土布の染料って何?
土布を染色する時に使用される材料は当然ですが、天然植物や果物の皮、鉱物などの自然由来のものです。
綿糸や原布を染めるため、農民たちは自分たちでも植物や果物を育て染料を作ります。
また、コストを節約するために独自に栽培していました。
紡いだばかりの布は白で汚れが目立ち衣服やキルトにする前に染色する必要がありました。
布を染める技法は日常生活の中で農民たちが創り出した発明であります。
中国でも数十年前までは生活の基本的な技法だったので農家の高齢者のほとんどの方は自分で布を染色した経験があります。
【灰色】
地方で着られていた衣服のほとんどは灰色だった為、植物の灰やシルトで染められていました。これは、布を染める最も古い方法です。
土布の生産者に製造方法を聞いたところ、植物の灰やシルトを綿布に塗り涼しく閉ざされた場所に置きます。
2日後取り出して洗ったところ布は灰褐色になりようです。この布の染色方法は、非常に安価で簡単に実行でき、過去に非常に人気がありました。
しかし、この染色色は非常に醜く、腐食を引き起こし、衣服の寿命を縮めますたためすぐに廃れました。
【黄色】
黄色の染料に最もよく使われていた材料は槐(エンジュ)です。
槐は若葉を茹でて食用にしたり、茶の代用とされています。
漢方ではつぼみを槐花(かいか)または槐米(かいべい)と呼び止血薬と使われおりました。
他にもザクロを食べた皮を染色のために保存し、皮を沸騰させた水に綿布と一緒に入れ攪拌させ染色させます。
それをソルガム(※)を育てた土に水を混ぜそこに浸すことによって染料が淡くなり染めた色は淡黄色になります。
また、万寿菊を使い染色すると「黄色」になります。
(※)ソルガムとは「モロコシ」「タカキビ(高黍)」「コーリャン」などとも呼ばれているイネ科の穀物。中国語では高粱と書きます。
【赤色】
その昔中国の女性は赤の服を着ることが多く、布を赤色に染められる方法はたくさんありました。
その中で代表的なものは「ソルガムの殻」です。
黄色の時にも紹介しましたが「ソルガム」とは一般的に日本でモロコシと呼ばれるものです。
そもそもソルガムは食用して栽培されておりましたが染料のほかにも日用品として使われておりました。
例えば、穂の部分はホウキとして代用されていました。
茎はマットやバスケットの編み物としてに使用されていました。
ソルガムの殻は天然色素である赤と黒であり、殻を使って布を染めます。
ソルガムの殻と水を沸騰させた後、布を中に入れ、この時点で布を薄赤に染めます。
他にもザクロの花、蘇方の茎を乾燥させたもの、アカネの根は鮮やかな「赤色」とになります。鉱物で辰砂等を使うこともあったようです。
【藍色・紺色】
日本でもよく見かける藍色は蓼(タデ)や藍を使って染めています。
農家の畑には、蓼の木を植えることが多く、染めたい時は葉を摘んで発酵させ、効率よく作業を行っていたようです。
蓼染色は石灰と混合する必要があります。そうすることで、染色された生地はより明るい青色になり、色あせしにくくなります。
また配合によって紺色に染色されていました。
【黒色】
布を黒く染める植物も一般的に、栗の殻、ハスの実の殻等を使用します。
沸騰させた水に綿布と一緒に入れ攪拌させ染色させます。
より黒くしたい場合はみょうばんや鉄砂などを入れて攪拌させたそうです。鉱物では黒辰砂を使うこともあったようです。
【紫色】
桑の実の果汁を使い染色させます。
他にも蘇方(スオウ)と槐(エンジュ)を一緒に使用し調合をする事で茶色などに染色させたようです。
これらは農民たちが日々積みたてた経験で得た智恵の産物であります。