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犬の『同意』を得るってどういうこと?①

【愛犬の同意を得る】
という言葉が流行り始めてから随分経ちますが、実際にはきちんと理解している人は少ないように思います。
人からの問いかけに、犬が何らかの特定の反応をみせた際に、それを同意とみなしている人をかなり見かけます。

例えば、
人の問いかけに、愛犬がオテをしたらそれを同意とみなすとしましょう。

「オモチャとってほしい?」と聞いたらオテをしたからオモチャをとってあげた。
「ジャーキーほしい?」と聞いたらオテをしたからジャーキーをあげた。

これは犬の同意でしょうか?

同意ではない…

とは言いません。
が、
この時点では、同意かもしれないしそうではないかもしれないというのが本当です。

であれば、人が『同意とは何か?』ということを知らなければ、本当の意味で愛犬から同意を得ることはできないということです。

※現在ドッグトレーニングに使われている用語としての『同意』とは、犬が特定の事象を理解した後に見せる自発的行動を指します。
以下使われる『同意』という用語は全てこの意で使われています。

同意を得るためには2つの大切なポイントがあります。
ひとつは、人の問いかけに愛犬が同意したことを、愛犬自身が明確に表現するということ。
例えば、人の問いかけに前述のようにオテをしたり、吠えたりといった同意を示すアクションを、人の誘導無しに愛犬が自発的に行う必要があります。

もうひとつが、愛犬が人の問いかけにアクションを起こした際、別の問いかけにはアクションを起こさないという弁別が明確であるということ。
例えば、「オモチャほしいの?」の問いかけに愛犬がオテをして同意(のような)のアクションを起こしました。この時「ジャーキーほしいの?」の問いかけにはオテを行わないという愛犬の明確な意思表示の使い分けが見られなければ、オテが同意を表現する行動かどうかはわからないということです。
「オモチャほしいの?」の問いかけにオテをし、「ジャーキーほしいの?」の問いかけにもオテをする。これは同意ではなく、単純な【好子なし→オテ→好子あり】という正の強化の結果です。
このようなシチュエーションで多くの場合、愛犬は人に覗き込まれて何か声をかけられた時、オテをすると何かしらの良いことが得られるという学習をします。これを般化といいます。

このことを理解していないと、本当なら愛犬が嫌なこと、例えば爪切りとしましょう。
人の「爪切りする?」という問いかけに愛犬は正の強化の般化によりオテをし、人はそれを愛犬からの同意と受け止め愛犬の爪切りをします。
ですが、愛犬は爪切りに同意したわけではないので、ある種の【人からの裏切りにあった】状態になります。

ですから、愛犬が人の問いかけにアクションを起こした際、別の問いかけにはアクションを起こさないという弁別が明確であるということがこの場合絶対条件となります。

この弁別は愛犬に非常に高次元の理解を求めるため、安易に同意を得たと考えないよう注意が必要です。

愛犬から同意を得るためのもうひとつのパターンが、シチュエーション作りで愛犬の同意の有無を知る方法です。

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