップしていきました。

10万円を先にあげているので、実行前提でスポンサーもメンタリングを行います。やるかわからないアイデアの空中戦ではないため、若者もスポンサーもガチです。

ビジネス分野とまちづくり分野の2つの分野で応募することができ、営利・非営利のどちらのプロジェクトでも可能です。

高専生と企業を繋ぐバイト/インターンのマッチングサービスの創設や位置情報サービスを用いて観光ルートを可視化するアイデア、中高生が自由に集まれる交流スペースをつくるための社会実験など、通過したグループの内容もさまざまです。

3月19日にはブラッシュアップされた7つのアイデアが若者グループから発表される公開プレゼンも企画されています。

会計事務所グループが取り組む社会貢献

実はこの取り組み、会計事務所グループであるセブンセンスグループが主催しています。セブンセンスグループは、税理士法人が主体となったグループ会社で、静岡県内では最大規模です。

会計事務所として本気で社会貢献に取り組みたい、そして静岡の未来に投資する取り組みをしたいと相談を受け、ともに考えてきたのが「若者チャレンジファンドしずおか」です。(実はセブンセンスグループの地域貢献/ソーシャルマーケティング担当の執行役員だったりもします)

企業の会計をサポートするのが会計事務所の役割ですので、セブンセンスグループには既に多くの企業とのネットワークがありました。会計事務所が中心となって「若者の挑戦を応援しよう!」と旗を振れば、きっと賛同してくれる会社さんがあるだろうと考えました。

また、もしこのファンドを出発に起業する若者が出てきたら、その法人化、税務、労務などのサポートも担うことができます。税理士だけでなく、社労士や行政書士も抱える会計事務所グループが取り組むにはピッタリの事業だと強く感じます。

集合メンタリング当日は、セブンセンスグループの役員から下記のような発表もありました。学生起業をした僕からすると、こんなプランが当時あったら嬉しすぎました。(セブンセンスだけに777円みたいですw)

お金を言い訳に挑戦できないのは虚しい

このチャレンジファンドのアイデアのもとは、自分自身の学生時代の経験です。上述したように、僕は大学3年の頃にNPO法人を立ち上げ、起業することになりました。

右も左もわからない法人化で、はじめての法人税の支払いに死にそうになったり、現預金管理が適当で資金ショートしそうになったりと、たくさんの苦労をしてきました。

学生時代はあれこれやりたいアイデアがたくさん湧いてきます。でも、なんといっても学生にはお金がありません、ネットワークがありません。

そうした理由を並べて、学生時代にやりたかった挑戦を諦めたひとは多くいるのではないでしょうか?

もちろん身銭をきって、自分から飛び込んで、たくさん挑戦した人もいると思います。学生なら自分でなんとかしろ!そういう考えもあるかもしれません。しかし、そんなマッチョな思想では若者はどんどんまちから消えていきます。

「それはよいアイデア/いいチャレンジだね!とりあえず10万円あげるからやってみなよ!なにか手伝えることがあれば協力するからさ」

まちの大人にそれくらいの気前の良さがあってもいいんじゃないかと僕は思うのです。

例えば、若者に優しい国と言われるスウェーデンでは、若者のあらゆるプロジェクトに助成を行う制度が整っています。財源をつけることによって、若者の活動が活発化し、80%を超える投票率にも繋がっています。

スウェーデンの若者政策には、ユースインフルエンス(若者の影響力を高める)というコンセプトがあります。ここでいう影響力は、若者に財源をつけることに他なりません。

高校生や大学生にただアイデア発表をさせるだけのコンテストではなく、きちんとお金をつける。そして、実際にやるところまでをサポートする。

それが若者の影響力を高め、若者が活躍するまちづくりに繋がります。長い投資かもしれませんが、きっとこうした小さな投資が若者に選ばれる。いや、若者が主人公のまちになっていくはずです。

これが若者チャレンジファンドのコンセプトであり、私たちが目指している方向性です。

若者チャレンジファンドの運用の仕方

創設年となった今期の若者チャレンジファンドには、全12社の企業がスポンサー/メンターとして参加してくれています。(協賛金だけでなく、会場提供などの協賛も含む)

株式会社otono
株式会社サンロフト
三興商事株式会社
NPOサプライズ
静岡鉄道株式会社
コラボレーションスペースtakt
株式会社トムス
株式会社ナナクレマ
合同会社NAVICK(ナビック)
株式会社にしはらグループ
株式会社ブルーストレージ
一般社団法人ローカルSDGsネットワーク

若者チャレンジファンド静岡 スポンサー/パートナーの皆様

セブンセンスグループは、運営にかかる費用を負担しており、スポンサーからのお金はすべてそのまま若者グループに流されていきます。(行政予算に頼らず、完全民間だけで運営されているのも大きな特徴です)

参加している企業はもちろん、セブンセンスグループもまったく儲からない仕組みです。しかし、挑戦したい若者と応援したい企業が繋がるだけでも大きな意義があると感じますし、まちの未来をつくる大きな一歩になっていると強く実感します。

ちなみに、企業だけしか応援できないの?という声もありますが、個人スポンサーも5000円/口で募っています。個人スポンサーからの支援金は、若者グループへの支援金及び運営費に役立たせていただきます。

なお、今期使われなかったお金は次年度以降にキャリーオーバーされ、年度末には会計報告も公開されます。(法人/個人のスポンサーの皆さんにお送りします)

取材、ヒアリング、レクチャーについて

まだ今年はじまったばかりの取り組みですが、既に各地から「うちでも立ち上げたい!」「どんな風に運営しているの?」と相談のご連絡をいただいています。

私たちは、全国各地で同じように若者を応援する取り組みが増えればと考えていますので、真似していただけるところがあれば、どんどんパクってもらえると嬉しいです。

逆にもっと良くなりそうな方法や各地の情報など、ぜひ情報交換をさせてください^_^

ご連絡は上記の問い合わせフォームより。

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