The BOYSのシーズン4が終わったので浅く語り隊【激ネタバレあり】
The BOYSのシーズン4が終わった。
SNS等での反応はあまり良くないようだが、保守とかリベラルとかのアメリカ脳を抜きにして人間ドラマとして見れば、なかなか見所はあったのではないかと思う。
とはいえ、今回もかなり煮え切らないところでぶつ切りのようになってしまったので、最終シーズンではきっちりと納得のいく終わり方をしてほしいね。
・過去を許す者、許さない者
毎シーズン、わかりやすい二項対立のテーマで物語が進行していくのだが、以前も書いた通り、「過去とどう向き合うか」を主軸にしていたと思う。過去から生まれた憎しみや後悔を、それぞれのキャラクターがどのように乗り越えるかという描写自体は割とされていた。ちょっと無理矢理なところもあったと思うけどね。
主人公のヒューイは、幼い頃自分の元から去った母親を許し、煙たがっていた父親の思いに触れることで、「問題を解決するのは憎しみや暴力ではなく、人間性だ」という最後の台詞につながっていく。フレンチーも過去の罪に苛まれつつも、パートナーのキミコと2人で乗り越えていくことを決意する。スターライトのシフターとのやりとりはもろ自己対話だが、自身の過去を見つめ、それでも自身のやりたいことをする…アニーの復活だ!…ということでまとめてもいいのか?彼女はいきなり生えてきた設定に今シーズン1番いじめられていたと思うが、乗り越えたかどうかはよくわからなかった。
過去を見つめる過程で、その過去を許さず、憎しみの赴くままに暴走したキャラクター達もいる。ホームランダーは、自身を生み出した研究室を訪れ、彼らを屈辱的な方法で皆ごろしにすることで、過去を清算したと思い込む(実際ここは「ぼくのかんがえたさいきょうのふくしゅう」みたいなぶち胸糞悪いシーンだった)。これがきっかけとなったか、彼の思想はより一層幼稚なものになり、独善的な行動が加速していく。結局自分の息子も忠誠を誓う部下も自己実現のためのアクセサリーとしか思わず、授乳のこだわりもなくなったおじさんと化した。ディープも、恋タコをころし(無理矢理今までの自分と解釈できなくもない)、新ブラックノワールを巻き込み、即物的な権力や暴力に溺れるようになる。そして、ボーイズ側のブッチャーだが、度々彼の前にあらわれたケスラーを、彼の過去の後悔から生まれた悪心として捉えるなら、最終的には過去を清算できず、ニューマン議員をころし、憎しみをさらに燃え上がらせる選択をさせられてしまったといえる。
「世界を滅ぼすなら、愚民の憎しみを煽ればいい」というセージの破滅のシナリオは完遂したわけだが、それを良しとせず、過去を許そうとしたボーイズ達が窮地に陥る結末は、なんとも皮肉だ。
・GEN Vとの関わりについて
ヒーロー養成大学の事件を描いたスピンオフ作品「GEN V」だが、そこの登場人物がかなりメインのストーリーにも関わっている。しれっと前回までのあらすじにもシーンが挿入されてるし、クライマックスも未視聴だと何が起こったか全くわからない。見てない人からしたらかなり不親切じゃないか?シーズン3.5として視聴したほうがいいのかな。役者さんの不幸もあったみたいだけど、シーズン5までの間に続編があるのか。
とはいえ、1ヶ月だいぶ楽しませてもらった。次回がファイナルシーズンということなので、風呂敷しっかり畳んでくれたらそれでいい。