映画レビュー「スプリット 」

まさか・・・やられた!(重要なネタバレあり)
★3.5

先日観た「オールド」が相当面白かったので
個人的にシャマラン監督に対する期待値が上がり目です。

とはいえ、私個人は
世間的に酷評されている迷作たち
「アンブレイカブル」も「サイン」も
面白いと感じた派なので
元々彼の監督としての作風が私に合っているのだとは思います。
(原案参加だけの「デビル」は面白くありませんでしたが・・)

で、いろいろ見逃して来ていた中で
何気なくこの「スプリット 」を選んで鑑賞。

うん、なかなか面白いです。

多重人格者に女子高生たちが誘拐、監禁されて…
というお話ですが、
普通のサスペンスや心理ドラマとは一味違います。

シャマラン作品は
特別にそんな大きな意味のないシーンでも
カメラアングルや演出で
ねっとりとした独特のリズムを生んでいる事が多く
私はその独特のリズム感が好きなんですよね。

本作も普通の心理ドラマなら
もっと主人公ケイシーや犯人ケビンを
深堀りするだろうと思うのですが、
そうはせず、何か説明が少し足りないまま
話が進んで行く感じは確かにあるかと思います。

でも私はこの作品の全てを
割とすんなり受け止める事が出来ましたし
なんだろう、愛したくなる感覚というのでしょうか
シャマラン作品全てに共通して覚える感覚なのですが、
そういう物を感じてしまう作品でしたね。

ストーリー上で出て来そうな
エロやグロの表現はありません。
でもそれがまた上品でいいんですよ。

ケイシー役のアニャ・テイラー=ジョイの表情が
とても魅力的。

そして何よりケビン役ジェームズ・マカヴォイの
狂気に満ち溢れた多重人格者の表現が物凄いです。
彼の怪演なくしてこの作品は成り立たないと思います。

彼が演じるケビンに興味が湧きすぎて
最後の人格「ビースト」が解放されるくだりでは
このままこのケビンがどうなっていくかを見てみたい
という気持ちにまでなっていました。
そう、
このケビンを主役にしてシリーズ化したら面白いのに!
と思ってしまったんです。

そうしたら!
最後の最後で驚く展開が待っていました!

まさかのブルース・ウィリスの登場!
しかも名前が「ダン」!

そう、これは頭から
迷作「アンブレイカブル」の続編として作られていた訳なんですよね。

そこに驚いていたら
さらに物語はこの続編の「ミスター・ガラス」へと
繋がるというじゃないですか。
ケビンが登場する続編がすでに作られている!わお!

シャマラン作品から離れていた時期に
そんな展開があったんですね。
これはもう絶対、
もう一度「アンブレイカブル」を見てから
「ミスター・ガラス」を見ようと決めました!

本当にどんでん返しが好きな監督ですが
まさかそんな風に展開するとは思ってもいなかったので
「やられたー!」って思いましたね。

「オールド」のレビューでも書きましたが
この監督は「世にも奇妙な物語」を作るのが上手いんだと思います。

本作もその例に漏れず
多重人格によって人間が肉体的にまで変貌する事があるのか?
というifの世界を描いてくれています。
だってショットガンで撃たれたのに死なないんですもん(笑)。

私はそのifが面白いと感じたので
是非続編でケビン(じゃなく群れ?)のその後を確かめてみたいと思います。

人格変化によって通常の人間以上の能力を身につけてしまった「ビースト:ケビン」誕生の物語といえる作品でした。

やっぱりシャマラン作品、好きです!

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