2頭目の保護犬
譲渡会で不人気?ぼーっとした保護犬との出会い
お腹ゆるゆるのタイミング悪い保護犬
彼と出会ったのは12月だったかな。
みんなが譲渡活動を頑張ってたことや、心ある里親さんたちとの出会いに恵まれたおかげで
保護犬センターのわんこの顔ぶれは日々変わっていく。
中には私がお休みをいただいている数日の間に入園して卒園していく子も
数日しかいないから覚えていない子もたくさんいた。
まぁ、ご縁に恵まれたことは素晴らしいことだ。
覚えていない子がたくさんいるのは良いことだ。
そんな中、ちょっとスタッフの中で話題になることがある子がいた。
チワワの雪くん6歳。
彼はロングコートで
マズルが短く、常時ベロが出ている。
私のタイプのわんこだ。
彼はちょっと問題があってね・・・
土日の譲渡会の前日のタイミングで毎週おなかをピーピー言わせてしまう。
譲渡会は屋外で行うことがおおく、
たくさんの人と会うのでそもそも保護犬にはストレスがかかる。
いくら、家族を探すためとは言え、下痢をしている保護犬を屋外へは連れていけない。
スタッフも泣く泣くではあるが、毎週雪君はセンターでお留守番。
とは言え、センターでも毎日譲渡会はやっている。
チワワ好きの来場者とかがくれば、この子は顔も可愛いしすぐに決まるだろう。
と、思っていた。
しかし
一向に決まらない。
私は土日は屋外の譲渡会に行っていることが多く、
平日も車で保護犬をお迎えに行ったりすることが多かったので
昼間の雪のことはあまり見れていなかった。
なんで決まらないんだろう。。。。
お腹ばっちり、雪くん譲渡会へ
タイミング悪く、お腹を壊すことが続いていたが
この日はお腹も壊さず、体調はバッチリ
雪くん、ようやく屋外の保護犬譲渡会へ
当日、私は受付の側に雪くんを配置して
来場者が目につくようにしたり
抱っこして一緒に受付をして、来場者にご挨拶したり
「え、ベロ出てる〜可愛い〜。」
「めっちゃ可愛いなこの子〜。」
来場者からのリアクションはなかなか悪くない。
こりゃいけるな、今日にでも家族は決まるな。
そう、思った。
が、決まらなかった。
サークルにいる時はのんびりぼーっとしていて
アピールはしない。
いろんな人に抱かせても「可愛い!」
って言われてすぐに戻される。
なんでだよ!こんな可愛いのに!
って思ってた。
けど私は知っていた。
どれだけ長い期間家族が決まらなくても
どれだけ毛玉まみれ病気もち、噛み癖があっても
待ち続けたら
譲渡会をし続けたら
決まるタイミングがある。
これまで何度も決まりづらい子を見てきたし
この子決まるのかな....
なんて思ったこともあったが
みんな決まってきた。
その子その子で、巡り合わせというものがあるのだと思う。
「あ、この人のことを待ってたんだ。」
そんな子もよくあった。
"雪もそんな人を待ってんだろ"
そう思い、帰宅した。
妻からの思わぬ言葉
仕事から帰って夕飯の時
私はよく「今こういう子がいるんだ」
「この子めっちゃ可愛いよ」「こういう子がいたんだ」
など、センターにいる子たちの話を妻にしていた。
実は妻も元々同じ仕事をしていた。
そんな中割と頻繁に雪くんのことを話すようになっていた。
「今日も雪は決まらんやったなぁ」
「可愛いのに不思議だね。」
「本当よね、見てこの写真めっちゃ可愛くね?!」
「本当ね笑。ここちゃんの弟になる?」
こんな他愛のない家族とのやり取りだったが、
私は妻の一言をちょっとだけ本気にしてしまった。
「この子、俺が迎えるって言ったらどう思う?」
「うーん。お金とかお世話とか現実的な部分が大丈夫ならいいんじゃない?」
あれ、意外と受け入れてくれる....
