統計外事態 人物評③
人物評③【我】
正直、人物としての評にはならない。
【我】に関しては、
作中に480nodeが存在するrootnodeを頂上にした、一個のピラミッド型生命体である。日本語を喋るが、中国語形態に近い語順。中国語も理解する。
凡そ、発生は2031年と推測される。
node管理には段階があり、
1~3期…室と呼ばれる長屋の奥に存在する棚で箱入りで養育される
4~7期…室より出て期毎に活動範囲を広げる 最大行動半径、凡そ1㎞
終期…破棄される 破棄後の遺体処理は管理者だった【犯罪者】によって行われており、この破棄への流れは【犯罪者】が作成したのか、【我】の自発的なものなのかは不明
例外処理は、rootnode。室にて管理されている。日本語として正しい語順で喋り、他のnodeに比べ人間だったことを覚えている。最初期に近い個体であり、この予想が正しければ、人間年齢は10歳かそれを超えたほどである。
特性は、体内に存在する飲む携帯を介した計算及び情報把握の分散処理。
人間の脳を480個連結計算している状態であるため、優れた演算能力を誇るが、弊害として幼少期から接続されているためにツリー内のnodeに対して個という概念がない。
薬物や外科的手段により不随運動が抑制されており、瞬きをせず、nodeの目の焦点を合わせずにいるため個々の視界はぼやけるが上記の特性によりnodeごとの視界の共有度により解像度を上げることができる。
恐らくまめたんに似た運用が可能になると思われる。
食事は、1-3期及びrootnodeは、栄養ドリンクの粉末混ぜた水のなかにいるためそこから摂取。4-7期は、鳥の餌を水で溶かしたもの。
この食事から予想されることは、
①【我】を構成するnode達は必要最低限度(あるいは以下)の栄養価で維持されている
②食性の関係から、固形物の消化能力が弱い
③コンビニ弁当を拒否したのは、幼少期に味覚確定に限った話ではない
というもの。
nodeの個体は、女性体が多く男性体は少数である。
発生要因の関係で東洋人で黒髪であり、node管理の問題で二次性徴期前であること、成長を阻害するほどのカロリー制限が行われているため、総じて瘦せており、あばらが浮いている、股に隙間があるなどの外見的要因が見られる。服を着る習慣がない。
作中エピローグにて、【数宝】さんから資材を受け取っている様子を見るに【私】の管理も行っているようには見えない。
だが、幸い(幸いか?)にして、7期内の活動範囲内に【私】の発生地が存在しているため、共生関係は成立すると思われる。
けど【数宝】さんとのやりとりをみると、野外活動は【数宝】さんと会う時だけと言っている。【数宝】さんは【私】には別の日に渡しているのだろうか。
作中何度か【猫】との交渉をしている描写があり、恒久的休戦の交渉をしているともいう。芝村さんの無名世界観にて、この意味は大である。
種として安定したのちは、人間と共存競争になると予想しており、スタートは【数宝】さん死後と取り決められている。
現状で【我】の旧管理者であるところの【犯罪者】は壊滅しており、nodeの補充は絶望的である。
種としての存続を望むならば、【我】のrootnodeが語った可哀そうな子供にならぬように行動し続けるならば、現行のnode管理制度を変えなければならない。それに伴う、食糧環境の変更も望まれる。
どのような進化を遂げるか、気になる存在である。
えー、と…ちょーきつい存在ではある。
割り切りが出来なければ、一つの新しい知的生命体と捉えられない。
上記まで、割り切って生態として人物評にならぬものを書いてきたが、人物としてとらえることが難しい。
発生の成り立ちを考えれば、人の身勝手に怒りさえ覚えるし、可哀そうという感情が出てしまうことを止められない。
だが、【我】の考えは尊重してあげたいところだし、これらを解体して可哀そうな子供たちにしてしまうのは…独善が過ぎるというか、答えが出しにくい。
私はそこまで身勝手にはなれない。【数宝】さんのように付き合えるかは、会ってみなければ、接触し続けなければわからないだろう。
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