映画レビュー「MEN 同じ顔の男たち」

ついて行くのがなかなかに困難な、美しくもあまりに狂気な映像表現
(ネタバレなし)
★3/5

「ミッドサマー」「ヘレディタリー/継承」の配給会社A24と、
「エクス・マキナ」のアレックス・ガーランド監督のタッグ作。

↑というキャッチコピーは観終わってから知りました。

もうね、「一体何?この映画?」という感想のみですよ・・本当に。


上記の3作は全て鑑賞済み。
「エクス・マキナ」はすごくいいなと思ってました。
A24配給の2作は・・・まあなんというか・・・
狂気じみてますよね・・。
特に「ミッドサマー」はかなり狂った作品だと思ったのですが、
この作品は狂気っぷりという意味ではそれをも遥かに上回る内容でした。


オープニングに私がメチャクチャ大好きな曲
「Love Song (レスリー・ダンカン)」が流れ、
その時点でグッと引き込まれてしまったのですが、
そこから展開していく映像と音楽の美しさは
この作品のひとつの見どころだと思います。

イギリスの田舎町の風景の美しさ。
主人公ハーパーがトンネル内で口ずさむメロディーに代表されるような
心理にジワッと迫り来る音楽の数々。


その美しい映像の表現の中、
ストーリーが進むにつれ
あまりに理不尽で主人公を追い込むように迫って来る展開が続くので
「何なの・・・この映画・・・」
と精神が折れそうになる感覚を何度も覚えました。


詳しいストーリーには触れません。

ラストの方には驚愕の映像表現が待ち受けているとだけ書いておきましょう。


ジワジワ迫り来る映像と音楽の表現で
人間の心の中にある闇や葛藤を抽出して際立たせているかのような
構成の作品。

女性が普通に現代社会を生きている中
日々の様々な場面で男性から受けている
小さな侮辱やハラスメント、そして身勝手な欲望や甘えの押し付け。

それらを次々に現れる同じ顔の村の男たちに演じ分けさせ、
主人公ハーパーに連続して突きつけさせる事によって
それらの醜悪さを表現した作品だったのではないかと
個人的には感じました。

ラストの表現は
その「終わりのない醜さ」を象徴したものなのではないかと。

そう解釈する事にしました。


意味がわからないトンデモ作品だと切り捨ててしまえばそれまでですが、
心の中に強烈な何かが残るのも間違いない作品ではあると思います。


よくも悪くもこの一言。

「一体何?この映画?」


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