魚工場
絶望した気持ちで眠りにつき、起きてもまだ現実は現実だった。3日前、魚工場勤務以外の地球上の人間は全員、宇宙からの外的要因によって殺されてしまった。俺はちょうど、宮城のしたのほうにある魚工場に勤務していたから事なきを得たが……違っていたらと思うと恐ろしい。こんな状況、もしかすると死んだほうがよかったかもしれないが、工場は宇宙人の支配下に置かれ、辞めるわけにもいかず、みんな死んだ目で働いている。
定時際、宇宙人が俺の作業机の横におずおずと現れ、口を開いた。「ハウトゥーメイク」落ち着いた声色の宇宙人は魚の作り方を聞いているようだった。俺は顔面を真っ白にしながら、なんとか口を開いて作業手順を説明しようとする……アルミ…メルト…か、金型…モールド…ハンマー………うぅ……無理だ…