放屁無頼 #2(途中)
放屁無頼
2
「すかしのアニキ、へへっ、調子はどうですかい?」
出所以来、ドロ亀はおれの前にたびたび現れるようになった。
料理の支度の邪魔だ、帰ってくれ。
寝泊まりしているボロい長屋の共同流し場で、おれは芋を洗いながら吐き捨てるように呟いた。
「アニキ、いい加減にあっしの話に耳を傾けてくださいや。絶対に悪い話じゃござせんて」
無視して芋を洗い続けるおれに向かってドロ亀は続けた。
「こう言っちゃなんだが、アニキもスネに傷ある身分でげしょ。職探しに困っているようでござんすが、今のご時世、あっしらみたいなモン、そうおいそれと職にありつけるもんじゃねえっすよ」
信頼できねえ野郎だが、確かにこいつの言うとおりだった。