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夜に眠れなかった原因(統合失調症当事者が語るシリーズ)

こんにちは。
「土下座最中@困った家族たち」です。

今回は、私が過去に夜眠ることができなかった原因を書いていこうかと思います。
短い記事ですが、統合失調症当事者やその家族の参考になればと思います。


寝たいのに夜に眠れない

もともと夜型

今でも夜更かし気味の私ですが、もともとの性質が夜型のようです。
そう思う理由は2つあります。

一つが、幼少期からよく弟と寝室で手遊びをしながら夜更かししていたから。
もう一つは両親が2人とも夜型の生活をしているからです。

小学生時代はよく弟と遊んでは夜更かしし、中学生になった時は小説を読んで夜更かしをしていました。
寝不足のため朝が起きられず、中学時代の部活の朝練は遅刻常習犯でした。
しかし夜には熟睡できていたし、眠れなくなるということもありませんでした。

高校生時代の私生活と学校生活

高校生になると1年生の1学期には統合失調症を発症していました。
当時は日が沈んでいる時間に全く眠れず、日が昇ってからやっと寝られるような生活を送っていました。
もちろん授業中も部活中も眠くて眠くて、居眠りばっかりしていました。

しかし、私はそれを自分自身に対する管理が行き届いていないから、自分に甘いからだと思っていました。
思えばこの頃から眠れなくなる原因の妄想はあったのですが、当時は妄想と気づかず、ただ心配性なだけだと思っていました。

大学に進学、一人暮らし

なんとか運よく大学受験で受かって、一人暮らしを始めます。
最初は、一人暮らしの解放感やキャンパスライフへの楽しみで、講義に出てサークルの原稿を出してと、何とか普通の学生っぽくやれていました。

しかし、大学1回生の後期にもなると徐々に夜に寝付けない時間が増えていって、昼夜逆転の生活が始まります。
そのため講義に出席しても居眠りで全く聞いていない、そもそも講義に出席できないということが日常になっていきました。

当時の睡眠の乱れぶり

この頃の私は、やはり自分に対する甘さがある、自分の管理ができていないと思っていました。
周りにも、後期ともなれば講義に出席しなかったり、大学生らしく無茶苦茶な生活を送っていたりする人もたまにいたので、私もそのうちの一人なんだと思いました。
特に夜は元気にゲームをしたり、当時大学生に大流行だったニコニコ動画を見たりしていたので、自分が遊び惚けているだけだと思っていました。

そして講義をサボっている罪悪感から、ますます大学から足が遠のきました。
しかし、もともと興味のあった分野の学科に進学したので、徐々に講義に行けないことが苦痛になっていきました。

勉強したい、だけど夜眠れなくて朝から講義に出席できない。

その頃からもともと参っていた精神がますます疲弊していき、大学の担当教授に「夜が怖くて眠れない。だから講義に出席できない」と相談していました。
担当教授はとても優しい教授で、私のことを心配し「辛かったら学生相談室に行ってみよう。私もついていくから」と言ってくれました。

その時に学生相談室でもどこでも行っていたら、もっと早くに自分が統合失調症だと診断されていたかもしれません。
しかし、私は教授ほどの人に迷惑をかけるのが申し訳ないのと、やはりどこかで自分で改善できる点があるのではないかと思っており、その時は何も行動を起こしませんでした。

自分が異常なことに気付いた一つのきっかけ

そうやって講義に行けないでいるうちに「なんでみんなが当たり前にできることを私はできないんだろう」と思うようになりました。
そして「私はみんなと違う、何かがおかしい」と思うようになりました。

その頃は無性に死にたくなることが多く(高校生の頃はもっと強い自殺願望がありました)私はうつ病なんじゃないかと疑い始めました。

そうして、一人暮らしのアパートでうつ病診断などをやっては、当てはまったり当てはまらなかったりを繰り返していました。

たまたま精神病をチェック形式で診断するサイトの項目に「統合失調症」という知らなかった病気があったので、なんとなく診断してみることにしました。

それが見事に自分に当てはまる!

