(途中)hey say jump 見たあとも跳べ
40歳を超えてからシンナー中毒になった友人が言うには、2丁目の商店街のうどん屋の隣にあるタバコ屋では今でもジャンプが210円で買えるらしい。
店主のばあさんが半分ボケており、間違いを指摘してもかたくなに認めないのだそうだ。ちなみに、シンナーは意外と携帯性が良く、移動の多いときにはとても重宝するという。
夏の昼下がりのアーケード下はムッとした空気で、湿り気が肌にまとわりついて気持ちが悪い。おれたちはタバコを買いにコンビニに向かっているはずだったが、いまはただ目的を忘れ、あてどなく歩いていた。観光客のようにぼんやりと口を開け、きょろきょろと辺りを見渡しながら。
「出しなに聴いてた曲、アレよかったな」
シンナー中毒の男が語りかけるでもなくつぶやく。