「こことの相性が悪かったら」とか、
「2頭って大変だよ....」とか
そんなことを言われるのを想定していた。
思えば妻も多頭飼いは推奨派だし
保護犬の仕事をしていて、報われない子たちのことはずっと見てきただろうし。
先住犬との相性なんて、時間をかけてなんぼだしな。
そんなこんなで妻からの了承は得ることができた。
やり始めたらキリがない。
保護犬や保護猫など、
保護活動をしている人は寛大な人が多い。
何頭も何頭も受け入れ、
私がこの子達を守る!
って一生懸命になれる人たち
本当にすごいと思う。
自分の生活費が多少圧迫されようとも
不幸な犬猫が少しでも減るようにって頑張れることが。
私だって、保護犬に幸せになってもらいたい気持ちは負けてない。
1頭でも多く、1日でも早く
暖かいお家に行けるようにこれまで頑張ってきたつもりだ。
しかし、自分が引き取るとなると躊躇する。
なぜなら、キリがないと思ってしまうからだ。
決まらないならウチへ。
この子もなかなか決まらないな。うちくるか?
..............保護犬はまだ何千っている。
私がいたシェルターでも常時60頭くらいはいた。
それを決まらないからと言って迎えていたらキリがない。
何より、健康状態もそんなに悪くなく
6歳と若いわんちゃんなら尚更だ。
だから私は、自分がこの子を迎えるんだ。
っていう一歩は踏み出せなかった。
何度も、何度も「迎えたい。」「うちくるか?」
なんて思った。
けど、常に現実を見てしまっていた。
その日
週末......
私は屋外の譲渡会にいた。
雪くんも、お腹を下さず譲渡会へ参加。
今日こそは決めてあげよう。
私は雪を抱いて受付に立ち、来場者に雪を紹介した。
昼になり
なかなか雪は抱っこもされない。
なかなか決まらないな。
そう思っていた時、雪がだかれ、
ふれあいルームへ
雪が注目された!!!
私は自身の来場者対応の傍、
雪のふれあいをチラチラみて、
対応してくれている女性スタッフにも「どんな感じ?」
って聞いていた。
しかし。
数時間、そのご家族が悩んだ末
ゆきくんは迎えてもらえなかった。
まぁ、可愛いから飼えるってわけでもないからな。
次を頑張ろう。っていう感情ともう一つ
私には思うことがあった。
もう、俺が迎えたらいいんじゃないだろうか。
どの子にも運命の家族がある
雪がふれあいルームから出て
サークルの中へ戻される。
「決まらなかったか。」
そう思っている時に、1人の来場者が来た。
........私の妻だ。
お昼くらいから連絡していた。
「今日雪がいるから仕事の帰りに寄らない?」
妻はすでに保護シェルターは退職してパートで働いている。
雪を抱いてもらう。
「どう?」
「可愛いね🥰」
この時、私の頭の中では色々なことがぐるぐるしていた。
・俺のやるべきことは、この子の家族を決めてあげることであって、自分で迎えて「はい、解決。」じゃよくないんじゃない?
・俺に2頭飼いなんてできるのか?
・ここは病気なのに、2頭目を迎えて経済的に大丈夫なのか?世話は行き届くのか?
・そもそもこの子はうちに来て本当に幸せなのか?
考えて、考えて、たどり着いた結論。
俺はこの子の顔も、性格も、毛並みも全部好きだし
だからこそ、特にずっと気にかけていた。
その子その子に運命的な家族があるように
俺は保護スタッフとしてではなくて、
1人の犬好きとして、この子のことが好きなんだな。
36日間、この子は家族が決まらず
シェルターにずっといた。
「うちに来ることを待っててくれたのかな。」
私と妻は、雪を迎えることにした。
>>>>>>>>>続く