一見、自分に当てはまらなさそうな項目もよくよく考えてみると「あれって幻聴だったの?」「あれは病気の症状だったの?」と思い当たる節が続々出てくる。

最終的に、私は大学の図書館で精神科の医学書を読み(キャンパスは違いましたが医学部のある大学でした)ほぼ条件が当てはまることに気づきました。
専門家に診断してもらうため、保健管理センター(小中高でいう保健室のもっと専門的なところ)に半ば確信をもって行きました。
診察してくれた精神科の先生も私の言うことから、統合失調症とほぼ確信しているようでした。

ですが、当日に診断名はつかず。
当然ですね、いきなり患者本人の言うことだけで病名はつけられない。
この時、診てくれた先生は「すぐに家の人に来てもらいなさい。そして実家に帰りなさい」と私の一人暮らしを中断するよう勧めてくれました。

保健管理センターからいきなり電話がかかってきた母親は寝耳に水でしたでしょうね。
当時まだ働き盛りだった父親は通常通り会社に行き、母方の祖父母と母親が駆けつけてくれました。
大学受験を控えていた弟への影響を考慮して、そのまま祖父母宅へ預けられることになったのですが、それはまた別の機会に。

ちなみに、この日が私の初診日となりました。
二十歳になる6日前でした。

現在

その後、良い先生・悪い先生、両方にに出会いつつ、薬の調整で今の私は何とか眠ることができています。

やはり薬の存在はとても大きいです。

今では薬なしでの生活は考えられなくなりました。
薬を飲むと深い眠りができるようになり、薬を飲まないと目が冴えて冴えて全く眠れません。
基本的に薬さえ飲めば、体調により寝つきが多少良かったり悪かったりしますが、眠れます。

そんなこんなで最近は夜更かし気味ですが、NHKの朝ドラを楽しみに、できる限り早く寝るよう心がけています。

薬のおかげで眠れるようになりましたが、そもそもなぜ私が眠れなくなったかをお話ししていきたいと思います。

原因1・窓の外に人殺しがいるという妄想

そもそも夜に眠れない原因は、謎の不安感や恐怖心からでした。
それは、高校生の頃にはすでにありました。

窓の外に人殺し(あるいは強盗)がいると思い込む妄想でした。

そう思い込んだきっかけは、父親の妄言です。
ここから先、父親の偏見に満ちた差別的表現が出てきますので、中国にルーツを持つ方は気を悪くされるかもしれませんが、ご了承ください。

父親はよく「中国人の強盗団が夜に窓から侵入してきて、家族全員を惨殺して金目の物を盗って行く」と言っていました。
それは、幼いころから常日頃言い続けられていて、私にとっては現実がそういうものだという刷り込みになりました。

そのため、高校の発症した頃には夜は常に窓を警戒するようになっていました。
当然、不安で眠れるわけもないのですが、それが原因で眠れないとは当時の私は露程も思いませんでした。

一人暮らしになってもその妄想は続きます。
むしろ酷くなります。

高校生の頃、まだ家族と寝室が一緒でみんなで寝ていたので、警戒していたのはベランダのついている窓でした。
出窓の方は外にそもそも立っていることが不可能なので、全く警戒していませんでした。

しかし大学生になってからの妄想はもっと強力でした。
ベランダのある窓はもちろん、絶対そこにいるのは不可能な窓でも、外に強盗あるいは人殺しがいると思い込みました。

当時住んでいたのはアパートの最上階。
ベランダのある窓からですら下から登っては来れないのに、ベランダのない窓の外にも人殺しが立っていると思い込んでいたのです。

そうなるともう眠れません。

一晩中警戒して、人が動き出した明け方には人殺しも犯行を諦めていなくなっていると思い、安心して気が抜けて眠くなりました。
当然、夜通し起きているため朝になったらすぐ眠りたい。
しかし、講義には行かなければならない。
寝不足のため講義で居眠りし、最後は出席すらおぼつかなくなったのです。

この当時の私は「日が沈んでいるうちに眠る」=「死」でした。
夜が眠くないわけではないのですが、昼の方が安心できてしまう。
そうして昼夜が逆転してしまったのです。
もちろん眠りは常に浅く、頭の中は(原因は寝不足だけではありませんが)常にもやがかかったような状態でした。

