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【雑記】Kurzgesagt:愉快な自動翻訳
新作動画がでると、まずは英語字幕を出しながら視聴することにしている。だが単語や専門用語が厳しい場合も多く、自動翻訳の助けを借りることも多い。
最近の自動翻訳は、文の区切りがメチャクチャで秒間文字数も多いとはいえ、そこそこ意味をとれるものになっている。
だが、それでも自動翻訳の限界を感じさせるような誤訳というのをちょくちょく見かける。最近、そういった愉快な自動翻訳を収集していた。
あまり数は集まっていないのだが、この記事に手持ちのスクショを貼り付けておこう。そして、今後も面白いのを見つけたら付け加えていくと面白いんじゃないか。
社長さん!
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原文は「Mr. President!」。核ミサイルの発射権限を持ち、軍人を従えている社長がいてたまるか。
本来は「大統領!」と訳すところだろう。
くそったれ現実です
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原文は”DAMN YOU reality”。ああ現実はくそったれだとも。
Kurzgesagtが、誰もが無料で楽しめる科学動画を作ってもお金がもらえなかったことの話をしている場面。そこで”DAMN YOU reality”とやや強い語気で挟む。マイルドに訳すなら「悔しいけど現実だ」かな。
これは自動翻訳が勢いを出してくれていて、逆にいいかもしれない。
解雇しましょう
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”Let's fire them”が原文。解雇するのにミサイルはやりすぎっす。
自分なら「人類を焼き尽くそう」と訳すかな。しかし、fireには「解雇する」というニュアンスがあるため、異常なギャップが生じている。
人生…
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”Life diversifies more and more”が原文。うん、人生いろいろだね。
生命の誕生後の経過を受けているので、ここのLifeは当然、生命とか生物と訳すところだ。しかし、自動翻訳は前後の文脈を拾うことができないため、Lifeを「人生」と訳してしまっている。
ニース
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原文は"Nice"。何がニースだ。
文頭に来たのでNが大文字となり、固有名詞として解釈されてしまったのだろう。
私たちの本当の犯罪チャンネル
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原文は”Like the true crime channel we are,”
Kurzgesagtが何か悪いことをしているかのような文章になっている。
また、そもそもオフィシャル英語字幕は区切りがおかしいので、前の内容を引きずってしまっていて見苦しい。
翻訳だが「私たちがトゥルークライムチャンネルであるかのように」と訳すのが正しいだろう(実際には文字数や流れを意識して別の訳にしているが)
トゥルークライムというのは、番組の一つのジャンルである。実際にあった犯罪についてのドキュメンタリーであり、人気ジャンルなのだという。
自動翻訳はそのあたりのニュアンスを汲み取れないのだ。
暇ですか?
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原文は”Are you free?”
おおん?こちら休日の全てを家事育児に捧げたんだが?
自由意思の話なのだから「あなたは自由だろうか?」が妥当だろう。それが「お時間ありますか?」という意味で解釈されてしまっている。
人間にしてください…
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妖怪人間とかホイミンを思い出すような要求だ。Kurzgesagtなんだから鳥のままでいてほしい。
この翻訳について、端的な解説は難しい。文章をまるごと引用しよう。
”Because the human brain not only eats up about 20% of all our calories at rest – twice as much as our closest ape relatives’ – it also takes a lot of time to develop through playing, learning and honing social skills – all the things that make us human.
人間の脳は、休息時に全カロリーの約20%(類人猿の2倍)を消費するだけでなく、遊び、学び、社会性を磨くなど、人間を人間たらしめているものすべてを発達させるのに多くの時間を要するからだ。
「これら全ては私たちを人間足らしめてくれる」ぐらいに訳せばいいのだが…この文章の訳が意味不明になったのは、文章構造がややこしいからだろう。ハイフンやカンマを使って補足情報を盛り込む構造は、機械翻訳にはかなり厳しい。もとの英文の区切りもメチャクチャなので、その弊害もあったのだろう。
かなりストレスがたまりました!発熱でさらにストレス!
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原文は”Pretty stressful! Fever is even more stress!”
訳としては何も間違っていないのだが、遊戯王のカードバトルのようなハイテンションに、敬語と体言止めがごちゃ混ぜになっていて味わい深い。
自分が訳すなら、ストレスという語の重複を避けて
「実にストレスだ!そして発熱はもっと酷い!」
とかにするかな
難しいことではありませんね。右?
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原文は”So it couldn't be that hard to find the source, right? RIGHT?”
「右?」って聞かれても…
「~ですよね」という感じのright?をあえて繰り返し、「いや本当に?」という意味を出している箇所だ。これが、トリッキーすぎて文脈と独立して左右確認になってしまっている。自分が訳すなら、秒間文字数も踏まえて
「まあ情報源の確認も難しくないですよね?…ね?」 かなぁ。
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