ホテルカリフォルニア
正直、困っています。
このハチャメチャな現実を前に、
何を書いたらよいかわからない、というか、
書いてるそばからズルムケで、
だから、台所でちょっと踊ってみたり、
変換ミスによる誤字をじつは期待してしまったり。
コトバはいろいろ浮かぶのやけれども、
いやな汗をかかせる、つくり笑いも浮かんできて、
結局、いきつくところは諦観、倦怠感、もうアカン。
確かにその存在を感じてはいるのに、
そっちだけは見ないように首を固定しているから、
肩が凝る。そして屁も出る。
体たらくの末、
ホテルカリフォルニアに行きたい。
そう思うようになっていた。
どこにあるのかすら知らないが、
なんとなく辿り着けると確信していた。
駅前の電波おばあさん。
あんたが、リングガールみたいに掲げてる、
暗号で埋め尽くされたお手製のプラカード。
トンネルでうずくまって泣いていた浮浪者のおっさん。
あんたの、丸くて歪つな背中にこびりついた線と点。
季節外れの海の家のシャワーブース、
破れた板の間のぽっかり空いた闇から、
こちらを覗く得体のしれないもの。
それは、コトバなんだろう?
ホテルカリフォルニア。
深く、吸い込め。
肺に、染み渡らせろ。
ホテルカリフォルニア。
ほとんど諦めたときの、
甘い気だるさに身を委ねて、
シーツの沼にうもれたい。
ホテルカリフォルニア。
記憶も、未来も、ぜんぶなくなって、
名前をもたずに別れを告げて、
目で追うことすらできないスピードで明滅する
今、にしがみつく。
ズルムケ
ホテルカリフォルニア。
夕陽にまみれた雲から吹く風が、
猫の額のような永遠の輪郭をなぞっている。
ホテルカリフォルニア。
ぼくが幻覚を見ているのか。
ぼくが誰かの見ている幻覚なのか。