原因2・上記による強迫観念的施錠確認

当時、私は窓の外に人殺しがいるという妄想のために、その侵入を防ぐ目的で窓の鍵や玄関の鍵が施錠されているかを何回も確認していました。
それも夜通しです。

一度確認しても本当に施錠したか不安になり、何度も何度も確認します。
まず一つ目の窓(外に人がいることが不可能な窓)の確認。
次にベランダのある窓の確認。
そして最後に玄関の確認。
酷い時は5分おきにはしていました。

カーテンの隙間から施錠しているかを確認するにも勇気が要りました。
外にいる人殺しと目があったら殺される、そんな思いで確認していました。

そうして殺されるかもという不安を抱えたまま一晩中、部屋の中をうろうろして、結局朝には疲れはてて浅い眠りにつく。
病院で薬を処方されるまで4年間、一度も熟睡したことはありませんでした。

薬を処方されたらされたで、日中は副作用の強烈な眠気と戦うことになりました。
しかし起きて余計な妄想に付き合うより、眠ってしまった方が当事者としてはよっぽどマシです。

私は今でも調子が悪くなって考えが悪い方向へ行きそうになったり、実際に悪い考えに憑りつかれたら、頓服薬を飲んで寝てしまいます。
2,3時間ほど眠られれば、ほとんど回復できます。

眠れるようになる方法

統合失調症の当事者にとって睡眠はとても大切です。
私も睡眠不足になると精神的に不安定になったり、イライラしたりして、周りに迷惑をかけてしまいます。

最後に夜に眠れない当事者、統合失調症の眠ってくれない患者の家族の方に、私が思う夜に眠れる方法を書いておきます。
そもそもが私の体験がベースなので、全員に当てはまるわけではありません。
どうしてもままならない時のご参考程度に捉えていただければと思います。

統合失調症当事者の方

統合失調症と診断された方で、夜に眠れない方は、夜にどんな気持ちになるのかに注目してみると、解決方法がわかるかもしれません。

気持ちが昂って興奮して眠れないのか。
私のように何かが不安で眠れないのか。

気持ちが昂るなら、それを抑える薬を。
不安なら、それを解消する薬を。

そして、そういう気持ちになる原因を探ってみましょう。

何故、夜に気持ちが昂るのか。
なにか攻撃される、危害を加えられると思って、不安の原因に反撃するために気持ちが興奮しているのかもしれません。
生理学的な問題かもしれませんし、場合によっては人目を避けるのが目的で眠れないのかもしれません。
夜にしか自由に行動できないと思っていると、眠れなくなる傾向にあるようです。

ちなみに、私の弟が夜遅くまで起きていた理由は「母親の監視が終わるまで起きて、好きなことをするため」でした。
結局、母親の粘り勝ちでいつも明け方まで二人で起きていては、昼に眠る生活をしていました。
バイトを始めてからは朝が早いので、自分できちんと時間を逆算して眠れるようになったので、私とは違うのだなと思った記憶があります。

不安で眠れないなら、何が不安なのか。
私のように誰かに危害を加えられると思っているのかもしれません。
災害が起こることが不安だったり、もしかしたら眠っている間に誰かに体を乗っ取られると思っていたりするのかもしれません。
どの行動をとればその不安は解消されるのか。
誰かに安全を保障してもらったら眠れるのか。

もし、眠れない理由に心当たりができたら、それをぜひ病院で専門の先生に相談してみましょう。
カウンセリングによる気持ちの持ちようから少し楽になれることもあります。
症状を軽くする薬を処方してもらえます。

そうしたら、夜にぐっすり眠れるようになるかもしれません。

統合失調症の家族の方

統合失調症の当事者が夜に眠ってくれなくてお困りの家族の方は、まずは病院で合う薬を処方してもらえるよう、先生にお願いしてみるといいかもしれません。
当事者が薬を管理できない場合は薬局で頼むと、薬を一回分ずつ一包化してくれるところもあります。
当事者が複数種類の薬を飲んでいて、薬を飲ませるのが大変な場合は一包化してもらうのも手だと思います。

そして上記の当事者の方に向けた文章のように、統合失調症当事者は何かしらの原因があって夜中に眠れず起きている場合があると思います。

中には私のように、当事者も夜は眠くて仕方ないのですが、何かしらの気持ちの偏りがあって、夜に眠れず起きていて、昼に寝てしまう生活をしている方もいると思います。

そういう場合は、夜中の行動を少しだけ観察して傾向をつかんでみるのが良いかと思われます。
もちろん、家族の方もご自身の生活があります。
夜通し当事者に付き合うわけにはいかないので、起きている時間がかぶっている間で構いません。

興奮して眠れないのか、不安で眠れないのか。
興奮している場合も、何か不安の原因と戦っていて眠れない場合もあるかもしれません。
もし何度も寝るように言うために一緒に起きていたら、監視されていると思う当事者もいるかもしれません。

暴れる当事者や興奮状態の当事者には難しいですが、比較的落ち着いている時に眠れない原因を直接本人に聞いてみるのもありかもしれません。
もちろん、妄想を言語化したり不安を言語化したりするのが得意でない当事者もいると思います。
また言語化することで思い込みが激しくなる場合もあると思います。
その辺は普段の様子から家族の方が慎重に判断された方がいいと思います。

「眠るとどうなると思っているのか」を把握しておくと、病院に行ったときにどんな妄想で精神はどういう状態にあるのか、先生も把握しやすいと思います。

薬が決め手

そして最終的には薬頼りです。

病識があったり、当事者が夜に眠るために生活を変えることができれば少しくらいは改善されるかもしれません。
しかし大抵の場合、当事者本人の努力だけではどうにもできないから、夜中に眠れないのだと思います。

最後は病院の先生に薬の処方をお任せしましょう。

なお何度同じ症状を訴えても、薬を変えずに様子見という先生も中にはいると思います。
私はそういう先生に当たったことがあります。
数年主治医をしていただきましたが、一回も薬が変わることはありませんでした。

もし、体調が安定していて薬をそのまま継続しているのなら良いのです。
しかし不調を訴えているのに一切薬の調節をしてくれない先生の場合は、一度ほかの先生に診てもらうのもありかもしれません。

ちなみに、私はその薬を変えてくれない先生のところから、ほかの先生に診てもらうときは、病院の間隔を少し空けると言ってそのままフェードアウトしました。
大学でかかりつけていた保健管理センターの精神科の先生に相談したところ、そのようにして病院を変えてしまっても構わないとのことでした。
はっきりと主治医にセカンドオピニオンに行くと言わなくても、フェードアウトしたら、向こうも察しがつくそうです。

追記(2024/2/9)
私の場合フェードアウトできたのは、それまでの経緯を何も知らない新しい先生にかかるのに、大学の保健管理センターの先生が仲介してくださったからでした。
通常、転院する場合はそれまでの主治医の紹介状などが必要なようです。
例え、その時合わないと思った先生でも経過は診てきていますので、セカンドオピニオンを考えていることを伝えて、紹介状などを書いてもらう方がベターでしょう。

と、ここまで私の経験を踏まえたうえで書いてきました。
何度も書きますが、あくまでも私の体験がベースで、全ての統合失調症当事者に当てはまるわけではありません。
またここに書いていないことが原因で眠れない場合もあると思います。

最終的には専門の病院、先生にかかって判断してもらうのが最善だと思います。
しかし病院の先生は「病院に来た時の当事者の姿」しか知りません。
普段から近くで見ている家族や親しい方たちが、当事者本人も気づかないようなことに気づくこともあるでしょう。
些細なことでも構わないので、病院の先生に相談してみるといいと思います。
案外その些細なことが繋がって、病気や妄想の全体像が見えてきたりもします。

私は不調を感じた時に、手帳やメモに単語単位でもいいので何か書いておいて、調子が落ち着いた後から見直して自分の傾向を分析しています。
当事者の方も家族の方も、何か記録を残しておくと、その時は突発的なことに思えても、何かが繋がっているのがわかるかもしれません。

専門の先生に診てもらう、そのうえで当事者の一部は何を感じて何を考えているかの参考になれば幸いです。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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